どのような会社に勤めていたとしても、「この人、面倒だな…」「なんだかこの人のことは苦手だな」と感じてしまう人がいるのは仕方のないことです。そういった感情は、上司から部下に対して抱くこともあります。
本記事では、面倒に感じる部下にありがちな特徴や、そのような部下に取るべき対策・関わり方について解説します。会社の人間関係で悩まれている方は、ぜひ参考にしてみてください。
面倒な部下、嫌いな部下がいるのは当然
自分が上司の場合、部下に負の感情を抱くことに対し、罪悪感を持ったり、自分を責めてしまったりする人もいるでしょう。
しかし、誰しも苦手な人間は存在します。特に社内の人間関係は限定されており、自分で選ぶことは難しいため、悩みの種になることも多くあります。上司だからといって、どの部下のことも好きでないといけない、というわけではないのです。
そうはいっても、面倒な部下、苦手な部下を、放置したり差別したりすることはよくありませんね。
苦手であるという自分の気持ちは認めつつ、部下のどこにイライラするのか、その特徴を知って、相手との関わり方や距離感をつかみましょう。
上司から見て、面倒と感じる部下にありがちな特徴
上司から見て、面倒、苦手と感じる部下にありがちな特徴や傾向を5つ紹介します。どういった心理でその行動をとっているのかも、想像しながら見ていきましょう。
うそをつく
まず、うそをつく部下に対しては、面倒と感じるだけでなく、仕事を頼めないと感じるでしょう。
うその大小や種類に関わらず、うそをついているという事実が、その人への信頼を失わせます。特にその内容が仕事に関するものだった場合、本人と上司だけの問題ではなく、会社やクライアントとのトラブルにつながる可能性もあります。
うそをつく部下を相手にするときには、うそをつく理由を明確にすることが大切です。「怒られることを必要以上に怖がっていて、つい失敗を隠してしまう」「自分の経歴に自信が無く、つい話を盛ってしまうなど」、うそをつく理由が分かり、解消することができれば、ふるまいや関係性を改善することも可能になるでしょう。
失敗をすると他人のせいにする
自分で失敗したのにも関わらず、人のせいにする部下も、多くの場合で上司から嫌われます。
例えば、自分が担当だった仕事で失敗したときに「自分は作業せず、他の人が代わりにした」と言ってくる部下は非常に面倒です。また、「自分が確認したときにはきちんとできていたから、他の誰かが手を加えたはずだ」などの言い訳を行う場合もあります。
責任転嫁を行う部下に対しては、理論立てて対話を行うことが重要です。事の起こりから、現在の結果に至るまでを細かく説明させ、対話を行う自身の側も感情的にならずに、問題点の解決方法について話し合うことが効果的でしょう。
相談相手としてお互いの立場を確立できれば、責任問題になる前に相談を受けられるようになるかもしれません。
いちいち突っかかってくる
上司や自分以外の人が意見することに対して、いちいち突っかかってくる部下も面倒なものです。例えば、上司が教えたことに対して、「それだと効率が悪いんじゃないですか?」「理解はしましたが、自分のやり方で進めたいです」など、いちいち文句やわがままを言ってくるタイプの人です。
もちろん、立場に関係なく自分の意見を言うことは大切です。実際にその意見が効率化やより良い結果につながることもあります。ただし言い方がキツイ場合や、代替案が無く文句を言いっぱなしなどの場合は、面倒に感じてしまいます。
反抗的な部下に対しては、強制的に押さえつけても逆効果です。そうした場合、反動でより反抗的な態度を取るかもしれません。
まずはこちらから提案した方法や行動の明確なメリットを相手に理論立てて伝えるなど、ゆっくりと歩み寄ることで反抗的な態度を和らげられるでしょう。
報連相ができない
社内の上司・部下の関係において、報連相ができない部下には、仕事を任せきれません。報告・連絡・相談は、上司と部下の間の私情や、忙しいかどうかなどに関係なく、業務上で必要なコミュニケーションです。
報連相ができていないと、クライアントを巻き込むような問題の発覚が遅れる、作業内容の方向性が一致しているかどうかが確認できないなどの問題が生じます。完全に個人別の成果主義の職場ならまだしも、同じ仕事をともに進めるチームであれば、特に円滑なコミュニケーションが必要不可欠です。
部下にきちんと報連相をさせるためには、最初は報連相を促す声掛けをこちらから都度行うことと、行われた報連相に対するサポートが重要です。聞きっぱなしでは、部下も報連相の意義を感じません。
またなんでも言いやすい関係性を築いておけば、部下も報連相を行いやすくなるでしょう。
会社への愚痴や不満を周りの社員に言い、全体の士気を下げる
誰しもが、会社や上司への不満・意見を持っているでしょう。しかし、それを周りの社員へ言いふらして全体の士気を下げることは、会社に悪影響を及ぼします。
不満を言いふらすことで、もしも周りにいる人まで愚痴だらけになってしまったら、社内のコミュニケーションがスムーズにできません。
確かに、不満を持つ社員に対しては、適度なガス抜きが必要です。不満を抱え込んだ結果、会社を辞めてしまう事態に陥ってしまえば、育成にかけたコストが無駄になってしまいます。
こういったタイプの人に対しては、ただ「会社で愚痴を言うな」「周りの士気を下げるな」と注意してもさらに不満がたまるだけです。他の従業員がいない場所で話を聞いてあげることや、不満の原因が解消可能なことであればこちらが動くことも大切です。
挨拶やコミュニケーションを軽視している
