ビザ・ワールドワイド・ジャパン(Visa)は6月29日、各地で実施されているキャッシュレス化への取り組みや現状などについて、メディア向けにオンラインブリーフィングを実施。琉球銀行や東京バスでの取り組みや効果などについて説明した。

  • 国内での公共交通機関での「Visaのタッチ決済」導入状況

公共交通機関でも「Visaのタッチ決済」が拡大

日本における「Visaのタッチ決済」はこの1年で、公共交通機関では38.1倍、家電量販店では20.3倍と、大幅に拡大。そのほか、官公庁や地方自治体、コンビニやドラッグストア、スーパーマーケットなど、日常生活のあらゆるシーンで利用可能となりつつある。

公共交通機関での「Visaのタッチ決済」の導入においては、独自の決済処理ルールとシステムを導入し、対応カードやモバイルデバイスで公共交通機関が利用できるようになっている。すでに国内のタッチ決済対応端末の設置数は100万台を超えており、対応するカードも約7,100万枚発行されているという(どちらも2022年3月末時点)。また、2022年6月現在では16道府県で25の導入プロジェクトが発表もしくは展開済みとなっており、全国のバスや地下鉄、鉄道で「Visaのタッチ決済」が広がっている。

2021年の全世界の「Visaのタッチ決済」の取引件数は1,300億件となっているが、5年後の2026年には3,530億件にまで増加すると見込まれている。取引金額も、3.1兆米ドルから、9.4兆米ドルにまで膨れ上がる見込みだ。対応デバイスや対応カードもさらに普及すると考えられる。

駅などに「Visaのタッチ決済」が導入されることで、地域住民をはじめ、観光客など地域外利用者の利便性が向上。すでに導入されている海外などの事例から、カード利用によって駅ナカや駅周辺での購買が増える傾向がわかっており、地域経済への効果や運営コスト削減による事業者の利益率向上の効果も期待できるという。

  • 「Visaのタッチ決済」導入によるメリット

琉球銀行のキャッシュレス化への取り組み

琉球銀行では2017年1月から、これまで関連会社で行っていたカード加盟店業務を銀行本体で開始した。今後増加が見込まれる沖縄県内の電子決済市場での基盤拡大を図ることで、県経済の成長やインバウンド増加を収益面で直接的に取り込んでいきたいとする狙いがある。

沖縄をキャッシュレスアイランドにすべく、自治体、地元商工会、地元観光協会と琉球銀行で連携協定を締結しキャッシュレス化を推進。観光振興と地域活性化、住民の生活環境の充実のために整備などに取り組み、17市町村と協定を締結している。

2018年度からは沖縄県観光二次交通強化事業として、Googleマップで県内全公共交通情報や観光系路線バス5社の遅れなどのリアルタイム情報検索を可能にした。

新たな取り組みとして、2022年2月1日より、コンタクトレス決済導入に係わる実証実験を5つのバス会社で実施している。

実証実験に参加した事業者からは、降車時にすべての処理をするのではなく、乗車時・降車時の2回タッチ方式にしてほしいなどの要望もあった。また、今後の改善点として端末処理のスピードアップを図りたいとしている。今後は空港リムジンバス車内や宮古、八重山地域の路線バスなどへの導入も予定されている。

観光路線バス「ウミカジライナー」での実証実験

東京バスでは、沖縄県内で展開している観光路線バス「ウミカジライナー」においてキャッシュレス化を導入し、実証実験を実施している。

「ウミカジライナー」は、沖縄南部の観光路線バスで、国際通りから那覇空港、駅、アウトレットモール、道の駅、市役者、ホテルやビーチなどを結ぶ路線バス。緊急事態宣言やまん延防止によって乗客数が落ち込む時期はあったが、今年のGWには空港のバス乗り場に長蛇の列ができるほど、人気の高い路線となっている。

  • 沖縄県内で展開している観光路線バス「ウミカジライナー」

実証実験以前は、定期券や一日乗車券以外の片道運賃の決済方法は現金または回数券のみ。乗車時に整理券を取り、降車時に運賃箱に整理券と現金もしくは回数券を投入し支払うものだった。

キャッシュレス化後は、降車時にタブレット端末を操作し、乗車地(バス停)を選択した後、決済方法でタッチ決済を選択し、画面上に対応カードやデバイスをタッチして音が鳴ると決済が完了する。ちなみに、決済方法には「Visaのタッチ決済」のほか、PayPayやAlipayにも対応しているという。

  • 「Visaのタッチ決済」利用方法(東京バス/ウミカジライナーの例)

キャッシュレス決済を導入後の利用状況は、2022年2月1日から5月31日で、平均25.2件/日、キャッシュレス決済比率の平均は22%となっている。連休やGWの利用が高くなる傾向にあり、最高値は93件/日、38%となった。

今回の導入によって、利用客の利便性が向上しただけでなく、現金集計業務の負担が軽減されたことによるメリットも大きいそう。各バス停の乗降客数をマーケティングデータとして活用できることにも期待しているという。

「『Visaのタッチ決済』で公共交通の支払いが可能となっていることの認知向上と習慣化を促し、より多くの乗客に利用してもらいたい。沖縄の公共交通機関を利用した滞在型・周遊型の旅行需要を創出し、沖縄の観光業のさらなる発展に与していきたい」と同社。