三井不動産は12月12日より『宇宙の仕事』が五感で楽しめるイベント「HELLO SPACE WORK ! NIHONBASHI 2022」を開催している。初日に開催されたプレス内覧会には、宇宙飛行士の山崎直子さんが登壇。メタバースの世界で国際宇宙ステーション(ISS)の周りを宇宙遊泳したほか、宇宙食を食レポするひと幕もあった。

  • 三井不動産は日本橋室町エリアマネジメントと共に「HELLO SPACE WORK ! NIHONBASHI 2022」を12月12日より12月23日まで開催中

メタバースで宇宙を体験

HELLO SPACE WORK ! NIHONBASHIは、昨年よりスタートしたイベント。産・学・官の宇宙関係者の集積が進む日本橋エリアで、宇宙の仕事を一般の人にも身近に感じてもらうことを目的に開催している。

  • 「遊んで、学んで、味わって。宇宙の仕事と出会えるフェス」とアピールする

山崎さんは2010年に打ち上げられたスペースシャトルディスカバリーに女性宇宙飛行士として搭乗し、ISSに短期滞在した経験がある。当時、ISSから地球を見下ろしたとき、どんなことを思ったのだろう。そんなMCの問いかけに「お互い、生き物同士というか...。地球は生きていて、私たちも宇宙船で生活している。まるで生き物と生き物が向き合うような、そんな愛おしさを感じたのを覚えています。昼間の地球、夜間の地球、どちらも本当に美しかった。地球は特別な存在だと再認識しました」と振り返る。

  • 宇宙飛行士の山崎さん

ここで山崎さんはISSのデジタルツインメタバース「THE ISS METAVERSE」を体験した。これはJAXA監修のもとで開発されたコンテンツで、今まさにISSに滞在している宇宙飛行士の視点を疑似的に体験できるという。

  • こちらは会場に設置されていたISSの模型

VRヘッドセットを装着し、両手に操作用のスティックを構えた山崎さんは、スタッフの指示に従って宇宙空間を自由に動き回った。ISSのはるか上空まで上ったところで「実際はISSから離れて宇宙遊泳することは非常に抵抗があるので、この高さまで上ったことはなかったですね」。そして、ISSに設置されたキューポラ(観測用モジュール)を訪問すると「キューポラは当時、私がISSに到着する2か月前に取り付けられたばかりの新品でした」と懐かしんだ。

  • THE ISS METAVERSEを楽しむ山崎さん

このあと日本列島の上空に移動。陸地や夜景の見えかたがリアルだと感心した。ただ日の出の表現については、やや物足りなかった様子。「本当は目が開けていられないくらいに強烈。日の出は、肉眼では直視できません。宇宙船のなかにいても、太陽光の熱さを肌で感じるほどでした」と解説した。束の間の宇宙遊泳を楽しみ、山崎さんは「とても面白かったです。メタバース空間なら、とても自由な感覚で楽しめますね」と話していた。

なおTHE ISS METAVERSEは12月12日から12月18日までのイベント開催期間中、一般の人も無料体験できる。

  • 筆者も体験した。毎回ツアーの最後には記念撮影が行われ、撮られた写真はTwitterアカウント「ISSメタバース専属カメラマン」(@astro_cameraman)の投稿から確認できる

宇宙食のお味は? 「宇宙でこれが食べられたら皆さん喜びます」と食レポ

日本橋にあるコミュニティスペースFlattoでは12月17日、12月18日の2日間、宇宙に関する食材を取り扱う企業と日本橋の老舗料理人のトークを交えた料理イベント「宇宙美食サミット」を開催する。これに先駆け、プレス内覧会では山崎さんが宇宙食の新メニューを試食した。出されたのは、日本橋の老舗料理人がアレンジした宇宙×日本橋のコラボメニュー。

  • 宇宙×日本橋のコラボメニューを提案した、繁乃鮨店主の佐久間一郎氏(左)と、たいめいけん店主の茂出木浩司氏(右)

はじめに繁乃鮨店主の佐久間一郎氏は、宇宙ビッグデータを活用した土地評価エンジン『天地人コンパス』の分析技術から新品種の栽培適地を選定し、栽培管理して誕生したという宇宙ビッグデータ米「宇宙と美水」でつくった寿司をふるまった。山崎さんは満面の笑みで頬張り「宇宙でこれが食べられたら皆さん喜びます」と太鼓判を押す。

  • 宇宙ビッグデータ米「宇宙と美水」でつくった寿司

続いて、たいめいけん店主の茂出木浩司氏は、月面の過酷な環境でも生育できるユーグレナ(和名:ミドリムシ)、ゲノム編集によりGABAの機能性成分の蓄積を向上させたミニトマト、人工光型植物工場で栽培されたレタスなどを使用した洋食を披露。「苦味もある緑の粉でお料理を作るということで、どうしようか本当に悩みました。本日は、グラタンとチキンのソテーを用意しました」と紹介する。

  • ユーグレナを使ったグラタン

  • チキンのソテーにもユーグレナのソースを使った

試食した山崎さんは「とても美味しいです」と報告。これに対し、茂出木氏は「普段、新しいメニューは2、3回の試食をするんですが、こちらは10回くらい試食しました。苦味を消すのが大変だったんですよ」と苦笑いしながら説明した。

  • 試食をする山崎さん

最後に、山崎さんは「地球からISSに宇宙食を補給するだけでなく、今後は宇宙で食材を育てる地産地消の試みも非常に大事になります。長い滞在になると、食の問題はとても重要になってくる。まさに今、こうした食事を私たちは求めています」と語った。

子ども向けの企画展示も

なお本イベントの連携施策として、日本橋エリアの各店舗では、宙フェスTOKYOとコラボして開発した「宇宙」をテーマにした特別メニュー、グッズを期間限定で販売する(12月12日から12月23日まで)。

  • 紫芋あんのせ団子(日本橋だし場本店)

  • ピュアブルーマジックティー(日本橋だし場 はなれ)

また江戸桜通り地下歩道では、子ども向けの企画展示を開催。宇宙が身近な存在であることを感じてもらい、将来自分も宇宙ビジネス企業で働いてみたいと思えるよう、パネル展示で宇宙の仕事も紹介していく。参加した子ども(先着2,000名)には、特別ステッカーを配布するという。イベント開催期間は12月12日から12月23日まで。

  • 展示の様子

  • 子どもたちの願いごとを集めて人工衛星で宇宙に届け、流れ星にする「宇宙ポスト」も設置していた

■information
「HELLO SPACE WORK ! NIHONBASHI 2022」
日程:12月12日~12月23日
会場:日本橋三井タワーアトリウム、江戸桜通り地下歩道、X-NIHONBASHI TOWER、宇宙ビジネス拠点 X-NIHONBASHI、福徳の森、Flatto 他