WHILLは1月12日、「シニア世代における新型コロナウイルス流行前とコロナ禍、withコロナ時代の外出・社会参加影響調査」の結果を発表した。調査は12月6日〜16日、65歳以上の男女600人を対象に行われたもの。

  • 外出回数の変化

まず、コロナ流行前(2020年2月以前)と現在(2022年12月、調査実施時)を比較して、外出・人との交流における頻度の変化を尋ねてみた。すると、どちらも約半数が「減った/やや減った」と回答する結果となった。

2022年9月以降は「全国旅行支援」が始まったにもかかわらず、外出頻度・社会交流が「増えた/やや増えた」と答えた割合はいずれも1割程度にとどまっている。

また、外出回数は、コロナ前は「ほぼ毎日」が3割程度(27.2%)いたものの、現在は8.5%低下している。2022年9月以降でも、3人に1人が「週に1日」以下(31.5%)と答えているほか、「ほとんど、またはまったく外出しない」との回答は、コロナ前と比べてほぼ倍増した。

外出に関して目的別に見ると、買い物や通院などの日常に必要な外出や、1人または家族に関わる外出については、コロナ前と現在を比べても大きな変化は見られなかった。

一方で、友人や近所との交流、主に屋内での趣味活動に関わる外出は、現在と比べていずれも大きく落ち込んでおり、友人・近所付き合いは61%減、友人・親戚宅の訪問は53%減、観劇・映画鑑賞は48%減となっている。

社会との関わりが減ったことによる影響については、4割以上が「体力や身体に衰えを感じた」と回答した。また、上位には生活意欲の減退がうかがえる回答が挙がっている。

  • 社会との関わり合いが減ったことによる影響

歩きづらさを感じているシニアでは、「体力や身体(足腰など)に衰えを感じた」「外出が億劫になった」「何事にもめんどくさくなった」「外出する自信がなくなった」の回答が特に高く見られ、歩きづらさを感じていないシニアと比較して2倍〜3倍の開きがあった。

「外出が減る→外出が億劫になる→さらに外出が減る」経験をした割合については、44.5%と半数近くに。うち、歩きづらさを感じているシニアの回答率は6割以上で、歩きづらさを感じていないシニアと3倍近い開きが見られた。

  • 「外出が減る→外出が億劫になる→さらに外出が減る」経験をしたシニアの割合

外出や社会と関わる頻度が減ったシニア368人に、「外に出る機会が増えれば、社会と関わりを持つことに対して、より前向きになれると思うか」について聞いてみた。すると、9割近く(86.9%)が「なれると思う」と回答。

  • 「外に出る機会が増えれば社会と関わりを持つことに対し、より前向きになれると思う」と回答したシニアの割合

自由記述でも、「コロナ禍で行きたいところへ出掛けることを控えてしまったが、友達と自由に出掛けられるようになりたい」「できるだけ外で歩く機会を増やそうと頭の中では考えているが、なかなか思うようにはできていない」など、意欲はあるものの、感染への懸念や足腰・体力への不安から二の足を踏んでしまうシニアもいることがうかがえた。