コロナ禍において、ウエディングはどのように変わったのだろうか。創業51周年を迎えるBP社にて、これまで800組ほどの結婚式に携わってきた斉藤真琴さんに詳しい話を聞いた。

  • コロナ禍のウエディング業界の動向は? BP社の斉藤真琴さんに話を聞いた

■入社のきっかけは「結婚式への全力さ」

斉藤真琴さんは、ブライダルプロデュースの「ザ クラブ オブ エクセレントコースト」にて5年ほど勤めたのち、「クラシカ表参道」において2年ほどウエディングプランナーを務めてきた人物。打ち合わせ専任のプランナーとして、これまで1年に約100組、8年で800組ほどの挙式に携わってきた。現在はコーディネートプランナー部門に所属し、日々、新郎新婦から寄せられる相談に真摯に向き合っている。

  • ウエディング事業のほか、ドレス事業、フォト事業、ホテル事業、レストラン事業、フラワー事業など幅広く展開するBPグループ ※写真はクラシカ表参道

国内にはさまざまなブライダル事業者が存在するが、斉藤さんにとってBPはどんなところが魅力だったのだろう? そんな問いかけに対しては、次のように回答する。

「学生の頃、他のブライダル企業も見て回る機会がありましたが、どの企業もキラキラしていて素敵でした。ただ働いている人の温かさ、結婚式に全力で向き合っている姿、というものがダントツで感じられたのがBPだったんです」。

入社後、プライベートでは友人の結婚式に出席する機会も何度かあったというが、実際、さまざまな結婚式場に足を運んでみると、BPの温かさ、利用者のことを第一に思う姿勢を一層強く感じたと話す。現在、BPでは横浜を中心に、表参道、京都、仙台、長崎で12の結婚式場を運営している。同社が掲げるコンセプトは「LIFE TIME HAPPINESS-人生を変える結婚式-」。具体的には、どんなことを行っているのだろう?

  • ザ クラブ オブ エクセレントコースト

BP社のすべての式場では「Lifetime Happiness Workshop」を開催している。これは新規で成約した新郎新婦が、初回の打ち合わせまでに体験するセミナーだという。

「新郎新婦様ならではの挙式に近づけるためのセミナーです。お世話になった方々をまとめ、その方にどうお世話になったのか、そのとき自分はどんな気持ちになったのかなど――、3時間ほどかけて、ゆっくり掘り下げていきます。そして『2人の人生のテーマ』を決めることを、セミナーのゴールに設定しています」。

セミナーを設けることによって、利用者が気づいてない気持ち、本当は結婚式で伝えるべきなのに見過ごしている気持ち、そういうところにフォーカスを当てながら、人生を変える結婚式に向けて打ち合わせを進めていくのだと説明してくれた。

■コロナ禍が思いもよらぬ影響を与えている

だが、結婚式をはじめ、世の中に暗い影を落としたのが新型コロナウイルスだった。コロナ禍により状況は一変。少しずつ日常は戻ってきたが、いまだ平時は戻ってきていないと言えるだろう。そんな中でBP社は、どんなコロナ対策を行っているのか、またコロナ禍を経て変わったことなどを聞いてみた。

コロナ対策としてやっていることについては「ご希望があれば抗原検査キットを配布しております(原稿執筆時点)。パーティションの設置、消毒、検温、やれることは本当にしっかりやらせていただいています」と斉藤さん。

続けてこんな話もしてくれた。そもそも今の若い人たちは、コロナ禍により結婚式に列席する機会が減っており、思わぬ形でその影響が出始めているというのだ。

「本来であれば、25歳くらいからたくさんの結婚式に出る機会があります。28~30歳くらいの女性であれば『私だったらこうが良いかな』『あの式が可愛かったな』という経験値も増えることでしょう。でもコロナ禍により、結婚式がめっきり減った3年間でしたから、いわば結婚式への理解度ともいえる"結婚式偏差値"が軒並み下がってしまいました。結婚式に列席した経験がないと、『何がしたい』『どんなドレスを着たい』というものが出てこなくなってしまうんですね」。

