今年は過去10年で花粉の飛散量が最も多くなると言われていて、すでに花粉が飛び始めています。年々花粉症の子どもも増えていますが、風邪と似た症状も出るため保護者では判断が難しいことも。子どもの花粉症について名古屋大学医学部附属病院の竹内想先生にお伺いしました。

――子どもの花粉症の症状にはどのようなものがありますか。子どもに多く見られる症状の特徴を教えてください

竹内先生:子供の花粉症の症状としては、成人と同様に鼻水やくしゃみ、鼻詰まりが3大症状といえます。目のかゆみを訴える場合もあります。

――子どもが花粉症かもしれないと感じた時、小児科や耳鼻科など、どの病院や科を受診すればよいでしょうか

竹内先生:子供が花粉症を疑うような症状をきたしている場合は、お近くの小児科や耳鼻科を標榜しているクリニックを受診されるのが良いでしょう。

花粉症は非常に多い疾患であるため、いきなり大学病院や大きな病院を受診するのではなく、まずは近くのクリニックを受診することが良いと考えられます。

――風邪の症状と似ている場合、風邪と花粉症を見分ける方法はありますか

竹内先生:風邪の症状と花粉症の症状は一見似ています。とくに子供の場合は風邪を引くと熱が出ることが多いですが、花粉症では一般的に発熱をきたすことはありません。また喉の痛みや咳・痰などの症状が多く見られることが風邪の症状の特徴です。

風邪は一度罹患してもせいぜい1週間~10日程度で治りますが、花粉症の場合は症状が長い間続くことが一般的です

――花粉症は成長したら治るものなのでしょうか。必要な治療にどのようなものがあるか教えてください

竹内先生:花粉症は体質的な問題もあるため、成長しても治らないことも多い疾患です。花粉症の原因となる物質にヒスタミンやロイコトリエンといった化学伝達物質が関与しており、一般的な治療方法としてはこれらを抑えるための内服薬や点鼻薬・点眼薬などを症状に応じて利用することが行われます。

症状が強い場合は、注射タイプの治療薬が用いられる場合もあります。

――子どもの花粉症に市販薬で対応してもよいでしょうか

竹内先生:なかなか病院・クリニックなどの医療機関を受診する時間が取れない場合はまず市販薬での治療を試みることが現実的な選択肢の一つと考えられます。

――子どもが花粉症だった場合、家庭や保護者ができる対策を教えてください

竹内先生:花粉症対策としては花粉の量を減らすことが大切です。このためマスクやメガネ・帽子の着用や、帰宅した際に衣服や髪をよく払うこと、帰宅後すぐにうがいや手洗いを行うこと、空気清浄機を利用することなどがおすすめです。

監修:竹内 想(たけうち そう)先生

名古屋大学医学部附属病院。国立大学医学部を卒業後、市中病院にて内科・救急・在宅診療など含めた診療経験を積みました。現在は主に皮膚科医・産業医として勤務しています。


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