JR九州は26日、「36ぷらす3」の新・月曜日ルート「金の路」の運行開始を前に報道試乗会を実施した。10月3日から博多~佐世保間を往復する新ルートで運行開始し、往路は肥前浜駅も経由する。報道試乗会は往路の行程で実施されたが、長崎本線で運転見合わせが発生した影響により、肥前浜駅を経由せず、博多駅から佐世保駅までの運行となった。
特急形電車787系を全面リニューアルしたD&S列車「36ぷらす3」は2020年10月にデビュー。2021年8月31日までに計485本を運行し、約2万7,000名が利用したという。九州内を中心に、関東・関西からの利用者も多い。「36ぷらす3」は木曜日から月曜日まで5日間かけて九州7県を巡り、月曜日ルートはこれまで博多~長崎間の往復で運行されてきたが、西九州新幹線開業に伴うダイヤ改正(9月23日実施)に合わせ、ルートを変更することとなった。博多~長崎間の最終運行は9月19日の予定だったが、台風14号接近の影響により、往路・復路ともに全区間で運休した。
新・月曜日ルート「金の路」の往路は運行開始後、博多駅を11時22分に発車し、鹿児島本線・長崎本線を走る。発車後に提供されるランチプランの食事内容もリニューアルされ、グリーン個室(1~3号車)では「日本料理ながおか」(福岡市)の「博多から西九州へ ご馳走御膳」、グリーン席(5~6号車)では「Nishimura Takahito La cuisine creativite」(福岡市)の「西九州を旅するフュージョンランチ」を提供。佐賀駅に停車した「36ぷらす3」は、長崎本線をさらに西へ向かう。
報道試乗会が行われた9月26日は、長崎本線牛津~江北間の踏切で大型トラックが脱輪し、レッカー車・クレーン車の手配と踏切安全確認に時間を要したため、正午すぎまで特急列車等の運休・遅延が発生する事態となった。「36ぷらす3」も定刻より大幅に遅れての発車となり、ルート変更を余儀なくされた。本来の行程では、長崎本線の肥前浜駅を経由し、江北駅まで折り返して佐世保線に入る予定だったが、江北~肥前浜間の運行が取りやめに。佐賀駅を発車した「36ぷらす3」は江北駅で運転停車し、武雄温泉方面の特急列車を先に通した後、発車して佐世保線に入った。
今回は取りやめとなったが、「36ぷらす3」の新・月曜日ルートでは、博多~長崎間の運行でも好評だったという肥前浜駅への停車が継続され、1時間弱停車(12時44分着・13時38分発)する予定となった。肥前浜宿の街並み散策、「HAMA BAR」での日本酒飲み比べ体験なども行われる。
報道試乗会で佐賀駅から武雄温泉駅まで走行している間、4号車「マルチカー」にて車内体験メニューが実施された。新ルートでの運行にあたり、西九州のやきもの文化に着目。日本遺産「肥前やきもの園」の陶片を使用し、「36ぷらす3」のロゴマークが入ったオリジナルコースターに陶片を飾り付ける、サステナブルかつオンリーワンな体験が楽しめるという。なお、新・月曜日ルートの運行開始後、車内体験メニューは武雄温泉駅を発車した後(14時50分頃~)に実施を予定している。
西九州新幹線と接続する武雄温泉駅で20分以上停車。博多駅発車時の遅れも回復し、その後はほぼ運行開始後の時刻通りに佐世保線を走った。新たなおもてなし駅となる上有田駅では、地元園児らがホーム上で「36ぷらす3」を出迎え。風情ある木造駅舎での記念撮影に加え、駅構内に併設された「駅カフェ SARAYAMA」でカフェタイムも堪能できる。早岐駅で進行方向が変わり、終点の佐世保駅へ。16時15分頃、「36ぷらす3」は佐世保駅4番のりばに到着し、「ようこそ佐世保駅へ」のパネルとともに出迎えられた。
新・月曜日ルート「金の路」の往路は、「36ぷらす3」の車内・車外で西九州エリアの魅力を味わいつつ、佐世保市内での観光・宿泊や周辺観光地への移動にも便利な時刻設定となっている。運行初日の10月3日、肥前浜駅、上有田駅、佐世保駅で「36ぷらす3」の到着に合わせ、地元自治体や観光協会などによるおもてなしも行うとのこと。
新・月曜日ルートのランチプラン(乗車駅は博多駅と佐賀駅、降車駅は肥前浜駅、武雄温泉駅、早岐駅、佐世保駅)はグリーン個室を大人1万8,300円・こども1万5,700円(食事なしの場合、こども9,700円)、グリーン席を大人1万3,300円・こども1万1,000円(食事なしの場合、こども8,500円)で販売。3号車の個室(1~2名用)を1名で利用した場合、追加料金1万500円が必要となる。グリーン席プランは博多~佐世保間で大人7,270円・こども5,280円とされ、その他の区間については「36ぷらす3」専用サイトにて料金を確認できる。
なお、新・月曜日ルートの復路は佐世保駅を17時31分に発車し、途中の武雄温泉駅と佐賀駅に停車。博多駅の到着時刻は20時6分とされている。博多駅での山陽新幹線などへの乗換えを考慮した2時間半の行程で、ビュッフェの営業を行う一方、食事付きプランの設定はない。5・6号車のグリーン席のみ発売され、グリーン個室(1~3号車)の発売は行わないとしている。