日頃、人と会話をする中で「この人は話が分かりやすいな、説明が上手だな」と感じたことはありませんか。「話が分かりやすい人」と「そうでない人」では、話し方はどのように異なるのでしょうか。

本記事では、話が分かりやすい人の特徴や分かりやすい話し方を身に付けるためのコツ、話を組み立てる方法の具体例をご紹介いたします。

話が分かりやすい人の特徴とは?

  • 話が分かりやすい人の特徴5選

    話が分かりやすい人の特徴を5つ紹介します

話が分かりやすい人は具体的にどのようなことを実践しているからそう思われるのでしょうか。この記事では話が分かりやすい人に共通する特徴を5つご紹介します。

結論から話すことができる

話を聞いている際、長い前置きから始まり「この人は結局何が言いたいのか」と考えてしまったことはありませんか。複雑な話のはずなのに内容を理解しやすいと感じさせる人は、結論ファーストで話をしています。

話の初めに結論を持ってくることで、聞き手は頭が最もクリアな状態で結論を聞けます。そして結論を理解できている上で話の細部を聞くことができるため、話の内容を理解しやすいことが、結論から話す事のメリットです。

しかし、結論から話す方法は日本人にとって難しい話し方だといえます。なぜなら、「起承転結」という言葉があるように、日本語は結論が最後にくる文章構成が広まっているためです。だからこそ、結論から話せる人は際立って話が分かりやすいと感じます。

相手に合わせた言葉で話すことができる

話が上手な人は、当たり前ですが、相手にしっかり話を聞いてもらえているということです。では相手にしっかりと聞いてもらえる話し方とは、一体どのようにすればいいのでしょうか。

相手に話を聞いてもらう上で最も重要なことの一つは、「相手が知っている言葉を使うこと」です。相手が置かれた環境を理解し、そこで耳にする言葉を使うことで耳を傾けてもらえ、その話は相手の記憶に残るのです。

相手の知らないような専門用語や難しい言葉を使うと、相手はその言葉に引っ掛かってしまい、その先の話の本質を理解するのが困難になってしまいます。

必要な情報のみ伝えることができる

手に入る情報に付与されたものが多すぎれば、一体どれが最も重要なものであるか、判断が難しいと感じてしまいます。会話に関しても、情報が多すぎると相手は混乱し、その後の判断をしづらくなってしまうでしょう。

話が分かりやすい人は、伝えたい情報を絞って必要最低限のことだけ伝えています。情報の取捨選択を行うためには、相手の目線に立ち、どの情報が必要であるかをきちんと理解しておく必要があります。

難易度こそ高いですが、このことを意識しておくことで、相手との意思疎通がはるかに楽になるでしょう。

5W1Hを意識して話すことができる

5W1Hとは、相手に伝えるべきポイント、または聞き手が知りたいポイントの頭文字をまとめたものです。

  • When (いつ)
  • Where (どこで)
  • Who (誰が)
  • What (何を)
  • Why (なぜ)
  • How (どのように)

例えば、友人に「芸能人を見た」とだけ話しても、その反応は薄く、「いつ、どこで、誰を見たの? その人は何をしていたの?」などと聞かれることでしょう。聞き手には知りたい情報が伝えられていない状態です。

一方、最初から「今日のお昼ごろ(いつ)、原宿のキャラクターショップで(どこで)、俳優の〇〇さんが(誰が)、楽しそうに(どのように)買い物をしていたよ(何を)」と話せば、相手はすぐに状況を理解できるでしょう。

必ずしもすべての項目を埋める必要はありませんが、5W1Hを意識して話すと、状況を分かりやすく伝えられます。

話に強弱をつけて話すことができる

学生の時、授業中に先生が「今から説明することはテストに出すからね」と言って話し出したことはありませんか。話に強弱をつけるとは、まさにこのことです。

今から話すことは重要であるということを強調してから話し始めることで、聞き手はその部分を記憶に残そうと、より耳を傾けるでしょう。

しかし、これを多用することは逆効果です。マーカーだらけの教科書のように、話のどこが重要なのかが分からなくなってしまいます。ここぞという部分に使いましょう。

話が分かりやすい人になるコツ3選

  • 話が分かりやすい人になる方法

    話が分かりやすい人になるコツを押さえましょう

ここからは、話が分かりやすい人になるためには具体的にどのようにしたらよいか、その方法を3つご紹介します。

相手に合わせて使う言葉を変化させる

自分が知っている言葉を相手も知っているとは限りません。例えば、入社初日の新入社員への説明で、専門用語ばかりを並べ立てても「この人の話は分かりやすいな」とは思ってもらえないでしょう。

略語は正式名称で、カタカナの多いビジネス用語は日本語に変換するなど、相手が理解できる言葉を使って話すことできちんと理解してもらえます。

一方、同じ業界で働く者同士の会話であれば、わざわざ業界用語をかみ砕いて話す必要はありません。単純に「誰でも全員が分かる言葉」を使うのではなく、「相手に合わせた言葉」を使うことがポイントです。

