叡山電鉄は、国土交通省近畿運輸局長あてに鉄道事業の旅客運賃上限変更認可申請書を2月10日に提出したと発表した。改定予定日は2023年4月1日。消費税率引上げに伴う改定を除き、1995年4月以来の28年ぶりの運賃改定になるという。

  • 叡山電鉄が鉄道事業の旅客運賃改定を申請したと発表

申請理由として、周辺交通環境の変化や沿線の少子高齢化、新型コロナウイルス感染症の流行、2020年7月豪雨の影響による鞍馬線市原~鞍馬間の長期間運休などの理由により、年間輸送人員が大幅に減少したことを挙げる。そうした状況下にあっても、同社は安全・安心を確保するため、老朽化した設備の改修と更新工事、サービス向上のための交通系ICカードシステム導入、新造から30年を超えた車両の車両の順次改修、貴船口駅のバリアフリー化実施など実施してきた。

一方で、旅客運賃の改定は1995年4月以来、消費税率引上げに伴う改定を除き、28年間にわたり実施していなかった。その間に要員の削減や車両・設備の保守体制効率化などさまざまな経営努力に取り組んだほか、展望列車「きらら」、観光列車「ひえい」といった自社観光資源を活用した積極的な旅客誘致に努め、現行の運賃水準を維持してきた。

今後についても、安全・安心な鉄道輸送を引き続き提供していくため、適切な投資と設備の更新は必要だが、昨今激甚化している自然災害への対応、エネルギー価格の高騰、今後も続くとされる生産年齢人口減やテレワークの浸透による輸送人員の減少により、現行運賃のままでは今後の鉄道事業運営は困難と説明する。

今回、申請した運賃に関して、普通旅客運賃(大人)の場合で現行210円区間は220円、現行270円区間は280円、現行340円区間は350円、現行380円区間は410円、現行430円区間は470円を申請上限運賃(改定率5.7%)としている。

通勤定期1カ月の場合、現行5,450円区間は5,750円、現行8,050円区間は8,480円、現行1万830円区間は1万1,400円、現行1万3,860円区間は1万4,600円を申請上限運賃(改定率5.4%)に。通学定期1カ月の場合、現行3,450円区間は3,620円、現行5,360円区間は5,630円、現行7,300円区間は7,680円、現行9,400円区間は9,880円を申請上限運賃(改定率5.2%)としている。