JR九州は21日、新D&S列車「ふたつ星 4047」の報道機関向け試乗会を実施した。午前便(長崎本線経由の武雄温泉発長崎行)・午後便(大村線経由の長崎発武雄温泉行)の2回に分けて試乗会が行われ、今回は午後便に試乗。大村湾の広がる車窓風景を満喫した。

  • JR九州が新D&S列車「ふたつ星 4047」の報道機関向け試乗会を実施。午後便は長崎駅から武雄温泉駅まで大村線経由で運転された

新D&S列車「ふたつ星 4047」は、西九州新幹線の開業に合わせ、9月23日にデビュー予定。金・土・日・月曜日と祝日を中心に、午前便・午後便の各ルート1日1本を運行する。午前便は武雄温泉駅10時22分発・長崎駅13時15分着で、途中の江北(現・肥前山口)駅、肥前浜駅、多良駅、小長井駅などに停車。午後便は長崎駅14時53分発・武雄温泉駅17時45分着で、途中の新大村駅、千綿駅、ハウステンボス駅などに停車する。

車両は今年3月まで「はやとの風」として活躍した2両(キハ47形・キハ147形)と、「いさぶろう・しんぺい」の予備車両だった1両(キハ140形)を大幅にリニューアルした3両編成。外観はパールメタリックを基調に、金色のロゴとラインを車体の各所に配した。1号車「キハ47-4047」・3号車「キハ147-4047」は普通車指定席、2号車「キシ140-4047」はビュッフェを備えた共用スペース「ラウンジ 40」として使用される。

  • 長崎駅3番のりばに入線した「ふたつ星 4047」

  • 3号車(普通車指定席)の車内

  • 1号車(普通車指定席)の車内

  • 1・3号車ともに2人掛けソファ席を設置

  • 2号車の共用スペース「ラウンジ 40」。ビュッフェにて「長崎スフレ」も提供された

「ふたつ星 4047」の午後便は長崎駅3番のりばから発車。浦上駅から喜々津駅まで、長崎本線の「旧線」と呼ばれる区間を走行する。大草駅で普通列車との待ち合わせを行い、発車すると、進行方向左側に大村湾の車窓風景が広がり、列車はしばらく徐行。海の上を進んでいるような感覚を味わいつつ、おいしいスイーツとドリンクで贅沢なティータイムも楽しめるという。

2号車の「ラウンジ 40」では、午後便のみ販売されるスイーツとして、長崎市内の洋菓子店「ママン・ガトー」の人気メニュー「熱々スフレ」を車内販売用にアレンジした「長崎スフレ」(運行開始後は数量限定・事前予約商品として販売)が用意された。

  • 大草駅を発車した後、大村湾が見える区間で徐行運転。諫早駅では、「ふたつ星 4047」の運行開始を知らせるポスターも

  • 諫早駅から大村線に入り、進行方向右側に西九州新幹線の高架が見える。大村市の車両基地付近を通過し、松原駅を過ぎると、大村湾の車窓風景が広がる区間に

諫早駅の手前で、開業間近となった西九州新幹線の高架が現れる。「ふたつ星 4047」が諫早駅を発車し、長崎本線と分かれて大村線に入った後も、進行方向右側の車窓に西九州新幹線の高架が見える。岩松駅を過ぎたところで、進行方向左側に海が見え、その後は大村市の市街地に。大村駅を通過した後、諏訪駅付近から西九州新幹線と並行する区間となる。「ふたつ星 4047」は運行開始後、西九州新幹線との乗換駅となる新大村駅に停車する予定だが、今回の試乗会では通過した。

進行方向右側に西九州新幹線の車両基地を見つつ、9月23日開業予定の大村車両基地駅を通過。西九州新幹線と並行する区間が終わり、松原駅を通過すると、進行方向左側に大村湾の車窓風景が広がった。大村湾は四方を海に囲まれ、2本の水路(針尾瀬戸、早岐瀬戸)でのみ外海と通じている大きな湖のような海。静かに打ち寄せる波の音が琴の音に似ていることから、「琴の海」とも呼ばれる。

現在、大村線の主力車両はYC1系だが、車内はロングシート主体の配置(一部編成を除く)に。「ふたつ星 4047」はクロスシートの車両で大村湾の車窓風景を楽しめる貴重な列車となる。普通車指定席の一部に展望の悪い席もあるとのことだが、2号車の「ラウンジ 40」(共用スペースのため指定席なし)に窓側を向いたカウンター席や2人席・4人席、ソファ席など用意している。

  • 「ふたつ星 4047」が千綿駅に到着。大村湾を一望できるホームと木造駅舎が特徴

  • 千綿駅では、毎週金曜日に「CHANOKO号」が「くじら焼き」を販売する予定。発車の際、関係者らが手を振り、列車を見送った

「ふたつ星 4047」が停車する千綿駅は、大村湾を一望できるホームとレトロな木造駅舎で、撮影スポットとしても知られる駅。運行開始後、同駅に10分間停車(16時20分着・16時30分発)する予定で、駅舎内の花屋「ミドリブ」が乗客を出迎えるほか、毎週金曜日は列車の到着に合わせ、地元・東彼杵町の新銘菓「くじら焼き」を販売する「CHANOKO号」がやって来るという。試乗会でも「くじら焼き」が提供され、黒あん・白あんの2種類の味を楽しめた。

関係者らが手を振って見送る中、千綿駅を発車した「ふたつ星 4047」は、引き続き大村湾沿いの区間を走り、彼杵駅や川棚駅などを通過。車内では波佐見焼の転写体験が行われた。進行方向左側に早岐瀬戸が見えると、間もなくハウステンボス駅に到着する。

早岐駅から佐世保線に入り、「やきもの」の町として知られる有田駅に停車。進行方向右側に再び西九州新幹線の高架が見え、武雄市の市街地となり、終点の武雄温泉駅に到着した。

  • 試乗会の列車内で波佐見焼の転写体験が行われた

  • 西九州新幹線の高架が再び現れ、終点の武雄温泉駅へ

  • 武雄温泉駅に到着。新幹線ホームに「かもめ」(試乗会列車)が停車していた

武雄温泉駅では、西九州新幹線「かもめ」や在来線の特急「リレーかもめ」などに乗り換えることができ、「リレーかもめ」を利用すればその日のうちに佐賀・博多方面へ行ける。「ふたつ星 4047」と西九州新幹線「かもめ」で西九州エリアをひと回りする旅行も可能で、JR九州も両方の列車に乗車できるお得なきっぷ「かもめぐるりんきっぷ」を発売する。武雄温泉・嬉野温泉での宿泊も旅のおすすめのひとつに挙げられる。

なお、「ふたつ星 4047」のデビューにあたり、運行初日の9月23日に午前便の武雄温泉駅、午後便の長崎駅で出発式を行う予定。おもな停車駅と車内で沿線自治体による歓迎イベントも開催され、午前便は江北(現・肥前山口)駅、肥前浜駅、多良駅、小長井駅、午後便は諫早駅、新大村駅、千綿駅でおもてなしなどが予定されている。