帝国データバンクはこのほど、2023年1月の人手不足に関する調査結果を発表した。調査期間は2023年1月18~31日、調査対象は全国2万7,362社で、有効回答は1万1,719社。

人手不足企業の割合は51.7%

  • 人手不足企業の割合(コロナ禍前後比較)

2023年1月時点における従業員の過不足状況を尋ねると、正社員について「不足」と感じている企業は前年同月比3.9ポイント増の51.7%となり、1月としては2019年(53.0%)に次いで2番目の高さを記録した。

月次ベースでも5カ月連続で5割を上回り、上昇傾向が続いている。中でも大企業では62.1%に達し、全体を大幅に上回っている。

人手不足割合を業種別にみると、インバウンド需要の高まりで景況感の回復がみられる「旅館・ホテル」が最も高く77.8%。次いで「情報サービス」が73.1%、「メンテナンス・警備・検査」が68.1%、「建設」が65.6%、「人材派遣・紹介」が63.2%と続いた。

一方、非正社員について「不足」と感じている企業は前年同月比3.0ポイント増の31.0%と、1月としては2019年(34.4%)以来、4年ぶりに3割を超えた。

業種別では、「旅館・ホテル」が81.1%、「飲食店」が80.4%と、この2業種が圧倒的な人手不足状態に陥っていることが判明。以降、「人材派遣・紹介」が60.5%、「飲食料品小売」が56.0%、「各種商品小売」が50.9%と続いた。

また、2023年度の「賃上げ」見込みの割合を調べたところ、人手不足企業では63.1%に上り、全体(56.5%)より6.6ポイント高いことがわかった。

従業員数区分でみると、「6~20人」(67.1%)、「21~50人」(68.3%)、「51~100人」(65.4%)といった中小企業で特に賃上げ意識が高いことが判明。しかし、小規模の「5人以下」(51.4%)と大規模の「300人超」(46.4%)では賃上げを実施する見込みは弱かった。

今後の見通しについては、「(人手不足が続く中)何とかして賃上げを実施して人材の獲得・維持を図りたいという声は多い。賃上げとそれにともなう人手不足の解消は、2023年の景気を左右する最重要事項になる」と予想している。