東京商工リサーチは10月18日、第9回「過剰債務に関するアンケート」調査の結果を発表した。調査は2022年10月3〜12日、資本金1億円以上の大企業及び1億円未満(個人企業等を含む)の中小企業を対象にインターネット上で行われ、5,189社から有効回答を得た。
中小企業の3社に1社が「過剰債務」
自社の債務(負債)状況を尋ねたところ、「コロナ前から過剰感がある」が11.3%、「コロナ後に過剰となった」が19.4%となり、計30.8%の企業が「過剰債務」と回答。「過剰債務」と答えた企業の割合は、2022年8月の前回調査(29.5%)と比べて1.3ポイント悪化した。
同調査では「コロナ禍のなかで行動制限のない9月、10月の大型連休を迎えたが、コロナ前に抱えた債務や為替変動などが企業収益に影響し、過剰債務を解消しにくい構図になっているようだ」と分析している。
「過剰債務」と答えた企業を規模別にみると、大企業は16.2%だったのに対し、中小企業は約3社に1社の33.0%で大企業とは2倍以上の差があった。
業種別では、「娯楽業」が最も高く62.5%。以下、「飲食店」が62.0%、「自動車整備業」・「農業」が各57.1%、旅行や結婚式場などの「その他の生活関連サービス」が55.5%、「印刷・同関連業」が51.2%、「繊維・衣服等卸売業」が49.0%と続いた。上位では対面型サービス業が目立ったほか、「円安加速、エネルギー価格の上昇などを背景に、原材料・肥料価格の高騰、部材等の調達難の影響を受ける業種で債務の過剰感が高い」(同調査)ことがわかった。
また、「過剰債務」と答えた企業に事業再構築への取り組みを聞くと、28.0%が「事業再構築の意向はない」と回答。一方、過剰債務が足かせで「取り組みことができない」は13.3%、「取り組み規模を縮小した」は21.4%となり、計34.7%の企業が事業再構築にマイナスの影響があることが明らかになった。
※資本金1億円以上を大企業、1億円未満(個人企業等を含む)を中小企業と定義している。