カスタム車・バイクの祭典「ヨコハマホットロッドカスタムショー2022」(パシフィコ横浜で12月4日に開催)で未来的なデザインのバイクに遭遇した。一見すると電気で走るEVバイクのようだが、中身はなんと、ホンダの2ストロークエンジン搭載車だという。ちょっと古い感じのする2ストのバイクにあえて未来的なデザインを施した狙いとは?

  • ホンダ「TLM200R」がベースの「ENIAC」

    見た目は未来のバイク、中身はホンダの2スト?

EVバイクで遅れる日本へのアンチテーゼ

紹介するのはアスクモーターサイクル(神奈川県藤沢市)が手掛けた「ENIAC」というバイクだ。一見するとEVバイクのようだが、ベース車両はホンダ「TLM200R」という2ストロークエンジン搭載のトライアルバイクである。

話を聞いた山本諒さんによれば、EVバイクのデザインを時代遅れな2ストロークマシンにあえて採用したこの1台は、ある種のアンチテーゼでもあるという。製作のきっかけは?

「あと10年もすれば、バイクの世界でもおそらくEVが主流になっていると思いますが、世界から見ると、EVバイクへのスタンスが日本は少し遅れているんですね。例えばヨーロッパのカスタムショーには、EVバイクのカスタムは必ず出展されます。それはビルダーが作っていたり、あるいはショーの主催者が用意したりしますが、そうした流れがありますので、このホットロッドショーにも持ち込みたいと考えたのが制作を決めた理由のひとつです。今のうちにEVバイクのデザインをやっておかないと、10年後にまずい状況になるのではないかという危機感がありました」

ENIACは確かにTLM200Rをベースとしているが、使用しているパーツはヘッドパイプとエンジンのみ。足回りはホンダの「ブロス」から流用し、その他のパーツについてはフルスクラッチで作っているそうだ。

  • ホンダ「TLM200R」がベースの「ENIAC」

    見るからにモーターが収納されていそうなリアホイールだが、もちろんチェーン駆動とのこと

随所に確認できるカーボンパーツは全てワンオフ製作。まずはアルミで型を作り、あとからカーボンを貼り付けていくという手法を用いている。

  • ホンダ「TLM200R」がベースの「ENIAC」
  • ホンダ「TLM200R」がベースの「ENIAC」
  • カーボン地はタンクがハニカム、サイドカウルが平織りとなっているなど、場所によってデザインが異なる

実働2年の製作期間を要したこのENIACはデモカーではなく売り物だ。今は納車待ちの状態にあるそうで、納車の際にはウインカーを装着してナンバーを取得するとのことだった。

  • ホンダ「TLM200R」がベースの「ENIAC」
  • ホンダ「TLM200R」がベースの「ENIAC」
  • ホンダ「TLM200R」がベースの「ENIAC」
  • ホンダ「TLM200R」がベースの「ENIAC」