東急不動産と鹿島建設はこのほど、登録有形文化財「旧九段会館」の保存・復原プロジェクトによって生まれ変わった新施設「九段会館テラス(KUDAN-KAIKAN TERRACE)」の開業日が、10月1日に決定したと発表した。
「九段会館テラス(KUDAN-KAIKAN TERRACE)」は、「水辺に咲くレトロモダン」というコンセプトのもと、登録有形文化財建造物である旧九段会館を一部保存しながら、最新テクノロジーの活用や企業の健康経営など、現代の様々なニーズを具現化し、建て替えられた新しい施設。
歴史的建造物を創建当時の貴重な技術・素材を活かして保存・復原を行った保存部分と、お濠を臨みIoTを活用した地上17階建ての最新鋭のオフィスとなる新築部分の新旧が融合した、レトロモダンな施設になっているという。
例えば、バンケットルーム(真珠・鳳凰)では、戦前の絵はがきや写真などの創建当時の資料をもとに、床材をヘリンボーン張りのフローリングに変更し、壁紙は特注織物のクロスへの張り替えなどを実施することで、創建時の姿を復原。これらの意匠を壊さぬようLEDでありながら温かみのある光を放つ、特注のシャンデリアタイプの照明を採用している。
建物正面の玄関ホールは、創建当時から床や壁に用いられてきた大理石を活用し、重厚な雰囲気に。床や天井なども創建時の素材に近い風合いでありながらモダンさを併せ持つ建材を厳選し、レトロモダンな空間を演出している。
これまで応接室・役員室として使われていた部屋はパントリーなど後年に設置された箇所を撤去した上で補修・復原し、「ゲストルーム 雅・葵」としてリニューアル。90年前の雰囲気そのままに、寄木貼りの床や絹織物(紗織)の天井や、それに合わせてセレクトしたデザイン性の高い家具が、オーセンティックな空間を演出している。
また、登録有形文化財である旧九段会館の雰囲気を感じられるクラシックオフィスは、約20~80坪の小規模オフィス。内装やインテリアデザインにクラシックな雰囲気は残しつつ、大規模オフィス同様の最新鋭のセキュリティシステムや高グレードのビルスペックを導入し、現代に則したオフィスワークが可能な環境となっている。
そのほか、17階建ての新築オフィスは制震構造、保存部分の建物は「免震レトロフィット工法」を採用。また、国内のオフィスビルへの導入は初となるスマートガラス「View Smart Glass」を採用。建物屋上に設置したセンサーとAIにより、太陽の位置や天候に合わせてガラスの透過率を4段階で自動調整し、室内に差し込む自然光・熱量を最適化して空調や照明によるエネルギー消費量の削減を可能に。
さらに、データ連携基盤「Smart City Platform」を活用し、同施設内の混雑状況検知をはじめとする IoTソリューションを一元運用。また、新型コロナウイルス感染症対策として、ICカード連動エレベーターや、非接触・抗菌・換気できる仕組み、吸引式のハンドドライヤーを取り入れるなど、オフィスワーカーが安心して出社できる環境作りを目指すという。
同施設では、入居企業の健康経営推進をサポートするべく、付帯施設の設置や様々な取り組みを行い、オフィスワーカーのこころと身体の健康にも配慮している。
シェアオフィスに、MONOSUS社食研が運営する新しい形の職域食堂「九段食堂 KUDAN- SHOKUDO for the Public Good」を併設し、クリニックとも連携することで、各々の健康状態に合わせたメニュー選びが可能に。
また、オフィスワーカーの健康を支える、内科・皮膚科・耳鼻科・歯科・薬局が集まるクリニックモールの設置。クリニックモール内に「LSクリニック東京」のアプリを導入することで、入居企業の健康経営推進と従業員の健康サポートを行うという。
保存部分屋上には、一部来館者もご利用可能な屋上庭園と、ラウンジが整備されており、オリジナルの健康家具を配置。入居テナントのワーカーのリフレッシュタイムはもちろん、緑に囲まれながらのディスカッションなど、様々なシーンで活用できる開放感と緑あふれる空間となっている。