年末年始はお出かけしたり、おじいちゃんやおばあちゃんの所へ行ったり、子どもたちにとって楽しい冬休み。しかし、いつもと違う環境だからこそ「事故」が起きやすいタイミングでもあります。お家の中にも事故や怪我の危険性が潜んでいることも……? 家庭内で気を付けたい子どもの事故について徳島赤十字病院の郷正憲先生にお話を伺いました。

  • 冬休みに家庭で起こる事故を防止するには?

    冬休みに家庭で起こる事故を防止するには?

――冬休みの期間、普段より長い時間自宅で過ごすお子さんも多いかと思います。家庭で起こりやすい事故や怪我にはどのようなものがあるのでしょうか?

郷先生:長い期間自宅にいると、いつもはあまり家では遊ばない子が遊ぶことになります。そのため、保育園や幼稚園などと違って色々なものに引っかかったりぶつかったりして怪我をすることが多くなります。

例えば机の角で頭をぶつけたり段差に躓いたりするような軽い怪我から、ドアに指を詰めたりポットのコンセントに足を引っかけた結果熱いお湯をかぶるような、病院受診を必要とするような比較的重い外傷を負ったりします。

特に低年齢であればよくわからずに指を詰めたり引っかけたりしますから注意が必要です。高学年になると無茶をして色々なところにぶつかる外傷が増える傾向にあるようです。

――実際に家庭内で起こった事故にはどのようなものがありますか?

郷先生:前述のお湯による熱傷は、年末年始のER(救急外来)でも比較的診る外傷になります。ポットに限らず、ストーブに触ってしまったり、親のお茶やコーヒーなどをこぼしてしまったりして受傷するケースもよく診ます。

ぶつけたというような軽い外傷は、ERに来ずに様子を見ることが多いですが、扉に挟んだ場合はERに来院される方も多く診ます。多くの場合はレントゲンを撮っても骨折はなく、安心して帰られていますが、時折骨折している子も紛れています。

受傷後にあまりにも泣き続けていると骨折している可能性が高いなど、様子からだいたい骨折しているかは分かりますが、それでも時折けろっとしているのに骨折している子もいますので、気になるのであれば受診してレントゲンを撮るべきだと思っています。

――子どもを連れて、おじいちゃんやおばあちゃんの家などに行く場合、気を付けることはありますか?

郷先生:長距離の移動は子どもにとって想像以上に負担になります。特に冬は暖房をずっとつけるために乾燥しやすく、また長時間トイレに行けない可能性があるために飲水を減らそうとして脱水になる事が多いです。脱水、乾燥からウイルスに感染しやすい状態となり風邪を引いてしまう子もいます。

また、帰省先の家では普段子どもがいないことから一般に用いられる子どものいたずら対策や事故防止の器具が使用されていないことがほとんどですし、さらに親自身が慣れていない環境にありますからどうしても子どもが不意に危ないものに手を出してしまう事もあります。

思わぬ怪我を招きますから、常に子どもの状態に気を払い、また危険物を遠ざける、高いところにはものを置かないなどの対策が必要になります。できれば帰省前に片付けておいてもらえる様にしてもらうと良いでしょう。

  • 家庭内事故で起こりやすい事故の原因

    家庭内事故で起こりやすい事故の原因

――改めて、家庭内での子どもの事故を防止するため、気を付けておきたいポイントを教えてください

郷先生:子どもは、本当に何をするか分からないです。普段我々が生活している上では気づかないような危ない点が、家庭内には様々に散らばっています。大人にとってはなんてことの無い隙間でも子どもは手を突っ込めますし、興味を沸かされ手を突っ込みます。

そして、大人にとってはなんてことの無い高さにあるもの、逆に子どもからは目の届かないところにあると思っているものでも、手を出したり台を揺らしたりして子どもにとっては凶器となってしまうこともあります。

子どもが家にいる間は、普段以上にふと置くもの、ふと移動させるものに気をつけて、先ずは子どもがいたずらしても大丈夫な環境を心がけましょう。その上で、子どもの様子を可能な限り常に把握し、危ないところに手を出しそうになったらすぐに静止して近づかないようにしましょう。

監修ドクター:郷 正憲(ごう まさのり)先生

徳島赤十字病院勤務。日本麻酔科学会専門医、ICLSコースディレクター、JB-POT。著書「看護師と研修医のための全身管理の本」。


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