コンピュータセキュリティを提供するマカフィーは、世界9カ国の5,000人を対象に「現代の恋愛」に関する調査を実施。AIとインターネットが恋愛・人間関係に与える影響を浮き彫りにしています。本調査から、世界の4人に1人が「AIを使ってラブレターを書く」ことが明らかに。近い将来、日本でも恋愛シーンにAIが登場するのが当たり前になっていくかもしれません。

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69%が「AIによるラブレター」を判別できなかった

AI技術の進展によって、AIが文章を作り出せる時代になっています。あなたがAIから「ラブレター」をもらう日も、そう遠くはないかもしれません。

実はこれ、冗談でも笑いごとでもない、本当の話。自分の感情を言葉で表現するのが苦手な人たちにとって、かわりに文章を作ってくれるAIは便利な存在ですが、オンラインで受け取った文章が人間が作ったものなのかAIが作ったものなのか、判別するのが難しい時代になってきているのです。

マカフィーの調査では、「成人の3分の2(69%)が、AIが書いたラブレターと人間が書いたラブレターの違いを見分けることができなかった」という衝撃の結果が出ています。また、日本では、53%の成人が「AIが書いたラブレターと人間が書いたラブレターの違いを見分けることができない」と回答しています。

全世界平均に比べると、日本ではAIが書いたラブレターと人間が書いたラブレターの違いを見分けられない人の割合が少ないという結果になりました。これは、英語に比べ日本語の自然言語処理が難しいことや、日本語のデータ量が不足していることと無関係ではないでしょう。今後日本語の自然言語処理が進歩していけば、この差は埋まっていく可能性があります。

いずれにせよ過半数の人が、AIが作成した文章と人間が作った文章を見分けられないとは……。AIによる文章作成は、私たちが思っている以上に進歩しているようです。

世界の4人に1人が「AIを使ってラブレターを書く」

日本では、AIによる文章作成はまだあまり一般的ではありませんが、世界では調査対象の男性の30%(全成人の26%)が「機械を使ってラブレターを書く」と回答しています。なお、日本で「AIを使ってラブレターを書く」と回答したのは全成人の7%でした。

AIを“ゴーストライター”として使う理由として最も多かったのは、「自信を持てるから(27%)」。そのほか、「時間がない(21%)」「インスピレーションがない(21%)」「早くて簡単だから(10%)」「バレないと思うから(10%)」といった理由も挙げられました。

「時間がない」「インスピレーションがない」は理由として理解できるものの、トップが「自信を持てるから」というのはなかなかに意外。裏を返せば、文章が苦手な人にとっては「自分が書いた文章よりもAIが作成した文章のほうが堂々と人に見せられる」ところまでクオリティが上がっているということなのでしょう。

日本でも近い将来、恋愛シーンにAIが登場するのが当たり前になっていくのでしょうか。

ネット上でのロマンスは「サイバー詐欺」に注意

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「ラブレター」というと、「紙の手紙」をイメージしがちですが、オンライン全盛のいま、ラブレターもメールやSNSのメッセージなど、インターネットが主戦場。日本でもマッチングアプリ等が普及したことで、オンラインを起点とした恋愛が増えていますよね。

世界的にもオンラインデートの人気が高まっていますが、今回の調査でわかったように、自分が受け取った文章が人間によって書かれたものか、あるいはAIが作成したものなのか、見分けるのはきわめて困難だという現実があります。

愛を求める人は詐欺に遭いやすい傾向があるといい、サイバー犯罪者は巧みにその弱点をついてきます。先の調査では、「個人情報の共有をオンラインで求められたことがある」と答えた成人の57%のうち、16%が生年月日、9%がパスワードの開示、20%が親密な写真やビデオの共有を求められたことがあるそう。

また、55%が現金の授受を要求され、そのうちの20%は1万ドル以上を要求されるなど、SNSを利用した犯罪がますます増えています。

日本では、「自分または知り合いがなりすまし詐欺に遭った経験がある」と回答した人は14%でした。全世界の人と気軽に交流できるのがSNSの利点ですが、言い換えれば「世界中の詐欺師から狙われる可能性がある場所」でもあるのです。

AIが作成した文章を見抜くには?

AIが作成した文章と人間が書いた文章の判別が難しくなってきているとはいえ、何とかして見分ける方法はないのでしょうか。

AIが作成したメッセージには、短い文章を使ったり、同じことを繰り返したりするなどの特徴があるといいます。また、AIはプログラム上、中身がない内容を多く語ることも多いです。それぞれのテキストは完成度が高くても、「脈絡」を意識すれば、不自然な点に気付くかもしれません。

詐欺に遭わないようにするためにも、見知らぬ人から受け取ったメールやメッセージには要注意。言わずもがなでしょうが、会ったことのない相手にはお金やプレゼントを送らないようにしてください。もし「怪しいな」と感じたら、相手のプロフィール写真を画像検索してみるといいかも。同じ画像を使った別人の情報が出てきた場合、他人になりすました人による詐欺の可能性があります。

近年は日本でもさまざまな場面で「AIの活用」が叫ばれるようになっていますが、恋愛にAIが活用されるなんて、思いもしなかったという人も少なくないはずです。世界に比べ、日本ではまだまだ恋愛シーンにおけるAIの存在感は薄いものの、今後はAIが作成したメッセージがやり取りされることが増えていくでしょう。

世界の4人に1人がAIを使ってラブレターを書く時代だからこそ、自分で紡ぎ出した言葉には価値があると信じたいものです。

■調査:マカフィー調べ。2023年1月27日~2月1日に18歳以上の方を対象にMAI-ACIが電子メールでオンラインアンケートを実施。日本を含む世界9か国の合計5,109名が回答。