枯山水造りのエントランスを抜けて、広々としたロビーに出るや否や、真正面に仰ぎ見る国宝・犬山城の天守閣!! ガラスの向こうには広大な庭と水盤が広がり、水鏡のように優美な犬山城を映し出します。
特筆すべきは泊まったお部屋からのこの絶景です。とくに城好き、歴史好きな旅人にとってはこの上ない贅沢な時を過ごせる最上のホテル! 日常を離れて、しばし戦国・江戸時代へとタイムトリップ……歴史のロマンに浸る至福の旅が待っています。
こちらは、2022年3月、日本屈指の城下町・愛知県犬山市にオープンした、インターコンチネンタルホテルズグループのブランドのひとつ「ホテルインディゴ」。ホテルインディゴは世界中に130軒以上を展開するライフスタイル・ブティックホテル。その最たる特徴は、地元カルチャーが隅々までデザインやコンセプトに生かされていること、そして、その土地でしかできない貴重なローカル体験が楽しめることです。
とくに、今回宿泊したホテルインディゴ犬山有楽苑は、ホテルそのものが犬山の自然・歴史・文化の魅力を凝縮した箱庭のような場所。近隣エリア"ネイバーフッド"のストーリーを描いたコンテンポラリーアートに溢れています。
もう一つの大きな魅力は、ホテルの南側に隣隣する日本庭園 有楽苑(うらくえん)内に国宝茶室「如庵(じょあん)」があること。如庵は茶人として名を馳せた織田信長の実弟・織田有楽斎が京都の建仁寺に創建した茶室です。このホテルの開業とほぼ同時期に約3年半の改修を終えて公開再開となりました。ホテルに居ながらにして、国宝茶室の見学という贅沢な体験ができます(※宿泊者はカードキーの提示で入苑可能)。
こだわりのコンテンポラリーアートを楽しむ
まずはレセプションの正面に描かれた壁のアートワークに目を奪われました。1300年の歴史をもち古典漁法を今に伝える「木曽川鵜飼」をイメージしたレリーフは圧巻です。鵜が捕った魚を入れる六つ目編といわれるカゴやかがり火、木曽川の流れが、鵜匠の漁服の布を使って大胆に描かれています。
そして、総ガラス窓から犬山城を臨むロビーには、空間のそこここに犬山の歴史の情景や城下町の町並み、犬山祭のモチーフが散りばめられています。一段下がった場所にソファーが設けられているのは、犬山城を下から見上げられるようにという計らいから。
ロビーに隣接してあるのが、「ザ・バー夜車山(よやま)」。犬山祭といえば、カラクリ人形を乗せた13輛の車山(やま)と呼ばれる山車(だし)が有名です。その車山の提灯と、国宝茶室「如庵」の暦張りをモチーフにつくられたバーです。夕方になると、提灯が灯りライトアップされた犬山城が目の前に……ディナー前のマジックアワーを優雅に過ごせます。
客室も斬新な犬山アートがいっぱい
客室は全156室。部屋は国宝犬山城ビュー、木曽川ビュー、国宝茶室如庵ビューと3つの眺望から選べます。今回泊まった客室は、素晴らしい犬山城ビューのお部屋でした。
客室壁いっぱいに描かれた犬山城と、ベッドサイドの灯りを覆う鵜籠、車山のカラクリ人形を操る組紐からヒントを得たペーパーコードのテーブルやスタンド。一つひとつのモチーフに犬山への愛とこだわりが感じられます。
ベッドの寝心地も最高で、サイドテーブルにはブルートゥースオーディオ、目覚まし時計も用意されています。
居心地の良いパブリックエリアで寛いで
このホテルの良さは、冒頭で書いたとおり泊まりながら土地の文化を感じられることですが、パブリックスペースが多く設けられ、どこからも良い景色が眺められることです。
犬山唯一の天然温泉「白帝の湯」は、美肌効果があるといわれるアルカリ性単純温泉。露天風呂、ドライサウナも備わっています。
ロビーラウンジから外に出られるようになっていて、このテラスできれいな空気を満喫して、朝食やお茶を楽しめます。
旬の地元食材を堪能できる美食ダイニング
メインレストランは「インディゴホームキッチン車山照(やまてらす)」。伊勢湾の新鮮なシーフード、飛騨牛など近隣地域の旬の食材を使い、歴史・文化にインスパイアされた独創的な北ヨーロッパ料理がいただけます(※季節によって素材は変わります)。
宿泊した夜のディナーは下記。希望すればペアリングのワインもサーブしてもらえます。
- 卵黄のラビオリ トリュフ・フレッシュチーズ
- 燻製飛騨サーモンのタルタル グリーンゴッテスソース
- ロブスターのバニラバターソース トマトとアボカド添え
- アンコウのマリネ シャンパン柚子味噌ソース
- リードヴォーとポルチーニのヴォロヴァン
- トマホークステーキ
- 焼きモンブラン 黒ゴマのアクセント
犬山城からの360度大パノラマ絶景! 城下町の散策・観光も
ホテルから歩いて10分で犬山城にたどり着きます。現存する国宝の天守の中でも日本最古といわれる犬山城は、1537年、織田信長の叔父・織田信康によって築城されました。天守最上階からは濃尾平野、岐阜、三重、滋賀、さらに晴天時は長野の御嶽山まで見晴らせます。木曽川が天然の堀となった犬山城は難攻不落の城といわれ、戦国武将たちがこぞって手中に収めようとした稀なるお城です。
こちらは犬山城の南に延びる城下町。犬山は戦火を免れたため、総構えと呼ばれる城郭構造の町割りがそのまま残されており、情緒ある街並が残されています。ほかにも犬山とえいば、春は犬山祭、初夏から秋にかけての木曽川での鵜飼やロングラン花火など四季折々のイベントも盛りだくさん。
2022年11月にオープンしたジブリパークでも人気沸騰の愛知県。愛知と犬山の旅は、「ホテルインディゴ犬山有楽苑」でお城ビューと天然温泉、美味しいお料理を堪能してはいかがでしょう。
●ホテルインディゴ犬山有楽苑
宿泊料金: スタンダード1部屋3万6,000円~(税サ込、季節によって変更します)