同社によると、今や200種を超えるというおでん種。その中には、限られた地域で親しまれている「ご当地おでん種」がある一方で、限られた地域で食されていたものが次第に広域で食されるようになっていくおでん種もあるという。

そこで本稿では、同社が独自に調査した48種類のおでん種の喫食率について、それぞれ上位10都道府県を算出、地図化して、東西に分かれるなどの特徴を持つおでん種を選んで比較した結果を紹介する。

  • 地域分布が特徴的なおでん種(かまぼこ・つみれ)

    地域分布が特徴的なおでん種(かまぼこ・つみれ)

まずは、全国各地でおでん種として重宝されている「練り物」から。練り物と言っても、すり身を焼いて作る「ちくわ」、揚げて作る「さつま揚」、蒸して作る「かまぼこ」、ゆでて作る「はんぺん」「つみれ」など、さまざまな種類が存在する。

関東・南東北では、イワシを原料にした「つみれ」が、中四国・九州では「かまぼこ」がよく用いられ、かまぼこは白色よりも紅色のものが多く利用されている。

  • 地域分布が特徴的なおでん種(いか巻・ごぼう巻)

    地域分布が特徴的なおでん種(いか巻・ごぼう巻)

続いて、同じく「練り物」から“巻物”と呼ばれるジャンルのさつま揚「いか巻」と「ごぼう巻」が登場。

「いか巻」は関東・中部がトップ10を独占したほか、福島(11位)、山形(15位)、宮城(16位)、秋田(18位)、岩手(19位)など、東北でも喫食率が高い。これに対し、「ごぼう巻」は全国平均63.0%と喫食率が高く、特に、関西を中心に中国・九州と西日本で人気のおでん種となっている。

  • 地域分布が特徴的なおでん種(がんもどき・厚揚げ)

    地域分布が特徴的なおでん種(がんもどき・厚揚げ)

続いて、豆腐を加工して揚げた「がんもどき」と「厚揚げ」をピックアップ。がんもどきは、寺院が多く精進料理などになじみ深い京都と滋賀、東日本の県で人気のおでん種。これに対し、「厚揚げ」は全国平均57.3%以上と喫食率が高く、19位まですべて西日本が占めた。

  • 地域分布が特徴的なおでん種(ちくわぶ・豆腐)

    地域分布が特徴的なおでん種(ちくわぶ・豆腐)

白いおでん種といえば「大根」と「玉子」で地域に偏りはないが、それ以外の白物では、小麦粉と水、塩をこねて作られた「ちくわぶ」が上位18位まで東日本の県が独占しており、関東・南東北で圧倒的に喫食率が高い。

これに対し大豆加工品の「豆腐」「焼き豆腐」は、中四国と九州と北陸で上位10県を占めており、西日本で多く食されている。

  • 地域分布が特徴的なおでん種(昆布・たこ)

    地域分布が特徴的なおでん種(昆布・たこ)

続いて、魚介類から「昆布」と「たこ」が登場。「昆布」は、東日本で喫食率が高い。「たこ」は、西日本では関西と日本海側が、東日本では北陸と東京・神奈川が10位以内にランクインしており、おでん屋さんの老舗「蛸長(京都)」さん、「たこ梅(大阪)」さん、「多古久(東京)〈22年9月現在休業中〉」さんと、名前に「たこ」がつくところも多い。