昆虫食なめてたわ……。
東京・吉祥寺の街をふらふら歩いていたら、なんとも気になるものを見つけました。食用の昆虫、いわゆる「昆虫食」専門の自動販売機です。
「食糧問題を解決する」「高タンパクで栄養満点」なんてキャッチコピーでメディアでもよく見かけるようになった昆虫食。日本でも山間部を中心にイナゴの佃煮を食べる文化がありますが、都会育ちのモヤシっ子である筆者は食べたことありません。昆虫食……自転車に乗っているときに口に入ってきた小虫を意図せず食べたことがあるぐらいですかね!
昆虫食ラインナップ
※ここから昆虫たちをもう少しアップで紹介するので、苦手な方はご注意ください。
売られていたのはコオロギ、セミの幼虫、蚕、アリ、タガメなどなど日本人にもお馴染み(?)のラインナップ。サソリなんてのもありますね……。しかもサソリは筆者が見たときには売り切れ中でした。意外と人気なのか?
モノは試しということで、いくつか購入して食べてみることにしました。
購入したのはこちら
・ヨーロッパイエコオロギ(1200円)
「コオロギは昆虫食のエース! 」って張り紙に書いてあった。エースとは……?
・黒アリ(1500円)
小さいから料理のトッピングにもイケるんだとか。ご飯にふりかけてみたりとか?
・タガメ(1500円)
とにかく大きいらしい。タイだと屋台で素揚げにして売ってるのだそうです。
昆虫食ビギナーの筆者からすると、パッケージは全くもって食欲をそそるデザインではないのですが、食べ続けてると「うまそー! 」ってなるのかな……。ちなみに裏面を見てみると、どの昆虫も食塩で軽く味付けがしてあります。そして原産国はタイ。タイは昆虫食が日常的に行われている国なんだとか。
また気になったのが、アレルギーに関する注意書き。「昆虫は甲殻類(エビ・カニ)等と近い生物です。アレルギーをお持ちの方は食べないことをおすすめします」とのことです。アレルギーの人は気をつけましょうね。
まずは手始めに、日本でも食べる文化があるイナゴ……に形状が近いコオロギからいってみましょう。
コオロギ、味は干しエビそのもの
当たり前だけど見た目がコオロギ。お皿にのっていることへの違和感がすごいのですが、匂いはエビとかカニの乾物に近いので脳がバグってしまいそう。手足を取りはずしてありコロコロした形状です。
食べてみたところ、味は乾物のエビそのもの。よく噛んでいると特殊な苦味のようなものを感じないこともありませんが、目を閉じた状態で口に放り込まれたら「エビ! 」と元気よく答えてしまいそうです。
アリ、プチプチした食感
続いてはアリ。袋を開けてみると、独特の油っぽい匂いが鼻にツンツンきます……おおう。お皿に出してみると、小さい生物だからかバラバラになってしまいアリとしての原形をとどめていません。でもこのほうが食べやすいかも。
意を決して口に入れてみると、クセの強い干しぶどうのような風味を強く感じます。プチプチしていて、お正月に食べる「数の子」をバラバラにして食べているような食感です。まあアリっちゃアリ。
タガメ、見た目のインパクトがすごすぎる
最後はタガメ。袋から出してみると……2匹入っていました。うう、これを食べるのか。
サイズがとにかく大きいので昆虫食ビギナーにはハードルが高すぎたかもしれない。これが台所の床に落ちていたら、間違いなく悲鳴を上げてしまうだろうな。
干しエビやカニなどの甲殻類に近い匂い。食べやすいサイズにしてから口に放り込んでみたところ……ひと言でいうと、独特の酸味が強いエビです。お酒が好きな人はツマミにいいかもしれない。羽は食感が悪く噛み切れないので取り外してから食べたほうが良いかもしれません(お好みで)。
味はいいけど見た目を……
食べてみた感想を最後にお伝えしたいのですが、「昆虫を食べている」という邪念さえ取り除くことができれば、味はまさに乾物の甲殻類。スパイス強めの料理に入っていたら普通に美味しく食べられそうです。
ところがね、最大のハードルになるのが「見た目」。よくテレビのバラエティ番組で、芸能人が「うげー! 」って言いながら昆虫を食べているじゃないですか。見ながら「大げさだなぁ」なんて思っていたんですが、あれはマジ。
「虫を食べる」という食習慣そのものがないから、脳がどうしても目の前のものを食材ではなく「気持ち悪い虫」として認識してしまう。だから手で持つのも怖いし、特にタガメの裏側を見たときは鳥肌たちました。昆虫食に馴染みのない人が虫を美味しい食材として認識するためには、粉状に加工するなどして見た目を工夫する必要がありそうです。昆虫食なめてたわ……。
とはいえ、最近はジビエと一緒に昆虫食を嗜めるお店もあるようなので、じょじょに日本でも広まっていくのかもしれませんね。