「仕事で上司から説明が分かりにくいと言われる」「私生活で話が分かりにくいとよく言われる」そのような経験はありませんか。

特に仕事においては、円滑でないコミュニケーションは相手をイライラさせてしまい、人間関係を悪化させることや、評価にもつながります。この記事では、話が分かりにくい人の特徴や改善方法を解説します。

話が分かりにくい人の特徴と原因とは

自分の言いたいことを端的に伝えられないと、仕事に支障が出たり、人間関係が悪化したりすることもあります。

逆に言えば、自分の話し方さえ努力して改善できれば、職場や私生活でストレスのないコミュニケーションを楽しめるでしょう。以下では、話が分かりにくい人の特徴や話下手になってしまう原因を解説します。

結論から話せない

結論から話さないと、言いたいことが不明瞭になりがちです。話が分かりづらい人は、例えば「~だから」や「~のため」など、原因や傾向などの説明が最初に来て、結局何をしたいのかが後回しになってしまう傾向があります。そのため、話が伝わりにくいのです。

「私は~と考えます。その理由は…」や「~です。なぜなら…」という順番で話せれば、格段に説明の質が改善されるといえます。

特に職場において、聞き手の関心の的は報告や主張の結論であることを意識して、結論ファーストで話すことを心掛けましょう。

話が冗長になってしまう

話が分かりにくい人は、内容を整理せず話すことが多いといわれます。その結果、話題からそれた話や余計な話をしてしまい、会話内容が冗長になりがちです。

話が長くなると、聞き手からしても話し手の主張を理解できず、意思疎通がとれないことにイライラしてしまいます。

「話がよく分からない」と言われないように、伝えたい情報とその補足情報をいったん頭でまとめてから話し始める習慣を身に付けましょう。

主語が分かりづらい話し方をする

話があまり上手でない人は、話の冒頭に「誰が」や「何が」が抜けてしまい、何を話してるのか分からなくなることがよくあります。文脈上明らかでも、より伝わりやすくするために必ず主語を入れ、さらに最初に伝えることを意識しましょう。

例えば以下の場合、主語が文末にあるAの例文よりも、文頭にあるBの例文の方が、情報が正確に、スピーディーに伝わりやすいといえます。

A:「電車の遅延があって、30分程度遅れて先方が来るそうです。」
B:「先方が、電車の遅延で30分程度遅れて来るそうです。」

話が分かりやすい人の特徴

今度は逆に、話が分かりやすい人の特徴を紹介します。

話し上手な人は、会話の際に相手が聞いて分かりやすい伝え方を意識している人が多いです。具体的に見ていきましょう。

順序立てて説明している

既に述べたように、結論や要点を先に話し、優先度の高い情報の順番に論理を展開して話すと聞き手に伝わりやすいとされます。

具体的には、SDS法を用いた情報構造で話す習慣を身に付けましょう。SDS法とは「要点(Summary)→詳細(Details)→要点(Summary)」の順に情報を出す話法です。

例えば、以下の例文はSDS法に沿っています。

「今日の授業は中止です。30分前に台風警報が発令されたためです。安全に気を付けて下校しましょう。」

このように、話が分かりやすい人は聞き手が理解しやすいように、情報を出す順番を工夫しています。

説明に一貫性がある

話のうまい人は、主張の軸が一貫していて、ブレません。話の最中に「あれ? 何が言いたかったんだっけ?」とならないためにも、結論ファーストの情報構造を心掛けるといいでしょう。

また、分かりやすい話し方をするには「この話の目的は何か」を意識することが大切です。例えば、上司からある事柄に対する説明を求められた際に、事実に対する正確な情報伝達が求められているのか、それとも事実を踏まえた上で自分の意見を求められているのかなどを判別して返答することが重要です。

