東京商工リサーチは2月16日、「人手不足」に関するアンケート調査の結果を発表した。調査は2月1日~8日、企業を対象にインターネットで行われ、4,852社から有効回答を得た。
コロナ禍による行動制限が全面解除されてから、3月で1年を迎える。2022年10月には訪日外国人客の入国規制も緩和され、経済活動はポストコロナに向けて踏み出しているが、その一方で企業の人手不足感が急速に高まり、企業活動への影響も深刻化しているという。
企業に人材の状況を聞いたところ、7割超(構成比72.4%)が「人手不足」と回答。企業規模別にみると、大企業の人手不足(同80.6%)が顕著で、中小企業(同71.2%)を70ポイント近く上回る結果に。
業種別では、新型コロナ感染者の診療など異例の対応が続く「医療業」が95.6%でトップ。次いで「飲食店」(93.1%)、「職業紹介・労働者派遣業」(90.3%)も9割で続いたほか、「総合工事業」(84.5%)、「道路貨物運送業」(82.8%)、「社会保険・社会福祉・介護事業」(80.7%)など、13業種で8割を超えた。行動制限の緩和に伴う経済活動の回復に加え、人手不足が深刻な業種は対面型サービス業のほか、“リモートワークが困難”など、コロナ禍で定着した働き方に移行しにくい業種が多かった。
一方、「人手過剰」な業種では、「印刷・同関連業」(23.1%)が最も多く、次いで「運輸に附帯するサービス業」(12.1%)、「家具・装備品製造業」(10.0%)、「繊維工業」(9.6%)、「広告業」(8.6%)など、構造的に不振が続く業種やコロナ禍で需要が落ち込んだ業種が目立った。
2022年12月の全国の有効求人倍率(季節調整値)を見ると、1.35倍と、2020年3月の1.39倍以来の水準に回復している。特に、宿泊・飲食やサービス、情報通信、卸売・小売は2022年の新規求人が年間を通じてすべての月で前年同月比で5%を超え、人手不足が恒常化している。