――父親になって、日常の見え方が変わったと。高嶋さんが『病院の治しかた~ドクター有原の挑戦~』(テレビ東京系・20)出演時にお受けになったインタビューで、お子さんが生まれてから、ベビーカーで移動するので段差がないといいなと願ったり、病院内の見え方が変わったりしたとおっしゃっていたのが印象的でした。

あくまでも、僕に関してですが、子どもと一緒にいることによって、色々なことを考えるようになりました。“この子なしの人生は考えられないな”とか、“この子のためにずっと元気でいなきゃダメだな”と。いい意味での枷(かせ)といいますか、いい意味で重たいものを背負えたという感覚はありますかね。

■うちの息子が「ムシムシ」に怯えてるんです

――今回のリーディング・セッションでは、『頓田町の聞奇館』とは別に、政伸さんのオリジナル詩『ムシムシ』も演目に並んでいます。こちらの作品紹介が「高嶋家を襲う、得体の知れない存在『ムシムシ』」というものでしたが、この短い一文だけでとても興味をそそられます。

いつの日からか、うちの息子が「ムシムシ」という得体の知れない存在に怯えているんですよ。

――えっ!?

僕たちが教えたわけでもなんでもないんですけど、急になにか音がすると「ムシムシがやってきた」と言うんです。子どもにしか分からない存在がいるみたいで、ムシムシが来たら、なんだろうと全部食べちゃって、もう終わりなんだそうです。

――恐ろしい……

色も黒や青に自在に変えながら、いつでもどこでもムシムシが現れて、「狙われたら、お父さんの手も食べるんだよ」と。洗濯機から加湿器まで何から何まで、人間が作り上げてきた「近代化」を嘲笑うかのように全て食べてしまう。

でも、そう言ってから息子は、にこりと笑ったりもする。大人には絶対に手出しできない、脅威の存在が子どもには見えているのかなという、それが『頓田町の聞奇館』で描かれるイタコの存在と少し被るところがあるのかなと思ったんです。

イタコも、シャーマンとして、神を降ろして、神の言葉を話すという人間を超越した存在で、ムシムシも僕らは全く分からないんですけど、子どもはその存在を知っていて、「ムシムシが来るから、窓を閉めてくれ」と怯えているんですよね。それが面白くて、ちょっとおどろおどろしいのですが、今回はこの2作品で行こうと決めました。

■プロフィール
高嶋政伸
1966年10月27日生まれ。東京都出身。1988年、NHK連続テレビ小説『純ちゃんの応援歌』にてデビュー。1990年に放送されたドラマ『HOTEL』(TBS系)は2002年まで放送される人気シリーズになった。近年の出演作は『M 愛すべき人がいて』(テレビ朝日系)、『病院の治しかた〜ドクター有原の挑戦〜』(テレビ東京系)、『レッドアイズ 監視捜査班』(日本テレビ系)、NHK連続テレビ小説『ちむどんどん』など多数。