「こんにちは」と「こんにちわ」。口語で使うときには意識しないかもしれませんが、文字で使うときにどちらが正しいのか混乱してしまう人もいるでしょう。

この記事では「こんにちは」と「こんにちわ」の違いや語源、そもそもの意味などについてまとめています。日常でどちらを使うべきか迷ってしまったときの参考にしてみてください。「こんばんは」や「さようなら」の語源についても併せて解説します。

「こんにちは」と「こんにちわ」はどっちが正しい? その違いとは?

  • 「こんにちは」と「こんにちわ」のどちらが正しいか解説します

    「こんにちは」と「こんにちわ」のどちらが正しいか解説します

「こんにちは」と「こんにちわ」のどちらが正しいのか、違いはどこにあるのかについて、言葉が生まれた背景を知ることなどから解明していきましょう。

書くときは「こんにちは」が正しい表現

「こんにちは」は漢字で書くと「今日は」です。「今日(こんにち)」は「今日(きょう)」のことであり、この場合の「は」は助詞としての「は」です。

1986(昭和61)年に発表された、国による現代仮名遣いのルールを見ると、助詞の「は」を使った例として「こんにちは」が挙げられています。口頭では「WA(わ)」と読むためわかりにくいですが、文字で記載するときは「こんにち『は』」を使う方が正しいと覚えておきましょう。

ただし、「こんにちは」が正しい表記だと明示されたのは上記のように割と最近のことです。そのため、人によっては「こんにちわ」として覚えている人もいるでしょう。また今後、時代の流れに合わせて「こんにちわ」が許容される日も来るかもしれません。ちなみに「いまわの際」は「今は限り」を省略した言葉ですが、前述の現代仮名遣いのルールでは、「は」を「わ」と書くとして例外的に認められています。

「こんにちは」の語源と意味

  • 「こんにちは」は文章の後半を省略した言葉です

    「こんにちは」は文章の後半を省略した言葉です

「こんにちは」は本来後ろに文章があって、例えば「今日(こんにち)はご機嫌いかがですか」「今日はいい天気ですね」といった挨拶(あいさつ)の文章の後半部分が省略され、主に日中の挨拶で使われる「こんにちは」に変化したとされています。

「こんにちは」だけにとどめておくと、後半がどのような文章でも対応できるので、汎用(はんよう)性の高い表現として広まったのかもしれません。

「今日は○○」が由来となっている以上、「私は○○です」「あなたは○○ですか」などと同様に、文字に起こしたときは「わ」ではなく「は」が正しい表現であることがわかりますね。

「こんばんは」など、「こんにちは」の他の表現にも語源がある

「こんにちは」と同様に、他の挨拶表現にも語源、由来があります。

「こんばんは」も「こんにちは」と同様に、「今晩はご機嫌いかがですか」といった表現の後半部分を省略した表現なので、「こんばんは」が正しい表記です。「さようなら」も、「左様/然様(さよう)ならばお別れしましょう」などの挨拶の後半部分が省略されています。なお「左様(然様)」は、「そのよう、その通り」という意味です。

「おはようございます」は少し由来が異なり、「お早いお着きでございますね」などの挨拶から来ているとされており、漢字で書く場合は「お早うございます」と表記します。

こういった言葉の語源を知っておくと、誤用を防ぐことができるでしょう。

「こんにちは」を使う時間

「こんにちは」は主に昼の挨拶として使われますが、使う時間帯に明確な決まりはありません。一般的には「おはようございます」は午前9~10時くらいまで、「こんばんは」は午後5~6時くらいより使うのが自然だと考える人が多いようです。

そのため、地域差や年代差、生活リズムや日没時間などによっても異なりますが、「こんにちは」は一般的には午前10時~午後5時くらいまでの間に使うのが適切といえるでしょう。

「こんにちは」と「こんにちわ」はなぜ間違えられる?

  • なぜ「こんにちわ」を使う人がいるのでしょうか?

    なぜ「こんにちわ」を使う人がいるのでしょうか?

由来を知っていれば「こんにちは」が正しい表記であることがわかりますが、なぜ「こんにちわ」と間違えられることがあるのでしょうか。前述のように、国による現代仮名遣いのルールが明示されたのが最近である、ということもありますが、それ以外にも「こんにちわ」が使われる背景を考えてみましょう。

声に出すと「こんにちわ」だから

まず「こんにちは」の末尾の発音は「HA(は)」ではなく「WA(わ)」であるためという説が考えられます。音で聞いた言葉をそのまま文字に起こせば「こんにちわ」となってしまうので、そのように覚えている人もいるのかもしれません。

若者言葉として使用していたら定着してしまった

「私わ」「今日わ」といった使い方は、まだ助詞としての「は(わ)」の区別がついていなかった子どもの頃に、誤って使った経験のある方もいるでしょう。

また一時期、学生を中心とした若者がメールや手紙であえて「~は」を音のまま表記することが流行しました。また「こんにちは」を変形させて「ちわー」や「ちわっす」と表記することもあります。

それらがいつのまにか定着してしまった、ということも考えられるかもしれません。

「こんにちは」と「こんにちわ」を間違えたらどうなる?

  • 「こんにちわ」を使うと、相手によっては「常識がない」などと思われてしまう可能性もあります

    「こんにちわ」を使うと、相手によっては「常識がない」などと思われてしまう可能性もあります

「こんにちは」を「こんにちわ」に間違えてしまった場合はどうなるのでしょうか。

「こんにちわ」は失礼だと思われてしまう可能性も?

前述したように「こんにちは」が正しい記述と決められているとはいっても、それは最近のことであり、相手が間違って「こんにちわ」を使ったからといって、こちらからあえて指摘するほどのことではないでしょう。

しかし中にはそうしたわずかな違いが気になる神経質な人もいて、「こんにちわ」を使うことで「誤字を送ってきて失礼だ」「日本語を正しく理解できておらず、常識がない」などと思われてしまう可能性もあります。そうしたトラブルを防ぐためにも、普段から「こんにちは」を使うのが無難かもしれません。

正しいのは「こんにちは」で、「こんにちわ」は誤り

「こんにちは」と「こんにちわ」についてまとめました。

国によって定められている現代仮名遣いのルールでは「こんにちは」が現在の正しい表記です。間違えて使っても意味は通じるでしょうが、気になってしまう人もいるので、特にビジネスシーンで使うときは注意しましょう。