スタジオ収録を終え、羽田野氏は「出演者の方にも楽しんでもらうことができて、良かったなとは思っているんですけど、本当にいつも福岡でやってるノリをそのまま出すことになるので、OAまで怖いなっていうところもあります。手応えがあったのかどうかも、ちょっとまだよく分かってない感じです(笑)」と本音を吐露。その上で、「関東の方にも、こういった味の番組があるということ、福岡にこんな魅力があるんだということを、楽しみながら知っていただけたら、大変ありがたいです」とアピールする。
鈴木氏は「わりとむき出しで本当の福岡の姿みたいなところが見られるので、東京の番組が作る福岡の情報とはまた違う面白さが絶対あると思います」と紹介しながら、「こういう番組はネタの取り上げ方の角度が命だと思うんです。過去のOAを見ても、いい視点をお持ちだなと思っていて、それが今回も出ていたので良かったなと思います」と手応えを語る。
ネタの取り上げ方という点でいうと、今回は全国ネットのバラエティでもたびたび登場する「北九州市の成人式」が登場するが、有名な“ド派手衣装”から一歩踏み込んだ検証企画で『福岡くん。』ならではの切り口を見せている。鈴木氏は「今はYouTubeにこれだけ動画があって、趣向がすごく細分化されている中で、番組の目線というのはテレビマンの腕の見せどころだと思うので、そういったものを身に付けていかなければいけないなというのを、今回改めて思いました」と話した。
■東京の制作体制にカルチャーショック
今回“共創”した中で、羽田野氏は「東京にいる役割の人が福岡にはいなくて、ディレクターが全部やっていたんだということを知りました」と、制作体制の違いに驚かされたそう。
例えば、生放送で時間を読んで伝える「タイムキーパー」はFBSにもいるが、東京では今回のような収録番組でも、収録のスクリプト(=進行表)を作ったり、収録後も編集の尺を確認したりする役割で参加することがあると聞いて驚いたという。
さらに、「今回、鈴木さんに紹介してもらって初めて東京のリサーチ会社さんに協力してもらったんですけど、発注してから短期間で細かい情報がものすごい量で上がってきたので、本当にズルいなと思いました(笑)」(羽田野氏)とカルチャーショック。今回の特番に登場するネタは、結果として自前でリサーチしたものだけになったが、「早速、別の番組でリサーチ会社さんにお願いしました」(同)と活用した。
鈴木氏は「お互いが制作のスタイルなども見せ合いながら共有していくというのも、今回の目的の1つだったので、これも良かった点だったと思います」と、成果を実感したようだ。
■第2弾はサンドウィッチマン『熱烈!ホットサンド!』
共創プロジェクトの第2弾は、サンドウィッチマンが出演する札幌テレビのバラエティ番組『熱烈!ホットサンド!』を、26日(14:00~)に放送予定で、4月以降も様々な局と継続していく計画。羽田野氏を含め、9局15人と面談したという鈴木氏は「バラエティじゃないといけないというルールもないので、例えば地元のスポーツ選手に長期密着した番組みたいなパターンがあってもいいかなと思います」と構想を語る。
TVerの出現によって、最近は系列局の番組の話題がSNSでトレンドに入るケースも出てきており、フジテレビで1月にスタートした昼の生バラエティ番組『ぽかぽか』では系列局の番組を紹介するコーナーを設け、『福岡くん。』MCの斉藤優も出演する『ゴリパラ見聞録』(テレビ西日本)が注目を集めた。テレビをめぐる環境が大きく変化する中で、系列局によるエリア外に向けた発信の取り組みは、今後加速していきそうだ。
今回の特番は、レギュラーでは配信していないTVerで放送後に公開予定となっており、羽田野氏は「この反応は大きく参考にしたいと思ってます。全国に福岡出身の方は多くいますし、そういった需要が見えたりすると今後の展開につながると思うので」と、今後の地上波以外の展開も検討する考えだ。