コーセーはこのほど、社員を対象とした「メンズメイクセミナー」を開催した。男性メイクの需要増やジェンダーレスな世の中に対する取り組みの一環として、まずは自社の男性社員に対して男性のビジネスシーン向けメイクのポイントを解説。今後は売り場でもメイクのジェンダーレス化に取り組んでいくという。
コーセーの男性メイクアイテム発売は1984年
セミナーに先立ち、コーセー取締役商品開発部長堀田昌宏氏が男性メイク・ジェンダーレスに対する自社の取り組みについて語った。
近年、男性メイクに対するニーズが高まってきており、その需要にあわせ順次売り場担当者への教育にも力を入れる予定だという。
コーセーは1984年、日本の化粧品市場で先駆けて男性メイクアイテム「ダモンブロンザー」を販売した歴史がある。当時は「男らしく見せる日焼けメイク」としてファンデーションなどを販売したが、時代的にあまり浸透しなかったそうだ。しかし2022年の現在は男性の美容意識は大きく変わっており、「男性の約70%が美容に対して好意的である」というデータもあるそう。
そうした時代の流れもあり、コーセーのスキンケアブランド「雪肌精」では「雪肌精に男性用はありません(=男女問わず使える)」というメッセージとともに、「化粧品は女性のもの」という常識を覆すべく「化粧という行為に性差はない」ことをアピールし続けており、さらに今年からは接客に対する多様性ガイドラインを売り場担当者にも徹底していく予定だ。
堀田氏自身も写真撮影時や人前に立つ際にはメイクをすることが多く、「メイクをすることで自信につながる」ことを実感していると話す。今後は企業向け・学生向けの男性メイクセミナーも実施し、YouTubeやTikTokも活用し男性メイクを広めていく予定だ。
メンズメイク、何から始めればいい?
続いて、美容開発部ビューティークリエーションユニット ヘア&メイクアップアーティストの土橋脩氏が登壇、ビジネスシーン向け男性メイクのコツを伝授した。当日はコーセーの社員12名が参加し、実際に男性メイクを体験。
土橋氏が考える男性メイクのポイントは、「メイク感のない自然な仕上がりにする」こと。特に男性の場合、「メイクをしている」ことが周囲に知られたくないと考える人も多いが、そんな「バレない」、だけど「印象が良くなる」メイクのポイントを教えてくれた。
スキンケア
まずはメイク前のスキンケア。男性の場合、ひげそり荒れやマスク荒れに悩んでいる方も多い。そのため、土橋氏のおすすめはアルコール分が入っていない肌に優しい化粧水。コットンにたっぷりと含ませ、ふき取るように塗布していく。ひげの生えている部分はコットンが引っ掛かり毛羽立ちやすいため、そっと上から置くようにして押さえなじませるとよい。
ベースメイク
続いてはベースメイク。男性にはリキッドファンデーションがおすすめだという。粉っぽさがなく肌なじみが良いこと、カラーバリエーションが豊富なため自分の肌に合う色が見つかりやすいこと、そして摩擦や皮脂にも強いのがその理由。肌に合わない色のファンデーションを使用すると、「メイクしている」感が出てしまうため、肌の色に合うものを見つけることが必須だ。
土橋氏が推奨するのは「コスメデコルテ ゼン ウェア フルイド」(各6,600円/30mL/全18色SPF25/PA++)。18色展開しているので、合うものが見つかる可能性が高いという。
ファンデーションを塗る際のポイントは
- 少量を塗布する
- 気になる部分だけにカバーするように使用する
- 白浮きしないように仕上げる
全体に厚塗りせず、特に目の下の部分をしっかりカバーするように塗り、その他はつけすぎないことだ。スポンジなどでしっかり叩き込むようにして塗っていく。
眉メイク
続いては眉メイク。まずはアイブロウパウダーを使い、眉山から外側・内側にそれぞれ色をのせるイメージで眉の存在感を出すように描き足していく。
続いてアイブロウペンシルを5㎜ほど繰り出して、斜めになっているうちの高い方を上にして少しずつ色を乗せていく。強く濃くなりすぎたらブラシや指で馴染ませるのがポイント。
アイブロウペンシルは力が入ると濃くなりすぎてしまうため、やわらかめで斜めにカットされているものが良い。
最後にアイブロウマスカラを使用し、眉毛の流れを整える。マスカラというもの自体が男性には使用イメージがわかず難しいかもしれないが、コツは「触ったと思ったら左右に動かす感じ」で塗布すること。マスカラは意外と男性にこそ有効なアイテムで、ひげの色を変えたい時や眉毛の白髪が気になる時にも色を変えてくれる便利なアイテム。髪の色に合わせ色を選ぶことで幅広く活躍してくれるに違いない。
リップ
最後にリップ。使用したことのある男性も多いであろうリップにテクニックはほぼ不要だ。血色が悪いと不健康に見えるので、乾燥を抑えるだけでも血色よく見えるという。
中にはほんの少し色味が付いて血色をさらに良くしてくれるものもあるという。あまり露骨に「塗ってます」感が出るほどつけすぎてしまったらティッシュで押さえればOK。
土橋氏が推奨するのは「マニフィーク ナチュラルリップバーム99 002ティント」(1,650円/3g/9月21日発売)。リップそのものの色はグレーだが、唇に乗せると水分と反応し自然な血色感を演出するという不思議なもの。見た目も使用感も男性が使用しやすいようにできている。
番外編:アイカラー
番外編でアイカラーのコツも伝授してくれた。アイメイクは男性にはハードルが高いかもしれない。しかし、「骨格がハッキリとして顔にメリハリがつくので特に人前に出る人には挑戦してみてほしい」と土橋氏は話す。
「ヴィセ ニュアンス マット クリエイター」(各1,320円/5g/全5色/10月16日発売)はマットな色味でラメやパールなどが一切入っておらず、メイク感が出ずに肌に溶け込みやすいので男性メイクにもおすすめ。
アイカラーの濃い色を指先にとって2~3回まぶたのまつ毛に近いところに乗せなじませるだけで顔に立体感が出る。まずは濃い色1色だけを使用することから始め、慣れてきたら明るいカラーを重ね立体感をさらに出しても良い。
こうしたメイクにチャレンジする際に、気になるのは「メイクの落とし方」。今回土橋氏が提唱したメイクの場合、クレンジングと洗顔が一体になった洗顔料などで洗うだけでも十分に落とすことができるという。
参加した社員「顔が締まって見える」「眉がいい感じに描けた」
この日メイクセミナーに参加した、人事部長を務める男性は「新卒採用でメイクをして面接を受ける学生が増えてきたので体験してみたかった。自分の眉毛の欠けているところをメイクしたら顔が締まって見えた」と驚いた様子。
営業担当の男性社員は「売り場を見ていると男性にもメイク需要が高まっていることを実感している。そのため自分も体験してみたかった。眉毛がいい感じに書けたのでこれからも挑戦してみたい」と話した。
まずは「ベースメイク」「眉」「リップ」「アイカラー」のどれか一つでも取り入れてみることで、楽しくなり自信がつきそうだ。メイクは男女関係なく自信をつけたい日の「スイッチ」になってくれるはず。まずは眉だけ描いてみる、といったチャレンジしてみてはいかがだろうか。