ビザ・ワールドワイド・ジャパン(Visa)はこのほど、メディア向けにオンラインブリーフィングを開催。「Visaデビット」の最新動向や、2022年5月に開始したゆうちょ銀行のVisaデビットカード「ゆうちょデビット」のサービス開始後の状況などについて解説した。
わかりやすく若年層にも安心な「Visaデビット」
キャッシュレス化が進む昨今、Visaでは世界中いつでもどこでも誰からも選ばれ受け入れられる決済手段になるべく、キャッシュレス戦略を打ち出している。中でもVisaデビットはキャッシュカードやATM、現金などを介さず、銀行口座からそのまま買い物ができる新しい手段として普及を目指しているそうだ。
世界におけるVisaデビットの2022年の取扱高は2019年と比較して1.5倍に増加。取引件数も1.4倍になっている。これは、コロナ禍の影響もありデビットへのシフトが加速したという側面もある。
日本では、2022年6月末時点でVisaデビットの発行枚数は1,890万枚。発行会社数は37行となっている。鉄道やEコマース、レストランなどをはじめ、オンラインゲームや音楽プラットフォームなどでの利用も多いという。Visaデビットを利用する理由として「口座からすぐ引き落とされるから」という、わかりやすさを挙げる人が多く、また高校生などクレジットカードを保有できない若年層からの支持も大きい。
高校生への意識調査でも、適切な収入・支出の管理方法について学びたいという声が多く、保護者や教師からも口座の範囲で利用できるVisaデビットに安心感があるという意見が挙がっていた。
ゆうちょ銀行「Visaデビットを各種銀行サービスの初期接点に」
ゆうちょ銀行でも、キャッシュレス化を推進しており、合わせて窓口などのリアルサービスと連携したデジタルサービスの充実を図っている。ゆうちょ銀行アプリは2022年3月末時点で481万口座となっており、2025年度目標としてこれを1,000万口座にまで広げる見込み。今後は家計簿や家計相談アプリなどもリリースし、共創プラットフォームを戦略的に構築していきたいという。
ゆうちょ銀行のキャッシュレス決済には、クレジットカードの「JP BANK カード」、デビットカードの「ゆうちょデビット」、コード決済の「ゆうちょPay」の3種がある。
デビットカードにはデビットカード・プリペイドカードの「mijica」(2022年7月31日にサービス終了)で参入しており、「ゆうちょデビット」(2022年5月6日開始)へは再参入となる。
もともとゆうちょ銀行には窓口やATMなどが豊富にあることからリアルチャネルを利用する現金主義ユーザーが多い傾向にあり、キャッシュレスへの払出率は決して高くない。ただ、その分キャッシュレス化の推進余地は高いと考えているという。
実際のところ「ゆうちょデビット」への申し込みは、現在のところ想定を大きく上回るものとなっており、2019年の「mijica」リリース時と比べると数倍のスピードでユーザーが増えているそうだ。コロナ禍によって、キャッシュレスに対する意識が変わったことも大きく影響していると考えられるとのこと。
申し込みしているユーザーのうち、元mijica会員は1/3ほど。残りは一般ユーザーからの加入となっている。申し込みの8割以上はWebからで、10代~20代の若い世代が全体の4割ほどを占めていることも特徴的だ。
「mijica」は独立カードであったが、「ゆうちょデビット」は、キャッシュカード一体型で、カード番号などはすべてカード裏面に記載。常に持ち歩く1枚として、利便性の高さを意識したものとなっている。
ゆうちょ銀行としては、通帳アプリやデビットカードなどのキャッシュレス決済サービスを、資産形成や住宅ローン、給与や年金受取といったさまざまな銀行サービスへの初期接点を確保する場していきたいと考えているそう。
現在、ゆうちょデビットではキャッシュバック率5倍キャンペーンを展開、積極的なユーザー確保に努めている。「ゆうちょデビットの便利さ、気軽さを多くの人に体験してほしい」と同社。