魅力的な返礼品だけではなく、支払った寄附金が税金から控除されるという点で、「ふるさと納税」に興味を持っている人が増えています。特に自身で出来る節税対策が少ない会社員にとっては、有効的に使わないと勿体ない制度と言えるでしょう。

一方で「ふるさと納税」は、仕組みを理解して行わなければ損することもあるので注意が必要です。今回は、「ふるさと納税」の有効活用と注意点について紹介します。

ふるさと納税とは

ふるさと納税は、自分の地元や応援したい地域、好きな自治体に寄附金を送れる制度です。ふるさと納税の「納税」という言葉は寄附金のことを指し、始まりは2008年度まで遡ります。

地方と大都市の人口格差による、税収減少の解消や地域創生を目的としてスタートし、10年以上も継続されている寄附と節税が同時にできる人気の制度です。

ふるさと納税は手続きを行う事で、最低自己負担金額として2,000円を支払う事で誰でも行う事が出来ます。また、自治体によっては寄附を送る側の人が、寄附金の使い道を知った上で寄附先を選ぶことが出来るというケースもあります。

お得な返礼品

ふるさと納税が人気を集めている理由の一つに、寄附金を送った自治体から、魅力的な名産物や宿泊券などの返礼品を貰えるということがあります。

返礼品は寄附先の自治体や寄附金額によって内容が異なります。例えば名産のお米やお肉、各種料理の食べ比べセット、日用品や工芸品などです。

種類は多岐に渡り、寄附金額以上の返礼品も多いため、お得に良いものを手に入れたい人にとっては魅力的な制度である事は間違いありません。

税金が控除される

ふるさと納税では、自己負担最低金額2,000円を超えて支払った寄附金を課税対象となる所得から控除できるという仕組みがあります。

私たちの住民税や所得税を決定する一年間の所得から、ふるさと納税で支払った寄附金を控除することで、納税額を減らすことが可能です。

お得に返礼品を貰うだけでなく、税金を控除できるという点もふるさと納税の大きなメリットでしょう。

ふるさと納税の有活用方法

ここまで説明してきた通りふるさと納税にはメリットもありますが、仕組みを理解して有効利用しなければ損をする事もあります。

この章では、ふるさと納税の仕組みを紹介するとともに、有効活用する方法を紹介しますので参考にしてください。

寄付金の限度額がある

寄附金で所得控除できる額には限度があり、年収や家族構成によって異なります。

参考までに、下記のような人の場合寄附金がいくらまで所得控除の対象になるかを計算してみます。

【控除額シミュレーション】
〇年収:600万
〇配偶者:あり(専業主婦)
〇子供:2人(7歳・10歳)
〇社会保険料:85万円/年
〇医療費控除額:10万円/年
◆控除上限:70,200円

この控除上限額が、寄附金額上限の目安となります。

ふるさと納税で行える税金の控除の種類は、「所得税」「住民税(基本分)」「住民税(特例分)」の3つがありますので、それぞれ上記をもとに算出してみましょう。※住民税特例分とは:所得税・住民税の2割を超えない場合決まった計算式で算出できる

【税金の控除額】
<1>所得税:(寄附金額-2,000円)×(所得税の税率)
・(70,200円-2,000円)×20%=13,640円

<2>住民税(基本分):(寄附金額-2,000円)×10%
・(70,200円-2,000円)×10%=6,820円

<3>住民税(特例分):(寄附金額-2,000円)×(90%-所得税率)
・(70,200円-2,000円)×(90%-20%)=47,740円

◆総減税額:68,200円

年収、家族構成による寄附金上限金額の目安はふるさと納税の公式サイトに掲載されているので、自身の状況と照らし合わせてどれくらいの税控除が行えるかを算出してください。

申請を忘れないこと

ふるさと納税では、寄附を行っていてもルールに基づいた申請を行わなければ税の控除は行えません。ふるさと納税で、税金の控除を行う方法は次の二つです。

<1>ワンストップ特例制度
〇「ふるさと納税以外に確定申告が不要な人」かつ「1年間での寄附先が5自治体以下の人」
・その年の1月~12月の間に寄附をした自治体に対して、翌年の1月10日までのワンストップ特例申 請書類を送る事で、税控除が適用される ※給与所得者の会社員におすすめ

<2>確定申告
「ふるさと納税以外の確定申告が必要な人」もしくは「1年間での寄附先が6自治体以上の人」
・毎年の確定申告でふるさと納税分の所得控除を申請することで適用されます。
※高所得者や自営業者におすすめ

ふるさと納税で、寄附金を送っていても申請をしなければ税控除の対象とはならないので、注意しましょう。

ふるさと納税の注意点

ここでは、ふるさと納税でよく間違えられる注意点を3点ご紹介します。 【ふるさと納税の注意点】

(1)受けられる還付・所得控除額には上限がある
寄附金は全てが所得控除の対象になるわけではなく年収、家族構成によって上限が設定されています。
この点を考慮せず寄附金の額を決めると、場合によって控除を受けられず損することがあります。また、自己負担金として最低でも2,000円が必要な点も注意しましょう。

(2)寄附金の納付日
所得控除の対象となる寄附期間はその年の1月~12月です。納付日は支払方法によって若干異なるため、年末に寄附する場合は年内の納付日になるようにご注意ください。

(3)控除時期について
税の控除申請を行った場合、所得税は年末調整後に還付されますが、住民税は翌年の6月頃より給与に減額分が反映されるようになります。

以上、注意点を把握した上で、ふるさと納税の税控除を行うと、慌てることなく対応出来ますのでご確認ください。

ふるさと納税のやり方

ふるさと納税は多くの人が利用しやすいように、「楽天ふるさと納税」や「さとふる」、「ふるなび」など様々なサイトで行えるようになっています。

サイト毎に掲載している自治体や、ポイント還元率が異なるなど特徴があります。

ここからは、どういった順序でふるさと納税を行っていくのかを簡単に紹介します。【ふるさと納税のやり方】

(1)控除上限額を確認
自分の寄附金の所得控除上限額を確認してみましょう。※やり方は上述を参照

(2)ふるさと納税サイトを選ぶ
ふるさと納税を行うサイトを選びます。 サイトによって自治体と返礼品が異なりますので、自分の控除上限額で一番お得に返礼を受け取れるサイトを選んでください。

(3)支払を行い税控除申請方法を決める
寄附先である自治体の返礼品を選び決済に進みます。その際、ワンストップ特例制度を利用するかの確認がありますので、必要な場合はチェックをしておきましょう。

(4)返礼品と税控除必要書類を受け取る
決済後、数日で返礼品と税控除に必要な書類が届きますので、ワンストップ特例制度・確定申告のどちらかを選び税金の控除申請を行います。

このようなステップを踏み、寄附上限額を有効に使いながら自分が希望する返礼を手に入れてください。

まとめ

ふるさと納税の寄附金はあくまで、自分の地元やその他の自治体を応援する事を目的としています。ただし、その対価としてお得な返礼品を貰うだけでなく、寄附金を所得から控除して節税対策までできるというお得な制度です。そのため、有効的に利用しないのは勿体無いでしょう。

一方で税控除の仕組みなどは、難しい面もありますので自分自身で行う自信が無い人は、税金と生活のアドバイザーであるファイナンシャルプランナーに相談することをおすすめします。

この記事を執筆したファイナンシャルプランナー

倉知洋平(くらちようへい)
所属:株式会社マネープランナーズ