小山怜央アマがプロ入りを目指す棋士編入試験は、第3局の狩山幹生四段戦が1月20日(金)に関西将棋会館で行われ、165手で狩山四段が勝ちました。小山アマの通算成績は2勝1敗となり、試験の合否は次局以降に持ち越しとなりました。
棋士編入試験は新四段5人と対局を行い、3勝を挙げることができれば合格となるもの。小山アマは現行制度が始まって以来初めて、棋士養成機関の「奨励会」を経ずに棋士編入試験の受験資格を得て、今回の試験に臨んでいます。
戦型は相雁木に
小山アマの連勝で迎えた第3局は、先手番の狩山四段が角換わりを拒否し、相雁木という力戦系の戦型に落ち着きました。形にとらわれない力勝負は狩山四段の得意とするところです。小山アマも十分に予想してきたことでしょう。
お互いに細かく形を整えながら、実に90手あまりも間合いを取り合いながらのジリジリとした力比べが続きます。中盤に小山アマが放った自陣角が決断の一手。敵玉をにらむ急所に設置した角ですが、角を手放すリスクも大きい。小山アマは本局の命運をこの角に託しました。
狩山四段はこの角を働かせまいと、歩・桂・銀でバリケードを作り、また飛車で角を質駒にすることで角の働きを制限しました。この対応が奏功し、形勢の針は徐々に狩山四段に振れていきます。
小山アマ、決断の自陣角は不発に
以降は狩山四段が力を存分に発揮し、中央に打ちつけた銀桂が乱舞して小山玉に襲いかかります。最後には小山アマが打った自陣角を飛車で取った手が決め手となったのも小山アマにとっては皮肉な結果となりました。
棋士編入試験の通算成績はこれで小山アマの2勝1敗となりました。第4局は横山友紀四段との対局が行われる予定です。
大石 祐輝(将棋情報局)