企業の採用にはさまざまな方法があります。求人サイトに掲載したり、エージェントを頼ったり、社員の知り合いをスカウトしたり。もちろん自社HPに求職者が直接連絡することもあります。

そして、企業側の募集要項には待遇や給与、仕事内容や必要なスキルなどが書かれているのが一般的ですが……。先日、ある企業の募集広告がTwitterに紹介されていました。

広報「採用強化したいです」
ワイ「たしかに」
広報「広告出していいですか?」
ワイ「どうぞ」

\MUSIC MAGAZINE7月号/
「株式会社リチカはベーシストを募集しています」

どうしてこうなった
(@yukiharuharu)より引用

  • 提供:(@yukiharuharu)さん

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まず目に入るのは「ベーシスト急募!!」の大きな文字。企業の社員募集のはずなのに……。さらにデザインも、ライブハウスの掲示板や、サークルの勧誘チラシで見かけたような意匠。連絡先を「切り取りできる」のもまさにですね。

極めつけは、掲載先が音楽雑誌の『MUSIC MAGAZINE』ですから、あくまでベース担当の募集が一番のようです。どこまで本気なのでしょう!

この投稿には、「懐かしい募集の仕方。よくライブハウスとかCDショップでみたわ。電話番号切り取るんだよね。今もあるのかな? ないよね」「わ、大学の食堂とかトイレとか、絶妙に気が抜けた瞬間に目に入る場所に、よく貼ってあった形式のやつだ! 懐かし~(笑)」など、若かりし頃の記憶を思い出した読者からのコメントが。

また、「発想豊かで素晴らしいクリエイティブ これくらいクリエイティブリスクを持って攻めてる原稿いいね」「この採用広報天才的すぎるww差別化の鬼」など、アイデアに驚いたという声もありました。

中には、「ドラマーだけどすごく気になる」「ベーシストではないが応募してみようかな、、うぬ、、」「素敵すぎる求人だ!」などメッセージが刺さった人も。

ベーシストを募集? 社員を募集?

どこまで真剣なのか? また応募はあったのか? 投稿主で、募集した企業のCEOも務める松尾幸治さんに話を伺いました。

――かなり異色の「社員募集」ですよね。この広告に至った経緯を教えてください。

松尾さん: 実は採用にあたり、社内アンケートを実施したところ、社長を含め楽器演奏者は社内に多数いますが、ベーシストは0人。「これはベーシストを募集するしかないな」と担当者は思ったそうです。

――ベーシスト募集ではなく、社員募集ですよね?

松尾さん:はい。あくまで社員募集の一環で、「ベースができる社員」を探したという感じですね。

――掲載先やデザインなど、細かい部分は関与していなかったのですか?

松尾さん: ざっくりとした大枠の方針は把握していましたが、それ以降の細かい部分は担当者に委ね、自由に動いてもらいました。

――自由過ぎです(笑)。ちなみに掲載先を音楽専門誌にしたのは?

松尾さん: ベーシストを募集するなら、伝統ある『MUSIC MAGAZINE』さんに掲載する位のリスペクトが必要だろうという判断でした。

――そこまで考えての掲載ですが、(応募の)反響はありましたか?

松尾さん: 雑誌が発売されまだ数日ですが、ありがたいことにエンジニアの方、営業経験者の方など、複数の応募がありますね。また、みなさん好きなバンドも添えてくれ、社内でも盛り上がっています。

どうやら今のところ、募集は成功しているようです。ちなみに次回でもこうした「型破りの手法」を採るのでしょうか。

松尾さん: 基本はGOサインを出します。ただ、担当者から今提案されているのが「電柱広告を採用に活用する」という内容で少し悩んでいます。電柱広告がNGではなく、「電柱駆け×採用」のメッセージがきちんと相手に届くのか? という部分が不明なので判断に迷っているところです。

奇をてらう手法に目がいきがちですが、きちんと受け手の心情を考えるのは大切ですね。また、次回も驚きの方法を見せてくれそうです。