全国的に異常な早さとなった、2022年の梅雨明け。厳しい暑さが到来し、冷房なしには過ごせない日々が始まりました。そんな中、各電力会社からは、7月の電気料金値上げが発表されています。節電も推奨されている今年の夏ですが、電気代はいくらくらいかかるのでしょうか。
■7月の電気料金を値上げする電力会社は
電気代が高くなる要因とは
電気料金は、昨年から右肩上がりに上昇を続けています。電気会社からの明細書を見て、「電気代ってこんなに高いの? 」と驚いている人も多いことでしょう。
昨今、電気代がここまで高くなっている主な要因は、電気料金に含まれる「燃料費調整額」が高騰しているため。燃料費調整額とは、発電に用いる原油や液化天然ガス(LNG)、石炭など燃料の価格変動を、毎月の電気料金に反映させたものです。
日本で発電されている電気の多くは、これらの燃料をもとにした火力発電によって作られています。現在、さまざまな要因により、原油や液化天然ガス、石炭などの燃料価格が世界的に上昇していることで、電気料金を構成している燃料費調整額も上がっているのです。
特に最近では、円安やロシアによるウクライナ侵攻の影響も本格化し、毎月の電気料金に反映されています。電気代を押し上げているこれらの要因はすぐには解消されるものではないため、この夏も電気料金の上昇が続くでしょう。
7月の電気料金と2022年の推移
たとえば、7月には大手電力会社10社のうち4社で、電気料金が値上げされます。7月の電気料金と6月からの値上げ幅は、以下の通りです。
<7月の電気料金と値上げ幅>
北海道電力:8,763円(+299円)
東京電力:8,871円(+306円)
中部電力:8,516円(+260円)
九州電力:7,271円(+18円)
電気料金を値上げする4社のうち、値上げ幅が最も大きいのは東京電力の306円。北海道電力は299円、中部電力も260円と決して小さいとはいえない値上げ幅です。なお、北海道電力は16カ月連続、東京電力と中部電力は11カ月連続の値上げとなります。
残りの6社では値上げがありませんが、これは、燃料費調整額が決められた上限に達しているためです。電力会社が値上げをしたくてもできない状態であり、電気料金は据え置きとなっています。
では、電気料金は今年に入ってからどのくらい上がったのでしょうか。東京電力の電気料金の推移を見てみましょう。
<2022年の電気料金(東京電力の平均モデル)の推移>
1月 7,631円
2月 7,961円
3月 8,244円
4月 8,359円
5月 8,505円
6月 8,565円
7月 8,871円
1月と比べると、なんと電気料金は1,240円アップ、約16%の値上げです。値上げ幅も大きく、ほぼ毎月数百円ずつ上がっています。
なお、昨年7月の電気料金(東京電力)は6,973円でした。つまり、1年間で1,898円アップ、約27%も大幅値上げされていることがわかります。また、東京電力の2022年8月の電気料金は7月から247円アップの9,118円と、さらに値上げされることが発表されているのです。
今年1月からの推移を見てみると、電気料金がグングン上がっていることが一目瞭然ですね。今後しばらくは、電気料金のさらなる値上げや高止まりが続きそうです。
■夏の電気代、平均はいくら?
今年は異例ともいえるスピードで電気料金が上がっていますが、そもそも、夏の電気代は平均いくらくらいなのでしょうか。総務省統計局の「家計調査 家計収支編」によると、二人以上世帯の2021年7~9月の平均電気代(1カ月あたり)は9,419円。一方、単身世帯の同じ時期の電気代は、5,131円でした。
なお、2021年の二人以上世帯と単身世帯の四半期ごとの平均電気代は、以下の通りとなります。
<二人以上世帯>
1~3月:12,642円
4~6月:9,609円
7~9月:9,419円
10~12月:9,597円
<単身世帯>
1~3月:6,641円
4~6月:4,990円
7~9月:5,131円
10~12月:5,200円
年間を通して見てみると、夏場は冷房を多く使用するものの、冬場と比べれば、電気代は比較的抑えられていることがわかります。これは、冬の方が屋外と屋内の温度差が大きく、消費電力が増えるためです。また、冬場は日照時間が短く、照明を使用する頻度が高いことも影響しているのでしょう。
ただし、今年は早い時期から猛暑となり、冷房を使い始める時期も前倒しになっています。さらに、電気料金自体も月を追うごとに上昇していますので、「夏の方が電気代は低め」ということにはならない可能性もあるでしょう。
戻り梅雨により、ほんの少し暑さが和らいだように感じる日もありますが、それでも今年の夏(7~9月)は、全国的に気温が高くなることが予想されています。節電への協力が叫ばれていますが、まずは体調を第一に、決して無理のない範囲での節電を心掛けてみましょう。
■小さな工夫を積み重ねよう
生活に欠かせない電気が値上がりし、さらには、食品や日用品もどんどん値段が上昇しています。これらの負担増は決して軽いものではなく、暑さに加え、経済的にも厳しい夏が到来するでしょう。
電気に関しては、照明など冷房以外の電気を消す、使っていない家電のプラグを抜き待機電力を消費させないなど、できる範囲で節電してみましょう。小さな工夫の積み重ねにより、何とかこの夏を乗り切りたいですね。