帝国データバンクは11月9日、2022年1~10月に発生した「円安倒産」に関する調査・分析結果を発表した。それによると、10月の「円安倒産」は78件となり、今年最多の8月と同数だった。
年末にかけて高水準で推移する可能性
円安による輸入コスト上昇等が直接・間接の要因となり倒産した「円安倒産」は、2022年1~10月の期間に212件発生。急激な円安を受けて、8~10月の3カ月だけで1,920件判明しており、年間では2019年(22件)を上回り、過去5年で最多となる見通しだ。
10月までの「円安倒産」を業種別にみると、食品関連(製造・卸・小売)が6件で最多。次いで繊維関連が5件、機械器具、家具・建具関連が各2件と続いた。負債規模別では、全体の6割強が負債5億円未満の倒産だった。
同社が2022年8月に実施したアンケート調査によると、中小企業など約1.1万社のうち、円安が自社業績に「マイナス」の影響があると回答した割合は6割超に上った。また、このうち約8割が「急激な円安によるコスト増加を実感している」と答えたという。
同社は「今後も日米の金利差拡大を背景に、しばらくは円安(ドル高)トレンドが続く見通し。このため、円安にともなう物価上昇圧力は続くとみられ、企業を取り巻く収益環境はさらに厳しさを増していきそうだ。コロナ禍で疲弊した中小・零細企業は数多く、販売価格への転嫁もままならないまま円安倒産に追い込まれるケースが、年末にかけて高水準で推移する可能性が高い」と分析している。