「さばける」「さばく」と聞くと、標準語では「魚をさばくことができる」などをイメージする人が多くいますが、九州や広島では違う意味を指します。
本記事では方言の「さばける」「さばく」について、地域別の意味と使い方を解説します。標準語と間違いやすいその他の方言についてもまとめました。出身地の異なる人同士の会話で思わぬ勘違いをしないよう、ぜひ参考にしてみてください。
「さばける」「さばく」は方言? 基本的な意味とともに解説
一般的な「さばける」は、「捌ける」と書き、「品物がよく売れること、売り切れること」や「世事に通じている」「混乱が収まり整理される」といった意味の言葉です。
「最近はこの商品がよくさばける」「彼女はさばけた人だ」「渋滞がさばけてきた」などの表現を見聞きしたこともあるでしょう。
「さばく(捌く)」という言葉もありますが、こちらは「物を上手に扱うこと」「品物を売って整理する」「うまく処理する」といった意味を持ちます。「魚をさばく」などと使われるときは、「割く、切り分ける」という意味です。
一方で、方言の「さばける」「さばく」は別の意味を持ちます。長崎などの九州地方では「手際が良い」、中国地方の広島では「散らかす」という意味で使われています。
九州での「さばける」の意味や使い方
九州地方の方言として使われる「さばける」の意味と使い方を、より詳しく紹介します。
九州では「さばける=手際が良い」
九州地方で「さばける=手際が良い」を表します。テキパキと要領よく物事をこなせる様を、さばけると言います。
九州での「さばける」の例文
九州地方の方言での「さばける」の例文を紹介します。
【仕事などを効率よく進めている仕事仲間に対して】
「あんた今日はさばけとるね」
(あなた今日は手際が良いね)
広島での「さばく」の意味や使い方
九州地方だけでなく、広島でも「さばく」を方言で使いますが、九州地方とは意味や使い方が異なります。より詳しく紹介します。
広島では「さばく=散らかす」
広島では「さばく=散らかす」という意味で使われます。
広島での「さばく」の例文
広島での「さばく」の例文を紹介します。
【母親が子どもに対して怒っている場面で】
「もう、さっき掃除したのにすぐさばいてからに!」
(もう、さっき掃除をしたのに、すぐ散らかして!)
九州の人が標準語と勘違いしやすいその他の方言
博多弁や長崎弁など九州にはさまざまな方言がありますが、「さばける」「さばく」の他にも、九州の人が標準語と勘違いしやすい方言は多くあります。ここでは「これって標準語ではなかったの?」という方言を紹介します。
【からう】背負う
九州の人は小さい頃から使っている言葉ではないでしょうか。「リュックを背負う」「ランドセルを背負う」などのことを「リュックをからう」「ランドセルをからう」と言います。
標準語に言い換えるときは「リュックをしょう」「ランドセルを背負う」と言い換えてください。
【はぶてる】拗ねる
「はぶてる=拗ねる(すねる)」を表します。九州エリアでは長崎で使われることが多いのですが、広島でも使われる方言です。小さい子に対して「いつまでもはぶてないの!(いつまでも拗ねないの!)」と親が言うのはよくある光景です。
【くる】行く
標準語で「くる」といえば「来る(come)」ですが、福岡で「くる」は「行く(go)」になります。福岡以外の人からするとややこしい表現ですよね。
福岡県民以外の人に「今日あなたの家にくるね。」というと「今日あなたの家に行くね」という意味ですが、この方言を知らない人は「来る? 私の家なのに?」となりかねないので注意してください。
【なおす】しまう・片付ける
九州全域では「なおす=しまう・片付ける」と話します。物を元の位置に戻しておいてほしいときに使う方言です。九州で生まれ育った方は、小さい頃に親から「おもちゃや本をなおしなさい!」と言われた経験があるのではないでしょうか。
逆に九州地方以外から九州に転勤してきた人は「その書類、なおしといて」と言われて「壊れていませんが…」と困惑することもあるでしょう。
【はらかく・はらかいた】腹が立つ・怒る
福岡など九州の一部の地域では「はらかく・はらかいた=腹が立つ・怒る」の方言を使います。標準語の「腹が立つ」と少し表現が似ています。
「なんでそんなにはらかいとーと?」は「なんでそんなに怒っているの?」という意味です。
【はわく】掃く
ホウキなどで掃き掃除をするとき「ホウキで掃く」ではなく「ホウキではわく」と言います。「掃く(はく)」に一文字追加されただけの方言ではありますが、急に「そこはわいといて」と言われたら、聞き慣れない人にとってはわかりにくい方言ですよね。
各地域の「さばける」「さばく」の意味を理解して、使いこなそう
「さばける、さばく」は主に九州、広島で使われる方言です。しかし、九州地方では「さばける=手際が良い」、広島では「さばく=散らかす」を意味し、使い方も地域によって異なります。
それぞれのエリアでの意味を理解した上で、正しく使えるようにしましょう。