帝国データバンクは9月15日、「価格転嫁」に関するアンケート調査の結果を発表した。同調査は9月9日~13日、1,649社を対象にインターネットで実施した。

  • 価格転嫁の状況

価格転嫁の状況について尋ねたところ、自社の主な商品・サービスにおいて、コストの上昇分を販売価格やサービス料金に「多少なりとも転嫁できている」と回答した企業は70.6%だった。18.1%は「全く価格転嫁できていない」と答えている。

コストの上昇分に対し、「すべて価格転嫁できている」は2.3%だった。「8割以上できている」は11.7%、「5割以上8割未満できている」は16.7%となっている。

価格転嫁をしたいと考えている企業で、コストの上昇分に対する販売価格への転嫁割合を示す「価格転嫁率」は36.6%だった。これはコストが100円上昇した場合、36.6円しか販売価格に反映できていないことを示している。

業種別の価格転嫁率を見たところ、「建材・家具、窯業・土石製品卸売」(53.1%)は全体(36.6%)を16.5ポイント上回っており、「機械・器具卸売」(50.9%)とともにコストの上昇分に対して半分以上販売価格に反映できていることがわかった。「飲食料品卸売」(48.3%)では価格転嫁率が5割近くに迫っている。

しかし、「ソフト受託開発」などを含む「情報サービス」の価格転嫁率は14.4%と全体を22.2ポイント下回った。「自社のような中小企業において、人件費の増加分を価格に転嫁することは難しい」「価格転嫁が困難な業態である」といった声があがっている。

トラック運送などを含む「運輸・倉庫」(17.7%)も価格転嫁が進んでいないことがわかった。「運賃交渉を継続中。業界内には積極的な値上げ交渉をすることによる荷主離れを懸念して値上げが進んでいないと考えている」という意見もあった。

  • 価格転嫁率~主な業種~

政府の物価高騰対策の効果について聞くと、「大いに効果を実感している」「ある程度効果を実感している」は11.8%にとどまった。73.2%は「あまり効果を実感していない」「ほとんど効果を実感していない」と答えている。

  • 政府の物価高騰対策の効果