ふるさと納税ポータルサイト「さとふる」は、自治体への寄付に対する返礼品として、11月29日より「PayPay商品券」の提供開始を発表した。11月16日に行われた記者発表の模様を交えながら、この新サービスについて紹介する。

■最大で寄付額の30%を現地の店舗・施設で利用可能

「PayPay商品券」は「さとふる」で対象となる自治体に寄付すると、最大で寄付額の30%を受け取ることができ、当該自治体内の対象店舗・施設でPayPayのスマホ決済を通して支払いに使えるサービス。11月29日のスタート時点では栃木県日光市が対象となり、12月14日には山口県長門市でも開始予定。さらに年内に約30自治体で導入される予定となっている。

「PayPay商品券」は各自治体によって、地場産品の基準を満たす商品やサービスを扱っていると認定された店舗・施設で利用可能。寄付から180日が有効期限となる。日光市では約550の店舗・施設が対象となり、利用できる店舗・施設には専用ステッカーやポスターが貼られる。また、さとふる、PayPayの各サイトにも一覧が掲載予定で、寄付後も「PayPay商品券」の詳細ページから確認できるようになるそうだ。

さとふるサービス企画部部長・河田裕右氏によると、「その場で寄付、受け取り、体験が可能」とのこと。たとえば旅先で訪れた店舗に「PayPay商品券」のポスターが貼ってあれば、その場でスマホから寄付し、すぐに「PayPay商品券」を受け取って使用することもできるそうだ。

  • さとふる取締役・サービス企画部部長・河田裕右氏

なお、「PayPay商品券」は1円単位で利用でき、たとえば2,000円の商品券で1,500円の商品購入に使った場合、残りの500円は別途利用可能。紙の商品券のように、おつりが出ないという心配はない。逆に2,000円の商品券で3,000円の商品を購入するような場合は、2,000円と1,000円で決済を2回に分けることになる。

■「PayPay商品券」が現地へ行くきっかけに

実際に「PayPay商品券」を最速で導入する栃木県日光市の粉川昭一市長は、「日光市では観光関連のお礼品を希望する寄付が(金額にして)8割以上を占めているが、宿泊以外に現地で使用可能なお礼品が少ないと感じていた」と導入の理由を説明。

PayPay代表取締役社長の中山一郎氏も、「これまでのふるさと納税はお礼品を自宅で使う選択肢しかなかったが、『PayPay商品券』によって現地で体験できる選択肢が増えた」と、新サービスの意義を強調した。

この記者発表を通して「市役所で担当から聞いていた内容よりも数倍素晴らしい商品だなと改めてわかった」と語ったのは山口県長門市の江原達也市長。「ふるさと納税のお礼品は、イカ、フグ、鶏肉などが人気だが、やはり長門に来てもらわないといけない。これだけ魅力的な自然景観、温泉、アクティビティ、そしてなんといってもおいしい食があるので、『PayPay商品券』を長門に来るきっかけにしてほしい」と期待を述べた。

さとふる代表取締役社長の藤井宏明氏は、「将来的には『PayPay商品券』があるから観光してみようというのが当たり前の行動になってくるくらい浸透させていきたい」と意気込みを語った。今後導入が広がっていけば、「PayPay商品券」が使える自治体から旅先を選び、現地に到着してから寄付して、その場で受け取った「PayPay商品券」で支払うという旅のスタイルを選ぶ人も増えるのではないだろうか。

  • 左から日光市長・粉川昭一氏、さとふる代表取締役社長・藤井宏明氏、PayPay代表取締役社長執行役員CEO・中山一郎氏、長門市長・江原達也氏