話が分かりやすい人は、はっきりと説明の目的を持ち、無意識でも相手の意図をくみ取った会話に努めているといえます。

聞き手が理解できる言葉で話している

聞き手が簡単にイメージできる言葉を意識的に選んでいる人は、話上手に思われやすい傾向があります。

大学の講義で初耳の単語が出たとたん、その単語に引っかかって急に内容が入ってこなくなる経験はありませんか。これと同じで、複雑な言葉、聞き手が知らない言葉を多用すると、聞き手はうんざりしたり混乱したりして、話を聞く気がなくなってしまいかねません。

会社や学校にはさまざまな人間がおり、自分と同じレベルの語彙力や文脈把握力を持っているとは限りません。このことを分かっている人ほど、できるだけ平易な言葉や表現を意識して話しています。もちろん、専門的知見を持つ者同士の会話であれば、余計な説明は冗長さを生んでしまうため、専門用語を使った方がいいでしょう。

話が分かりやすい人は常に聞き手目線で、相手に合わせた言葉選びを心掛けているといえます。

分かりやすい話し方を身に付けるためのコツ

分かりやすい話し方を身に付けるには、話し方が上手な人の特徴をまねるのが近道です。以下では、分かりやすい話し方ができるようになる方法やコツを紹介します。

結論から簡潔に話す

前述の通り、結論ファーストを意識して話せば分かりやすい話し方が可能です。先に結論を述べた後に原因・理由や具体例を述べることで、簡潔に伝えたいことを話せます。

結論を明確にすることで、その主張に必要な付加情報を選びやすくなり、話の脱線を防ぐという面でも効果的です。

結論から話す練習方法として、自分なりの枕詞を付けることが挙げられます。例えば、「結論から言うと」や「結論としては」などの言葉を文頭に付けることで、おのずと結論ファーストで話す習慣がつきます。

また、家族や友人に手伝ってもらい、結論ファーストで話せていないときは指摘してもらうという方法も有効です。特に面接やプレゼンの準備の際は、積極的に周りの協力を得て、結論から伝える話し方を練習しましょう。

話す前に伝えたい内容をまとめておく

話す前に伝えたい内容を整理しておくとスムーズに主張を進められます。

プレゼンテーションや発表の際には、発表原稿を事前に準備し、繰り返し練習する人が多いでしょう。それと同様に、上司への報連相や友人との日常会話においても、伝えたいポイントを事前に簡単にまとめておくのです。

具体的には、「説明内容をまとめたメモ」を作っておくと、スムーズな説明ができるでしょう。主張の結論に補足情報を付け加えるようなマインドマップの形でまとめ、頭で整理してから会話を切り出すと、端的な説明が可能です。

単なる会話に対して事前準備をすることに、初めは煩わしさを感じるかもしれませんが、日常的に繰り返していれば、そのうち自然と情報整理のコツがつかめてくるでしょう。

専門用語やカタカナ語、指示語(こそあど言葉)の多用を避ける

前述の通り、相手が理解できる言葉選びはコミュニケーションにおいて重要です。そのため、専門用語やカタカナ語、小難しい言葉を普段から使わないよう心掛けることがおすすめです。普段から単語の類語、言い換えを覚えておくと、相手に合わせた分かりやすい単語選びが習慣化されます。

例えば以下のように、小中学生でも分かる表現に言い換えられるといいでしょう。

  • 「アイデンティティー」→「自分らしさ」
  • 「コンプライアンス違反」→「法律や道徳面で問題がある」

また、「そこ」「あれ」などの指示語(こそあど言葉)を多用する癖があるなら、なるべく具体的に言い換えるようにしましょう。または、指示語の中でも連体詞にして使うといいでしょう。連体詞とは「この・その・あの・どの」と、名詞に意味を加える言葉です。

例えば、「あれ取って」ではなく、「あの机の上にある書類を取って」と言った方が伝わりやすいでしょう。

分かりやすい話し方を身に付ければ、コミュニケーションを楽しめる

今回は話が分かりにくい人の特徴やその原因・改善方法について解説しました。

分かりやすい話し方を身に付け、ビジネスシーンやプライベートでのコミュニケーションを円滑化して、良好な人間関係の構築を目指しましょう。