挨拶をしない・社内のコミュニケーションは必要ないと思って最低限しか話さない部下も、上司から見れば付き合いづらいでしょう。
挨拶は、社会人として当たり前にするべき行動です。例えば、出社してきて無言で自分のデスクに座る人は、周りからコミュニケーションをとる気がないと受け取られてしまいます。
もちろん、業務中の私語や無駄話は推奨されるものではありません。しかし他の社員が業務に関わることで話し掛けているにも関わらず、そっけない返事をしたり、会話を終了させたりする行為も、周りから見れば鼻につく行動ととられ、職場全体に悪影響を与えてしまいます。
面倒な部下との付き合い方とは? 対策・関わり方を解説
面倒に感じる部下をそのまま放置すると、その存在をストレスに感じるだけでなく、お互いの仕事に支障をきたす恐れがあります。
ここでは、社内にいる面倒な部下に対して取るべき対策や、関わり方を紹介します。
嫌いと感じる理由を分析する
その部下が嫌いだ、面倒だと思ってしまう理由や、その部下に対してイライラするタイミングを分析しましょう。コミュニケーションを円滑にする上で、相手の受け入れられない箇所を分析することは非常に重要です。
そうすることで、その部下の全てが面倒なわけではなく、どの部分が気になるのかを分析できます。部下の人格と行動を切り離して考えられれば、コミュニケーションを行う上での問題は少なくなるでしょう。
周りの社員に、自分の部下と似たタイプがいるかどうかを確認することもおすすめです。もしいる場合は、その人の上司がその人に対し、どのようにコミュニケーションをとっているかを参考にしましょう。
自分との共通点・相違点を探す
自分と同じ部分を探すことで、相手に共感でき、歩み寄れる可能性があります。この作業が得意、こういった部分の優先順位が高い、同じブランドのイヤホンを使用しているなど、共感できる部分を探すことで、苦手意識を薄れさせることができるでしょう。
また、仕事の進め方や資料の作り方など、相違点を探すことも有効です。自分と相手の両方を客観視することで、そういう方法もあるのだと視野を広げられるとともに、相手のことを苦手や嫌いという主観的なイメージだけで見ないようになれるでしょう。
長所を探す
一度欠点に目がいってしまうと、長所を見つけづらいものですが、一度冷静になって、その人の長所を探しましょう。
例えば、部下の得意なことやチーム内で役に立てそうなポジションなどに目を向けることで、その部下をより活躍させられることもあります。彼らの優れた点を見つけ、そのことを本人に伝えると、やる気の向上にもつながるでしょう。
客観的にその部下を見ることで、これまで見つけられなかった性格が判明することもあります。
コミュニケーションをとる
部下からのコミュニケーションがない場合も、積極的に自分からコミュニケーションをとりましょう。
「向こうが話してくれないから、もう自分も話さない」と決めてしまうと、コミュニケーション不足が後々大きな問題へつながる恐れがあります。
事前に防げる失敗や機会損失を防ぐためにも、会話は積極的に行いましょう。コミュニケーションの大切さを部下に伝えることも重要です。
可能なら過去の失敗談や好きなもの、プライベートのことなど、自分のことを伝え、人となりを知ってもらえれば、向こうも打ち解けてくれる可能性があります。コミュニケーションをとり関係性を構築することで、相手に指摘をしやすくなる土台を作ることもできるでしょう
対等な目線で話を聞く
気が付かないうちに、上司である自分の態度が高圧的に受け取られていることもあります。高圧的な態度だと心を開いてくれない人もいるため、対等な目線で話を聞くことが大切です。
また、話を聞くときは聞き役に徹することも心掛けましょう。上司と部下の関係性は、上司が思う以上に意見を言いづらい環境です。
部下が意見を言いやすい環境づくりを心掛ければ、部下が自分の意見や気持ちを表に出してくれる機会が多くなり、問題点を解消するための土台作りに役立ちます。部下の意見に対しては、途中で口出ししたくなる気持ちを抑えて、最後まで話を聞く姿勢が大切です。
第三者の力を借りる
自分の力だけでは、今以上の関係性をどうしても構築できないと感じる場合、第三者の力を借りることも効果的です。
例えば、部下の仕事ぶりを知っている他の社員や、部下の以前の上司などに相談します。その人の性格やこれまでの仕事ぶりを聞くことで、問題が解決する可能性もあります。
また、「実はこんなことで悩んでいるらしい…」というように、予期せぬ問題が発覚することもあります。部下のことを知るために、第三者から話を聞くことはおすすめの方法です。
ただし、上司である自分が、その部下のことを面倒だと思っている、苦手意識を持っているということを、部下の同僚などに悟られないように留意しましょう。
仕事であると割り切る
その人を変えようと思わず、仕事の関係性であると割り切って、淡々と接することも一つの手です。特に現代では、全員に昇進意欲があったり会社愛があったりするわけではなく、人生における仕事の優先順位も人それぞれです。
改善した方がその人のためだと決めつけて自分の思考を押し付けることは避けましょう。
また、仕事だと意識して人間関係を築くことで「人として嫌い」という感情が薄れる効果を得られるでしょう。
面倒な部下、苦手な部下との接し方を考えよう
面倒な部下の特徴や、対処方法を解説しました。部下との関係性や自分の感情をコントロールすることで、社内での業務を円滑に進められるでしょう。
苦手な部下への対応が分からない方は、ぜひ参考にしてください。