斉藤さんは「こんな時代だからこそ、何でも良いのでプランナーに相談してほしい」と呼びかける。「お母さんに花嫁姿を見せたいから、でも良いんです。なにか1つでも結婚式をやりたい理由があれば、その気持ちをくみ上げて、私たちのチームがプランを膨らませます」と力強く答える。

■変化する結婚式スタイル

続いて、結婚式スタイルはコロナ禍を経てどう変化したか尋ねると、コロナ禍により"パパママ婚"が増えていると話す。

「お子さんが生まれてからの結婚、もしくはマタニティウエディング、そういった需要もすごく増えてきました。あとは、コロナ禍だからこその少人数の結婚式ですね。家族だけで結婚式を行うことも増えましたね」。

斉藤さんによれば、コロナ禍の3年間で利用者が結婚式に求める形も多様化し、新たなプロジェクトをBP社でもスタートさせたという。

「弊社では"ベイビーバースデーウエディング"というプロジェクトがスタートしました。パパ、ママ、子どもがおそろいで着る衣装をそろえているんです。また、女の子用、男の子用など、何パターンかコーディネートも用意しているんです」。

  • ベイビーバースデーウエディング

「あとは、フォトウエディングで"エスケープウエディング"という取り組みも行っています。都内から車で2時間圏内にも、自然豊かなスポットはたくさんありますよね。そこで、キャンピングカーを1日貸し切って、海とか、絶壁とか、大自然の中で写真を撮って回ります。その土地の名産など、グルメも楽しみながら、ぐるっとキャンピングカーで旅行をして帰ってくるんです」。

  • エスケープウエディング

時代にあわせて印象的な結婚式を創りあげるBP社。そんな同社で、コロナ禍前から今まで多くの結婚式に携わってきた斉藤さんに、次は"忘れられない結婚式"について尋ねてみた。

■忘れられない結婚式は?

これまでの全部が素敵な結婚式でしたが……と前置きをした上で、

「結婚式場にバイクで入場したいという新郎新婦さんがいらっしゃいましたね。ドレスでは危険だと思ったんですが、話を聞いてみると、2人の挙式にはバイクが欠かせないことが分かりました。実は、新婦さんが元気のないとき、必ずお父さんがバイクを走らせて元気づけてくれたそうです。そして新郎さんともバイク仲間を通じて知り合ったんですね。バイクがなければ出会わなかったお2人だったんですよ。そこでチャペルのフラワーシャワーのシーンで、エントランスの敷地内でバイクを走らせるということをやりましたね」。

  • オンラインウエディングイメージ

また、こちらの新婦さんはフィリピン人だったそうで、親御さんが海外にいたためコロナ禍で来日がかなわない状況だったそう。

「ただ、ちょうどその頃にオンラインウエディングができるようになったんです。綺麗なドレスを着て、海外にいる親御さん・おばあちゃんとZoomでつなげると、お互いに号泣しながら『本当におめでとう』と。面と向かい合ってお祝いできなかったことが、かえって絆を深くさせた、そんな忘れられない結婚式でしたね」。

■結婚式ってどんなもの?

最後に斉藤さんにとって"結婚式とは?"と、質問を投げかけた。

「人生を変え得るものだなって思います。結婚式をやる人も、やらない人もいますが、結婚式をやれば、お呼びした皆さまとのその先の未来における絆や関係がより深まると思うんです。コロナ禍ということもあり、人がなかなか集まれない時代ですが、みんなが集まれる唯一のお祝いごととして、現代ならではの結婚式があると思います」。

「実は結婚式って、式当日だけのことじゃないんです。もちろん当日は素晴らしい一日になった、それに加えて式の前後には結婚式にご招待したゲストとも会話がたくさんあって、私たちウエディングチームとの会話も思い出として残って。だから、今挙式するか悩んでいる人には『結婚式って1日じゃないんだよ』っていうことも伝えたいです。ウエディングって長い期間、人生にワクワクをずっと残してくれるものなんです」と、はにかみながら答えてくれた。