初対面で相手の背景が分からない場合は、話ながら相手の反応を見て、言い方を変えていくのもいいでしょう。

情報の取捨選択を行う

話し始める前に、伝えたいことを頭で整理して、できるだけ簡潔にまとめましょう。もちろん足りなさすぎるのはNGですが、自分では少し情報不足かなと感じるほどに簡潔であっても、伝えたい最低限の情報がしっかりと盛り込まれていれば、相手には問題なく伝わります。

もしも相手にとって情報が足りないと感じれば、質問をしてもらえるでしょう。それに答えることで相手が知りたいことだけを伝えられます。

相手の理解スピードに合わせる

一対一で行う友人同士の会話でも、一対多数の大学の講義でもそうですが、話者が一方的に話し続けてしまうと、聞き手が置いてけぼりになってしまうことがあります。

話を聞いている途中で疑問を感じてしまうと、それが気になって集中できなかったり、ある点が理解できないとそこから先の話についていけなくなったりしてしまいます。

誰も話を理解できない独りよがりの演説をしないようにするには、聞き手の反応や表情をよく見て話すことが重要です。そして、話の途中で「ここまでで分からないところはありますか」などと質問の場を設け、相手の理解度を確認するようにしましょう。

話を組み立てる順序の具体例

  • 話を組み立てる順序の例

    話を組み立てる順序の例を紹介します

ここからは実際に話をするときにどのような構成で話したらよいのか、2つの型をご紹介します。どちらもビジネスシーンのみならず、日常会話でも役に立つ基本的な型です。ぜひ、覚えておきましょう。

結論優先型

1つ目は、用件→結論→理由→詳細の順に話す方法です。この方法は汎用性が高く、日々の報連相からプレゼンテーションまで、あらゆるビジネスシーンで活用できるでしょう。

まずは「用件」です。前提として提案や報告、相談など、どのような種類の話をするのか先に伝えれば、相手は自分がどんなスタンスで話を聞けばいいのかを認識でき、その後の話をより深く理解できます。

次に「結論」を伝えます。目的地の分からないドライブは不安に感じてしまいます。それと同様に行き先の分からない話には潜在的に不安を感じるものです。結論を先に伝えることでその不安が取り除かれ、相手はその後の話を集中して聞けるでしょう。

そして「結論に至った理由」です。先に述べた結論の論理的根拠、裏付けを提示し、相手を納得させます。

最後に「結論の詳細」として具体例や背景などを伝えます。

例:
(用件)提案があります。
(結論)来週の新聞広告はタイ行きのパッケージツアーをメインにしてはいかがでしょうか。
(理由)なぜならタイへの入国条件が緩和されることが発表されたからです。発表後のこの1週間で、バンコク行きの問い合わせも約4割増加しています。
(詳細)三泊五日のプランを紹介すれば、ゴールデンウイークの主力商品になり得ると思います。

提案があると言われると「どのような提案だろう」、こうしてはどうでしょうと言われると「なぜだろう」と疑問が生じます。前述の文章構成にすると、前文で生じた疑問が次の文で解消され、すんなりと頭に入ってくるでしょう。

列挙型

2つ目は、全体像の後に例を挙げる方法です。この方法は伝えたいことがいくつかあるときに有効です。

例えば、下記の例文のように尋ねたいことがいくつかあるとしましょう。

「部長、新聞広告の原案の提出期限と提出先はどうなりますでしょうか? また、掲載先のリストはどのファイルに保存してありますか?」

このように、文中に聞きたいことをちりばめてしまうと、どれかを見落とされてしまう可能性があります。そうなると再度質問しなければならず、双方ともに時間の無駄です。そこで「質問が3つあります」と最初に述べ、その後に「1つ目は」「2つ目は」と伝えることで、相手も回答しなければいけない事項をきちんと認識できます。

これらをふまえて、前述の文を訂正してみましょう。

「部長、新聞広告についてお伺いしたいことが3点ございます。
1つ目は原案の提出期限、2つ目は提出先、3つ目は掲載先のリストの保存先です。」

上記のように話せば、初めに聞きたいことの数を提示しているため、聞き直す際にも何番目が分からなかったかを簡単に伝えられます。これなら回答が漏れることもありません。

なお、メールの場合は箇条書きにしたり、それぞれに番号を振ったりするといいでしょう。

話が分かりやすくなる方法を知り、ビジネスや日常生活での会話をスムーズに

話が分かりやすいことは、仕事においてもプライベートにおいても重要なスキルです。一朝一夕で習得できるものではありませんが、日々の努力で必ず改善するでしょう。

ぜひ、この記事でご紹介したコツを意識した会話をしてみてください。