JR九州は12日、「100年をこえる物語をつなぐ。」をコンセプトに車両をリニューアルした「ななつ星 in 九州」を報道関係者らに公開した。客室数は最大10室(リニューアル前は最大14室)となり、サロンや茶室、バーラウンジなど新たな空間が誕生した。
「ななつ星 in 九州」は2013年10月、日本初のクルーズトレインとしてデビュー。水戸岡鋭治氏がデザインを手がけた客車7両をディーゼル機関車が牽引し、火曜日に博多駅を出発する3泊4日コース、土曜日に博多駅を出発する1泊2日コースを通じ、九州7県の各路線を走行してきた。乗客1人1人に寄り添ったきめ細かなおもてなし、九州各地の腕利きシェフによる料理、地域の人々との交流なども同列車の魅力となっている。
運行開始から9年を迎え、「ななつ星 in 九州」は「エピソード II」(第2章)として新たな旅を提案する。約3カ月にわたる車両リニューアルの工事を経て、車内も一新。「エピソード II」の幕開けとなる10月15日の運行開始に先立ち、リニューアル車両がお披露目された。
報道公開は博多駅5番のりばにて行われ、ディーゼル機関車DF200形7000号機と客車7両(1号車から「マイ77 7001」「マシフ77 7002」「マイネ77 7003」「マイネ77 7004」「マイネ77 7005」「マイネ77 7006」「マイネフ77 7007」)、その後方にディーゼル機関車DD200形701号機を連結した編成で入線。リニューアルされた2号車(サロン・茶室)・3号車(301号室・ギャラリーショップ)を中心に、1号車(ラウンジ)の車内も公開された。
リニューアル前の乗車定員は最大14室30名だったが、リニューアル後は最大10室20名に。これまで食事等を楽しめる車両だった2号車は、車両リニューアルでサロンカー「木星」に生まれ変わった。乗客同士の出会い・語らいの場としてだけでなく、車内アクティビティ等の場所としても活用される。セルフサービスで飲み物も準備するとのこと。
2号車では、新たに茶室も設置される。正座の必要がない立礼式で、いすを用意する一方、茶室らしく畳もあしらわれた。日本の伝統文化の香る空間で、九州各地の銘茶を中心に、クルーや特別に乗車した茶師が点てたお茶を楽しめるという。
3号車に設置されたギャラリーショップは、九州ゆかりの物品が並ぶ美術館のような空間に。九州の伝統工芸品、現代の匠の作品、九州独自の食の名産品など、「ななつ星 in 九州」ならではのセレクトによるアイテムが並ぶ。今回は非公開だったが、3号車にバーラウンジ「KAZ BAR」も設置された。専属のバーテンダークルーと語らいつつ、より上質な時間を過ごせる特別な空間になるという。なお、バーラウンジは別料金とされ、利用する人数を制限する場合がある。
ゲストルームは3~7号車に全10室あり、すべてスイートで各室シャワー・トイレ付き。今回は3号車に設置されたバリアフリー対応の客室(301号室)のみ公開された。
その他、4号車に2室(うち1室はダブルベッド対応)、5号車に3室、6号車に2室を用意しており、高品質のやすらぎと最上級のおもてなしを体感できる。7号車の2室は特別なデラックススイート。編成の最後尾にあたる「DXスイートA」(701号室)では、一面に施した展望窓からの景色を楽しめる(進行方向により、機関車が連結されるため展望窓の景色を見られない区間がある)。もう1室の「DXスイートB」(702号室)はダブルベッド対応の部屋となる。
1号車はラウンジカー「ブルームーン」。昼は休息場として使用でき、夜になるとバーがオープンする「走る社交場」に。ジャパニーズモダンな雰囲気の中、心地良いピアノの生演奏とともに、乗客同士の交流を楽しめる。
車両リニューアルが完成し、第2章を迎える「ななつ星 in 九州」の旅は10月15日からスタート。土曜日に博多駅を出発する1泊2日コースでは、初めて南九州を走行し、リニューアルした車両をゆっくり楽しめる九州周遊のコースとなる。火曜日に博多駅を出発する3泊4日コースは、季節によって異なる2つのコースを設定。10~12月は南九州を巡る霧島コース、1~3月は西九州など巡る雲仙コースを予定している。車両・コースのリニューアルにより、カスタマイズ性の高い旅程・サービスを用意し、1人1人に合わせた旅を提案するとしている。