アウトドアやキャンプがブームとなり、誰もが気軽に楽しんでいるようです。とはいえ、筆者のようなキャンプ未経験者もまだ多いはず。筆者もそうですが、キャンプの代名詞である「テント」が厄介なんですよね。
設営から調整まで、いろいろ手間がかかりそうで難易度が高そう……。
先日、アウトドアブランドのスノーピークが「キャンプ初心者向けエントリーモデル『Land Nest(ランドネスト)』」を発表。「設営のしやすさにこだわった」という同製品を見てきたので紹介します。
キャンプ初心者でも扱いやすい
ランドネストのネストの意味は鳥の巣。鳥の親子の仲睦まじい様子をテントの中で具現化するイメージ、という名前の由来を持つ本製品は、「キャンプ初心者がつまずくポイントの解決」「設営のしやすさ」「居住性の良さ」が特徴です。
同社のGEAR開発課 朝倉良太さんに詳しく説明してもらいました。
朝倉さん 「テントを立てる際、一般的には寝室を構成するインナールームにフレームを引っかけ、その上にフライシートと呼ばれる外側の幕をかぶせます。この時、フレームとフライシートを引っかける位置を間違えたり、何をどこに付ければ良いのか分からなかったりするキャンプ初心者特有の課題がありました。しかし本製品はフレームが外側に付く『アウトフレーム構造』のため、そうした悩みが起こりません。
また、つまずきやすい『インナールームの前後左右が分からなくなる』インナールームの吊り下げ位置問題についても、これは左右対称なので気にする必要がないのです。せっかくテントを張ったのに、インナールームが逆のため回転させたり、移動させたりする手間もありません」。
キャンプ未経験の筆者。いまいち「その凄さ」がピンと来ません。インナールームの位置って、そんなに大事なのでしょうか?
朝倉さん 「キャンパーはテントを張る時にはレイアウトを意識し、何をどこに置くか、この景色を見たいから、などの調整を行い、それじゃインナールームはこっちだ、とイメージしながら設営するのです。
ただ不慣れな方はそこまでの余裕がなく、『とにかく立てること』を意識しがちで、立てた後に、ようやくその部分に考えが及びます。しかし、いざ動かそうとしても、テントを立ててる場所である区画サイトが小さいため、隣にある車にぶつかるなどの問題が発生することもありますね」。
つまり、慣れているキャンパーは「立てた時のイメージ」を具体的に持てますが、初心者キャンパーや未経験者はそれが湧かず、「やってみないと分からない」状態。確かに、これは大変ですよね。キャンプはテント以外にもいろいろやることがあるでしょうから、なるべくスムーズに作業を進めたい、と誰もが思うでしょう。
ちなみに本製品、開発者自身が初心者目線に立ち返って、必要な機能を改めて洗い出したみたいです。エントリーモデルにありがちな安さ勝負ではなく、ギアとしての利便性を第一に考えているそう。
利便性を重視した仕様
次に設営のしやすさについても聞いてみました。
朝倉さん 「自立させるのに時間がかかる他社のエントリーモデルもありますが、この製品は違います。アルファベットのAに近いフレームと、背骨を構成するフレームを接続するだけで自立できます。さらに立てた後、フレームの先端に『返し』が付いていてフライシートのグロメットに挿して固定が可能です。フレームが抜けにくい構造なのでレイアウト調整も容易となり、実はプロモデルのテントに採用している仕様なのです」。
フレーム構造の意味は何となく分かりますが、「返し」って何でしょう。知識ゼロの筆者に朝倉さんは丁寧に説明してくれます。
朝倉さん 「このように、フレームの先端に『Tの字』が付いていないと、フレームを付けて反対側を引っ張った時にピンが抜けてしまう問題がありました。でも、この返しがあると抜けないのです。開発コストは高くなりますが、利便性とのバランスを考え、このモデルには採用しています」。
スノーピークの社員も欲しがる
最後に居住性の良さに関しても教えてらいました。
朝倉さん 「エントリーモデルにはメッシュが少ない製品もあります。しかし、この製品は三角パネル部分に、フライシートとインナーテントの両方にメッシュパネルを配置し、インナーテントは前後左右にメッシュがあるので、夏でも風の通りが非常に良く、快適性が向上しているのが特徴です。そして、インナールームへ出入り口の天井が一番高くなるように設計し、マックス160cmで仕上げています」。
本製品は「ランドネストドーム M」(5万1,700円)が大人2名+子ども2名用で設計されていて、さらに別売りの「ランドネストドーム M インナーソロテント」(2万6,400円)も用意。
家族での利用に加えて、たまにお父さんが「大きなリビングとインナー」を備えたシェルターとして一人で使える汎用性の高さもポイントです。もちろんソロ用のインナーも左右対称なので設置に迷わないそうです。
なお、タープとセットのMサイズ、「ランドネストドーム S」(4万7,080円)とも5月頃から順次発売される予定となっています。
さまざまなテントスタイルに対応しているので、キャンプ初心者だけでなく、多くの人にキャンプの楽しみを味わってほしいですね、と朝倉さん。
実際、同社の社員からも「欲しい!」という声があり、キャンプに慣れているという広報担当の方も「ハイエンドモデルはパーツが多かったり、重かったりしますが、これは部品が少ないので分かりやすく、設営する時の労力は従来の半分くらいの体感ですね.すごく楽でした」と話してくれました。
これなら筆者でも挑戦できそうですが、実は虫が苦手なんですよねー、それも解消してもらえれば……。