小学館の国語辞典「大辞泉」編集部は、開催中の「大辞泉が選ぶ新語大賞」キャンペーンに寄せられた362件の新語の中から、「8月の新語」6語を選定、「大辞泉」デジタル版に掲載するという。

大辞泉が選ぶ「8月の新語」はこの6語

【モブ社員】

会社で目立たない人、存在感のない社員。

【シャドウバン】

不適切な投稿をツイッターでした際に、自身のツイートが他のユーザーから検索されなくなること。

【フラットアース】

地球が球体ではなく、平面であるという主張。また、そのような地球。平面地球説。

【宗教2世】

特定の宗教を信仰する家に育った子どもたち。

【顔パンツ】

マスクのこと。パンツを脱いだ姿を見られるのが恥ずかしいのと同様に、マスクを外した顔を見られるのが恥ずかしいことから。

【芯を食う】

野球やゴルフで、ボールの中心をうまくとらえて打つ。また、核心をつく。的を射る。

「大辞泉」編集協力・田中牧郎氏(明治大学国際日本学部教授)は、「8月の新語」を以下のように選評。

「【モブ社員】モブというのは群衆といった意味ですね。昔は『出る杭は打たれる』なんて言われていましたが、今はサラリーマンであっても個性を求められる時代。そうでない人は生きづらくなっているようです。

マスク着用が常識化しているいま、イヤイヤ着けているのはじつは、中高年。高校・大学生たちは、顔を見せずに済むマスクを【顔パンツ】と呼び、付けるのが当たり前の必需品ととらえているようです。

【フラットアース】【宗教2世】は、育った環境や教育によって科学観・宗教観、そして生き方自体が大きく左右されるという現実と、どちらも関連している言葉。そういう人たちも含めた社会の在り方が問われています」

これらの語釈は一般から投稿されたもので、正式な語釈は編集部が執筆陣に依頼し、2023年4月の改定時に「大辞泉」デジタル版に収録する予定。

新しい言葉の採録に積極的に取り組んでいる“生きている国語辞典”「大辞泉」のデジタル版データは、2022年8月時点で最新採録語数・約30万9,650語に達し、ネット辞書のなかでもナンバーワン。さらに毎年2回、毎回約2,000 語の新語を追加し、定期更新しているという。