人気バトルアクション『HiGH&LOW』シリーズの最新作である、映画『HiGH&LOW THE WORST X(クロス)』が9日に公開される。『ハイロー』シリーズと高橋ヒロシ氏(※高は、はしごだか)による不良漫画『クローズ』『WORST』のクロスオーバー映画となり、前作の『HiGH&LOW THE WORST』は興行収入10億円越えのヒットで、新たなファンを開拓するなど話題となった。

今回は、『HiGH&LOW』シリーズに登場する鬼邪高校 全日制から轟洋介を演じる前田公輝と、『クローズ』『WORST』の世界にも登場する鳳仙学園から小田島有剣を演じる塩野瑛久にインタビュー。前作では“美しい戦い”として注目を受けた2人だが、今作ではまた関係が変わっているようで、どのように役を構築していったのか話を聞いた。

  • 左から塩野瑛久、前田公輝 撮影:宮田浩史

    左から塩野瑛久、前田公輝 撮影:宮田浩史

■台本を読んで驚いた変化

――前作が上映されて以来、お二人で色々雑誌に出られたりもしていて、さらに役としても轟と小田島の距離が縮まっていたり、いろいろな変化があったと思いますがいかがでしたか?

前田:とても変化してたよね?

塩野:変化してましたね。

前田:台本に、自分の想像を優に超える変化のある言葉がたくさん詰まってました。

塩野:やっぱり最初、台本読んだ時はびっくりしました。

前田:だからそこまでの背景を作るのが、最初にやった作業でした。ここの2人の関係では、それがすべてと言っても過言ではない。

塩野:僕は前回轟に負けているので……その後の決戦で、同じ敵(牙斗螺)を目の当たりにして、鬼邪高も鳳仙も乗り込みに行き「どうせなら一緒にやるか」みたいになったけど、腑に落ちてなかったですもん。鬼邪高と手を組むことに!

前田:そうだよね(笑)。でも、結構小田島以外にもそういう雰囲気が漂ってたよね。

塩野:漂ってました、鳳仙チームに。でもやっぱり、戦い後の変化がきっとすごかったんだろうなと。最後の神社での戦いで、花岡楓士雄(川村壱馬)の男気や、上田佐智雄(志尊淳)が認めているということも目の当たりにしている。そんな楓士雄を支えている鬼邪高のブレーンのように見える男を、小田島がターゲティングして、どうからかってやろうかな、くらいのノリで近寄っている感じがします。

――前作からの空白を埋める作業はありつつ、実際にお二人で演技することについてはどうだったんですか?

前田:むしろ、前作ではあえてとってもやりにくいようにしてたんだなと思うぐらい、やりやすかったです。役柄的にも敵対していたし、当時はタイマンのシーンで「やりやすかったね」という感想なんて互いに絶対に求めてなかったですけど、今回は距離が近くなって、会話してみるとこんなにもハマるのかという驚きを感じました。

■轟の強さの秘密は?

――今作は鈴蘭男子高校が出てくることもあり、さらに『クローズ』『WORST』の色も出てきたように思います。お二人は前作と今作との違いなど、感じたところなどありましたか?

前田:驚きの連続でした。鬼邪高の関係も轟の立ち位置も、いろいろ考えることは積もっていたような気がします。

塩野:鬼邪高もそうだし、今回は鳳仙も高校生の日常風景なども見えて、高橋先生の『クローズ』『WORST』で描かれる部分に近いところはあるような気がしました。

――たしかに鳳仙の道場のシーンも…。

塩野:そう、それは鳳仙の伝統ですね(笑)。道場で戦い合うという。

――ドラマシリーズから出続けている方がだんだん少なくなりましたが、前田さんはいかがですか?

前田:轟一派のみとなりましたね……なんか、そうなんですよ! 背負わなきゃいけないものが大きすぎて、実は考えないようにしていたんですけど、恐らく轟一派のみですよね。

塩野:(笑)

前田:すごいことになりました(笑)

塩野:HiGH&LOWを背負ってるんですよ!

前田:ほら! すっごい重圧です!

塩野:あの長いシリーズで、今、残ってるのが轟一派ですよ。

前田:全然、塩野くんの目を見れないです(笑)。そのプレッシャーを感じてたから、今までほぼ感覚として持ってなかったんだと思います。轟に影響が出ると思って、撮影当時はいったんそこには蓋をしてました。むしろ、もっと仲間とか絆の方を背負いたかったので。

――今回も轟の強さを感じましたが、「轟があれだけ強いのは、『HiGH&LOW THE MOVIE』のコンテナ街の戦いを経ているからでは?」という通説がありまして。

前田:いや、どうなんですかね? 結局お金持ちなんですよ、轟って! ドラマでもジムに通ってるんですけど、意外とHiGH&LOWの中でジムに通ってるキャラっていないんです。しかもあれ、よく見ればわかるんですけど、貸切なんですよ!

塩野:たしかに!(笑)

前田:パーソナルジムでもなく、貸切で、1人で追い詰めてる。だからその分鍛えてると思います。

――「轟はジムに通ってるから強い」説!

前田:もちろんそれだけでなく、メンタルの強さで言ってもキャラクターの中で割と上位に入るんじゃないかなと思います。番長・村山良樹と対峙して、鬼邪高だけでなくSWORDのテッペンを取ろうとしていた轟がいて、そこで破れてから村山に執着するようになって、楓士雄が入ってきて……轟のパーソナルスペースって、元々1~2kmはあったはずなんです。それがどんどん、ずけずけと侵害されていたことに対して、精神的なダメージは絶対あったと思うんですよね。短い時間で人間が変わるくらいのものがあったと思うんですけど、それを乗り越えて、今はもう鬼邪高の看板みたいな矜持を感じるようになっている轟について、僕は本当に親心というか兄心というか、身内のような感覚で「よく頑張ったなあ」とか、「お前、本当にそんなにしゃべれるようになったんだな」とか、そういう気持ちにもなってました(笑)。付き合いも長いんで、一言では全然語れないというのがありますね。

※ネタバレありのインタビューは映画公開後に掲載予定

■前田公輝
1991年4月3日生まれ、神奈川県出身。6歳より子役として活躍し、『天才てれびくんMAX』(03~06年)に出演。『ひぐらしのなく頃に』(08年)にて映画初主演。近年の主な出演作に『向かいのバズる家族』『火村英生の推理 2019』『貴族誕生 -PRINCE OF LEGEND-』(19年)、『江戸モアゼル~令和で恋、いたしんす。~』(21年)、映画『カイジ ファイナルゲーム』(20年)、ミュージカル『ロミオ&ジュリエット』(21年)など。現在、NHK連続テレビ小説『ちむどんどん』に出演中。

■塩野瑛久
1995年1月3日生まれ、東京都出身。2011年に開催された第24回ジュノン・スーパーボーイ・コンテストに応募し、審査員特別賞およびAOKI賞を受賞、2013年『獣電戦隊キョウリュウジャー』出演で話題を呼ぶ。近年の主な出演作に映画・ドラマ『PRINCE OF LEGEND』『HiGH&LOW THE WORST』(19年)、ドラマ『来世ではちゃんとします』シリーズ(20年~)、『探偵が早すぎる~春のトリック返し祭り~』(22年)、ウェブテレビ『私たち結婚しました2』(22年)、パルコ・プロデュース2022「VAMP SHOW ヴァンプショウ」など。