現在Disney+(ディズニープラス)で配信中の実写版『ピノキオ』。本作でピノキオを巧みな言葉で騙して人形ショーに売りつけようとするキツネの詐欺師・正直ジョンを演じているのがお笑いコンビ・とろサーモンの村田秀亮だ。初の声優がディズニー作品という大役となったが、過去に詐欺に遭った経験が役作りに大きく関わっているというエピソードを明かしてくれた。
村田についてディズニーは「ドラマや映画で見せる高い演技力」と「数々の番組でナレーターとして活躍してきた渋く響く美声」を起用理由として明かしていたが「ナレーションはよくやらせてもらっていましたが、声優の仕事を一度もしたことがない中、まさかのディズニーの名作『ピノキオ』ですからね、自分に来るわけないと思って『嘘つけ』って言っちゃいました」とにわかに信じられなかったという。
村田が演じたのは、命を吹き込まれたピノキオを人形ショーの興行師ストロンボリに売りつけようと、言葉巧みにだますキツネの詐欺師・正直ジョン。村田は「お金欲しさで口車に乗せてそそのかす……ってまあ典型的な詐欺師ですよね。実は僕、昔詐欺に引っかかって現金98万円だまし取られたことがあったんです」と衝撃事実を明かす。
続けて村田は「大阪に出てきてすぐで、まだ右も左もわからないとき、僕が住んでいたマンションのポストのところに目が細くてキツネみたいなおじさんがいたんです。その人が『兄ちゃん格好ええな、俳優さんみたいやな』って調子よく声を掛けてきて、そのまま串カツ屋に連れていかれて、一緒に飲んだんです」と当時を振り返り、その後何度もご飯やお酒を一緒に行く仲になったという。
ある日そのおじさんに「うまい儲け話があるんだよ」と言葉巧みに誘惑された村田は、消費者金融からお金を借りて、その投資話に乗ってしまい、現金98万円を騙し取られたという。当時村田は「めちゃくちゃ恨みを持っていた」というが、台本を読んだ際に、「あの時のおじさんみたいだな」と感じ、しゃべり方など正直ジョンの役作りに活かしたという。意外なところでつながった詐欺師のおじさんに「今はちょっとありがとうって言いたいですね」と笑っていた。
「信じられなかった」というディズニーからのオファーだったが、小さい頃、母親からは「きれいな声だから歌手になりなさい」とずっと言われていたという村田。声の仕事に就くきっかけは、お笑いコンビ・バッファロー吾郎が主催していた大喜利ライブ「ダイナマイト関西」で、呼び込みのナレーションをしたこと。
「大喜利対決でやってきた人たちを、K-1の呼び込みみたいな形でナレーションする仕事をやらせてもらったんです。そこからCMのナレーションやライブのナレーションなどいろいろな番組に呼んでいただくようになりました。『あらびき団』のナレーションもその流れです。その意味でバッファロー吾郎さんには感謝しかないです」
しかし、ナレーションの仕事は増えるものの、声優の仕事にはたどり着かなかった。「本当に声優の仕事をしたかったので、知り合いのアニメーションを作っている人とかに『僕声優やりたいんです』って結構懇願したのですが、全然縁がなかったんです」と語ると「なんでもいいからやりたいと思っていたら、まさかのディズニーで。シンデレラストーリーすぎてちょっと感動しました」と本当にうれしい話だったことを強調する。