マツダが3列シートSUV「CX-8」に大幅な商品改良を実施した。改良後の新型は11月2日に受注開始、発売は2022年12月下旬の予定。納期は現時点で3~4カ月となる見通しだという。グレード体系を見直し、新しく特別仕様車を導入するなど変更点は多いが、開発陣がこだわったポイントは?
車検を前に買い換え需要が高まる?
CX-8はマツダが2017年に発売した3列シート、最大7人乗りのSUV。「多人数乗車といえばスライドドアのミニバン」という常識を打破すべく、新たな市場の創造を目指して投入したマツダの意欲作だ。販売計画は月間1,200台(年間1.44万台)だったが、発売の翌年は年間3万台超を達成。その後も計画をほぼ達成し続けてきたが、ここ最近は商品改良を前にした買い控えの影響もあり、台数としては少し苦戦していたようだ。今回の商品改良はCX-8発売から5年目、つまりユーザーが2度目の車検を迎えるタイミングと重なるため、買い替え需要が期待できるという。
今回の改良にはいくつかのポイントがある。まずは外観の変更だ。前後のバンパー、ランプ、フロントグリルなどをマツダ最新のデザインに変更した。フロントグリルには「CX-8」専用のブロックメッシュパターンを採用。バンパーとランプはコーナーを拡げ、よりワイドなスタンスを強調した。ボディカラーには「ロジウムホワイトプレミアムメタリック」を追加している。
次のポイントはグレード体系の見直し。最上級グレード「エクスクルーシブモード」を進化させつつ、新たに特別仕様車「グランドジャーニー」と新グレード「スポーツアピアランス」を追加した。CX-8全体の価格帯は299.42万円~505.89万円となる。
グランドジャーニーは家族でのお出かけをイメージした特別仕様車だ。駆動方式は4輪駆動のみ。専用のドライブモードセレクター「Mi-DRIVE」で走り方を「ノーマル」「スポーツ」「オフロード」の3種類から選べる。インテリアはグレージュの合成皮革とファブリックを組み合わせたコンビシートを採用し、明るい雰囲気。気兼ねなく使える素材でありながら、茶色のパイピングやグレージュのステッチ、ハニカム模様のデコレーションパネルなどで品のいい仕上がりとなっている。
「スポーツアピアランス」は主要なパーツを艶のある黒で統一。インテリアはバーガンディーとし、スポーティーで上質な1台に仕上げた。
CX-8の開発責任者を務めるマツダ 商品本部の齊藤圭介さんが、商品改良で注目してほしいポイントを聞かれて真っ先に挙げたのは「2列目と3列目、後席シートの乗り心地」だ。今回の改良ではサスペンションに手を加え、リアのコイルスプリングを従来よりも柔らかくするなどの調整を実施。乗員の頭の揺れを抑制すべく作り込んだ結果、長く乗っても疲れにくく酔いにくい乗り心地を獲得できたという。
新型CX-8の完成度に手ごたえがあったのか、マツダは発売後1年間の販売目標を月間1,500台に引き上げる方針だ。