■挫折経験は「数えきれない」
――また、今作では、スキャンダルで失脚してしまったアナウンサーを中心に物語が進行しますが、川瀬さんは挫折した経験はありますか?
芸能界で生きていく上で、いろいろと身につけないといけないと思っていて、一時期、絵を描いたりしていたんです。模写はできるんですけど、色を付けていくことが難しくて……(笑)。センスがなくて、諦めてしまいました。
――元々、絵に興味があってということではなく、いきなりやってみようと。
そうですね。急に始めました(笑)。挑戦するときのフットワークはすごく軽いほうだと思います。コロナ禍でおうち時間が多かった時期は家でずっと大河ドラマを観ていたんです。そこから乗馬がしたいと思い、乗馬クラブに通い始めて、ライセンスを取りました! あとはキックボクシングとかも始めたんですが、割と早めにやめてしまいました(笑)。
――挑戦のフットワークも軽いけど、やめるフットワークも軽い感じですね(笑)。趣味以外で、女優として、挫折・悔しい経験をしたことは?
そうですね。それは数えきれないほどあります。ここは涙を流さなきゃという場面で、リハーサルでは流れたのに、本番で全然涙が出てこなかったことがあって。結局それでOKがかかってしまったので、すごく後悔しましたし、家でも落ち込みました。でも、それからリハーサルで感情のコントロールを心がけるように意識をしています。調整する意識を持つようにしています。
――落ち込んだときから、立ち直るのは早いタイプですか?
それはすごく早いんですよね。もう寝たら立ち直ります(笑)。でもしっかり反省はします。こういうことがあったから次はこうしようと前向きにとらえるタイプなので、マイナスな感情を引きずることはないかなぁ……。そこを引きずって次の日の撮影もダメになってしまうと、元も子もないですし、切り替えはできますね。
――先ほどの趣味と似ていて、そこの切り替えの早さは持ち前のものなんですね。
元からだとは思うんですけど、このお仕事を始めてからの方が自分はこういうタイプなんだなと再発見することが多いです。役を演じる、役と向き合うということをするようになってから、より一層自分がすごく見えてきた気がします。今の話にもあった切り替えもそうやって分かったことの一つかもしれないです。
■初舞台で感じた“演じる”ことへの意識
――どの作品でそういった意識が明確に分かったのでしょうか?
今年上演した舞台『ゲートシティーの恋』のときに強く思いました。この作品ではヒロインを殴るような男・新川役を演じたんですが、私自身は割と感情に素直というか、悲しいときは泣いてしまうタイプ。でも新川は悲しいとかを表に出さずに溜めて、怒りに変換するタイプだったので、真逆の思考を持つ男性を演じたことで明確に見えてきました。なので、これからはさらに自分を知って、それを役に反映・還元できるようになりたいです。
――初舞台で大きな経験をされたんですね。
映像作品とは違った面白さがありました。ずっと役に向き合う期間があったというのも新鮮でしたし、毎公演一発本番で、目の前で見ているお客さんがいるという状況も緊張感もありました。でも、一度幕が上がったら、ずっと途切れずに役に入り込むことができるというのはすごく楽しかったです。
――先ほどお話に出た大根監督の撮影法とも似ている部分がある気がします。
確かにそうですね。舞台を経験したからやりやすいのかもしれません。映像も舞台もそれぞれ面白さと難しさがあるなと感じているので、また機会があれば挑戦したいです。
■女優としてのマイルール「次はもっと上手くやろうと…」
――舞台なども経験され、女優デビューから3年が経ちましたが、特に成長を実感したタイミングはありますか?
作品ごとにある気がしています。先ほどお話しした舞台もそうですが、前の作品ではああだったから、こうしたほうがいいなと経験を糧に活かせるようにしています。完ぺきだったと思えることはないので、毎作品で何かしら学んで成長できるように意識しています。
――では、最後に女優として大切にしていること、信条はありますか?
これは作品に参加するといつも思うことなんですが、毎回頑張って挑んでいるんですが、のちになると全然頑張れていなかったなと感じるので、そうならないように入念に準備をしていくということは大切にしています。といっても、完ぺきというのはないとも思っていて、次は反省がないように頑張ろう、やれることを全部やって次はもっと上手くやろうという意識を持ち続けることは、自分の中の決めているルールです。
■川瀬莉子
1996年12月9日生まれ、愛知県出身。身長165㎝。2018年に「第2回 ミス美しい20代コンテスト」でグランプリを獲得し、芸能界入り。2019年にドラマ『ドクターX ~外科医・大門未知子~』(テレビ朝日系)に出演し、女優デビューを果たした。その後、ドラマ『先生を消す方法。』(テレビ朝日系)や、『あのときキスしておけば』(テレビ朝日系)などにレギュラー出演したほか、BSフジのバラエティ番組『冗談騎士』でアシスタントMCを務めている。