"e-sports"で地域活性化を目指すイベント「第二回 立川立飛地域交流eスポーツカップ」が7月8日、東京・立川市の「ルーデンス立川ウエディングガーデン フランス館」で開催。立川市を含む都内多摩地区に本社や拠点を構える24の企業・団体が参加し、e-sportsを通して、交流と親睦を深めた。
e-sportsで多摩エリアを盛り上げる
イベントは立飛ホールディングスとNTT東日本がNTTe-Sportsの協力のもと開催。立飛ホールディングスは、戦前に飛行機を製造していた「立川飛行機」を前身とする不動産会社で、現在は多摩エリアに「TACHIKAWA STAGE GARDEN」、「アリーナ立川立飛」、「ドーム立川立飛」といった文化・スポーツイベント施設などを展開・運営している。
そしてNTTe-Sportsは、2020年1月に設立された、NTTグループのeスポーツ分野の事業会社。3社は2020年9月に「立川eスポーツプロジェクト」の推進に向けた連携協定を締結し、翌2021年6月には、オンラインイベント「第一回立川立飛 地域交流カップ」を開催している。
当初予定では、2021年10月に一般客も参加可能な「eワールドフェス」の開催が計画されていた。しかし、コロナ感染者の増加により延期となったため、今回はプロジェクト初の"リアル"イベントの開催となった。
3社のおもな役割は、立飛ホールディングスが中心となり、地域企業・関係団体へ大会参加の呼びかけを行い、NTTe-Sportsがeスポーツの専門知識、アライアンスを活用したイベントを企画。NTT東日本はイベント開催のためのICT環境の構築を担当している。
冒頭のオープニングセレモニーで、主催者を代表して挨拶した、立飛ホールディングス 取締役 総務部長の守屋信雄氏は「まずは昨年6月に1回目の地域交流会を開催して手ごたえを感じて2回目を開催することになりました。e-spostsイベントのノウハウの蓄積や機運の醸成を図っていきたい」と述べ、地域のパートナー企業と連携し、e-sportsを通じて多摩エリアを盛り上げ、魅力的な地域にしていく意向を示した。
「ブロスタ」を活用したチームサバイバルゲーム
イベントは、SUPERCELLが開発する、モバイルゲーム「ブロスタ」を活用。チーム対戦型ゲームで、各団体3人1組となり、1試合3分間勝敗を競う。
優勝チームは、トーナメント方式で決定。1回戦から準優勝までは1戦で勝敗が決まるBO1形式、決勝戦のみ2勝したチームが勝者となるBO3形式を採用し、勝ち上がったチームが優勝者となる。さらに、1、2回戦で敗退した16チームを対象にした、全試合BO1形式によるサブトーナメントも行われた。
イベントの司会進行と実況は、eスポーツキャスターの馬人(うまんちゅ)氏が担当。「ブロスタ」の元世界1位プレイヤーであり、Youtuberとしても活動するYAPIMARU氏も解説者として参加し、昨年6月の第1回大会と同様に、YoutubeをNTTが提供するXR空間プラットフォーム「DOOR」を活用したリアルタイム配信も行われた。
白熱した戦いの末、優勝したのは、表彰用品や記念品、オリジナル商品の製作会社・立川徽章。準優勝の大塚製薬、3位のフィギュア、プラモデルなどの企画製造販売会社・壽屋、サブトーナメント優勝者のは立川バスとともに、それぞれ表彰状と副賞が贈られた。
企業の交流など地域活性化につながる
閉会式に登壇した、NTT東日本 東京事業部 東京西支店長の上田達氏は、イベントを振り返り、「初めてのオフラインでの開催でしたが、対戦を直接観戦することができて、e-sportsの盛り上がりを肌で感じることができました」とコメント。
「今回の大会を通じて参加企業どうしの新しいコミュニティーもできたと思っています。企業間の新しい交流のきっかけとなるように、今大会を活用していただきたい。来年以降も立川エリアにe-sports文化の根付く取り組みを継続していきたいと思います」と総括した。大会終了後は、参加者による交流・意見交換会も行われた。
プロジェクトの担当者である、立飛ホールディングス 総務部 総務課・課長補佐の後藤孝輔氏は、「こうした大会を通じて、同僚から『頑張ってこいよ』と声を掛けられたり、社内のコミュニケーションも促進されると評価を頂いたりしています。リアルスポーツだと参加者が制限されてしまいますが、いろんな年齢層や性別の方がフラットに競い合えるのがe-sportsのいいところだなと思います」と語る。
NTT東日本 地域活性化推進室 eスポーツ/DOOR活性化プロジェクト シニアコーディネーター 萩野岳士氏も「まさに会社の看板を背負って出るんだという意気込みで、練習しようとかチームワークを高めようと一致団結するところがスポーツと言えると思います」と話す。
オンラインで行われた前回イベントを振り返り、「大会を通じて会話が広がったり、今回新たにご参加いただいたり、そこにはなかったはずのコミュニケーションを生み出せたのではないかと思います。こうした交流が今後何らかのビジネスや取り組みにつながって立川の活性化に貢献できればうれしいです」と後藤氏。
萩野氏も「大会後、参加の企業様どうしで新たな交流が生まれ、それがきっかけとなり個別のイベントが開催されたりといったことにもつながるなど、今までにない交流が生まれたこで地域活性化に貢献できたと感じています」とその意義や成果を強調した。
また2回目として初のオンラインでの開催となった今回のイベントと前回との違いについては、それぞれ次のように語った。
「オンラインは去年コロナ禍で集まらないで最善の方法という選択をした。オフラインでやってみて皆さんの盛り上がりというか熱気を肌で感じる。eスポーツはオフラインでやるべきだと思いました。今回は運営上の理由で参加チーム数を決めていたため参加いただけない団体もありましたが、来年も開催するとなると参加チームがまた増えて、大会の規模は大きくなって盛り上がることは大変うれしいのですが、開催場所の選定・オペレーションの負担が増えるなどうれしい悲鳴といったところでしょうか」(後藤氏)
「前回オンラインで開催した時は『それぞれのチーム単位での盛り上がり』の醸成はできたものの、企業間どうしの盛り上がりはどうしても難しかったかなと思います。今回初めて皆さんが集まって開催したことで、チーム単位だけの盛り上がりだけではなく、チーム間・チームどうしとの盛り上がりを作ることができたかなというのが1つ大きな成果です。その場で名刺交換したり、そこから新しいつながりができたり、新しいビジネスへの展開もできるのではないかと期待しています」(萩野氏)
なお、「立川eスポーツプロジェクト」では、11月20日に、立川ステージガーデン内のグリーンスプリングスにおいて「第1回立川立飛eスポーツフェス(仮称)」の開催を予定している。
次回は、多摩エリアの企業や団体に留まらず、一般の参加者も対象にしたオフラインイベントで、e-sportsのコアファンに向けた「VALORANT」を活用した大会と、家族で楽しめる体験型e-sportsイベントを企画した2部構成で、2,000人の来場者を見込んでいるとのこと。次回に向け、それぞれ次のように意気込みを語ってくれた。
「さまざまな層のお客様に満遍なく楽しんでいただくにはどうしたらいいのか?を今まさに詰めているところです。主催者だけでなく、イベントを開催することで地域に還元できるように、地域をどうやって盛り上げていくかということを考えています」(後藤氏)
「主催者として、地域の方々と一緒にこのイベントをどのように作り上げていくかを検討しています。地域の企業の方とよりつながりを強めていくイベントにしたいです」(萩野氏)