――現場の雰囲気がとても良いそうですが、お二人の距離が縮まったようなきっかけがあれば教えてください。

荒木:笹舟を作るシーンがあるんですが、そのシーンの間にしゃべった時でしょうか。

北野:そのシーンを夕日が沈む前に撮ろうということで、私は荒木くんが笹舟を作っている横でやることがなくて空を見ていたんです。そうしたら雲がプーさんの横顔にめちゃくちゃ似ていると気づき、そのことをどうしても言いたくなってしまって(笑)

荒木:そうそう。急に「プーさんじゃない?」と言われて、見たら本当にそうだったので「ええ!」って思いました(笑)

北野:私は人見知りなので、いつも共演者がどういう風に来られるんだろうと思ってしまうのですが、荒木くんは空気感が明るくて、どんどん引き込まれていきました。男の子に対して言うのもなんですが、「かわいいなあ」と。現場ですごくおしゃべりをしてもらい、本当にありがとうございます。

――お互いの演技に関しても、共演した感想を聞かせてください。

荒木:最初にいい意味で、すごくイメージ通りだったのでびっくりしました。一緒に演技していると「ああ、本当にナギだな」と思えたんです。だから僕はまったく違和感なく本当に役に入り込めたというか、ナギに対してのめり込んで気持ちを作れました。

――「本当にナギだ」と思った、北野さんとナギとの共通点は何だったのでしょうか?

荒木:話しているトーンというか、カメラが回ってない時とは違い、急にナギが来る感じです。トーンや表情がリンクして変わるので、びっくりしました。

――北野さんは、荒木さんと共演してみていかがですか?

北野:年下の男の子との現場は初めてで、しかも主演の子が年下だという点にハードルを感じていたんです。でも、私自身も大人になり切れてない部分があり、ケラケラ笑うのもすごく好きだし、荒木くんは本当に明るいので、カメラが回ってない時は、荒木くんをけしかけて笑っていました。でも荒木くんはいざカメラが回って令児になると、すごく闇深い目をされるのが印象的で。とはいえ役柄上、ナギちゃんは引き込まれちゃダメなので、自分を保つのが大変でした。また、荒木くんはビジュアルが令児すぎます。台本の1冊目の表紙が令児くんですが、荒木くんがいないシーンでも、それをかざしてもらって演技をしていたくらいで、そこも素晴らしいなと思いました。

――最後に、今後ドラマを楽しみにしている方々へのメッセージをお願いします。

荒木:僕なりの黒瀬令児役をやれるように精一杯頑張っているので、ドラマならではの令児を楽しんでいただけたらいいなと思います。

北野:たぶん皆さんにもあると思う悩みや黒い部分に本作が届いて、少しでもそういう悩みが晴れるようにと、ちゃんと作品を大事にしながらナギちゃんとして、残りの撮影を頑張っていきたいです。

■荒木飛羽(あらき・とわ)
2005年9月28日生まれ、茨城県出身。2014年にドラマ『死神くん』でデビュー。2018年に大河ドラマ『西郷どん』や、同年の連続テレビ小説『半分、青い。』に出演。近作のドラマは、『青のSP―学校内警察・嶋田隆平―』(21)、『愛しい嘘~優しい闇~』(22)など。映画の代表作は『るろうに剣心 最終章 The Final/The Beginning』(20)やドラマにも出演した『あなたの番です 劇場版』(21)など。『耳をすませば』が10月14日公開予定。
■北野日奈子(きたの・ひなこ)
1996年7月17日生まれ。北海道小樽市出身、千葉県育ち。2013年3月、乃木坂46の2期生オーディションに合格し、2014年4月に8thシングル「気づいたら片想い」で初選抜、正規メンバーに昇格。今年4月30日をもって乃木坂46を卒業した。女優としては、乃木坂46のメンバーとともに、舞台『じょしらく』シリーズ(2015、2016)や『あさひなぐ』(2017)などに出演。グループ卒業後初の演技の仕事として、今年7月に舞台『蒲田行進曲完結編 銀ちゃんが逝く』に出演した。

荒木飛羽=ヘアメイク:反田やよい スタイリング:Yoh U 北野日奈子=ヘアメイク:大場聡美 スタイリング:優哉 衣装:NAKAGAMI(NAKAGAMI nakameguro)