大森:僕から小山さんに聞きたいのは、演者さんがのびのびできる雰囲気を作ってる番組が多いなと思ってまして。自分は演者さんをいい感じにする能力が異常に低いと思ってるんで(笑)、どういうことを考えながらやってるのかなと思いまして。
小山:どうなんだろう…。でも、何にも言ってないですね。イワクラさんも吉住さんも「お笑いスイッチしっかり入れるぞ!」っていう感じじゃなくて、なるべく構えてほしくないので、スタッフがずらっと並んで迎えたり、すごい大声で「5秒前~!!」とか張り上げたりしないとか、「今、これ収録回ってるんだ」くらいの感じでぬるっと始めちゃったりとか、そういう細かい積み重ねですかね。私自身が「こう言われたら気にしちゃうかな…」とか気にする人間なんで、言い回しも気をつけてるかもしれないです。自分はコミュ力が高いほうじゃないから、グイグイいかないっていうのもあるかもしれないですね。
木月:加地(倫三、『アメトーーク!』『ロンドンハーツ』エグゼクティブプロデューサー)さんの班で自然にやってるルールとか、特有の何かがあるんじゃないですかね。フジテレビだったら、『オレたちひょうきん族』をやってた三宅恵介さんに昔「演者はみんな不安なんです。だから褒めましょう」と教わって。それでだいぶ芸人さんと話しやすくなりましたから。
小山:背中を見て影響受けているものがあるかもしれないですね。あと、「絶対こうしてください」とか「ここでこれを言ってください」というのは伝えないですね。「こうなるんで、後はどうぞ」みたいな感じにして、自分でその方向に転んでもらったほうがいいかなと思っていて。
大森:たしかに。『奥様ッソ』のときに、Aマッソさんに「全部架空の奥様トークしてください」って言ったら、ちょっと微妙な空気になっちゃって…
(一同笑い)
■ゴールデンの筋肉が必要な時代がいつまで続くか
――テリハさんは、今後こういう番組を作りたいというのはありますか?
小山:私は気づいたら、スポットライトが当たってほしい、輝いてほしいと思ってる人と新番組を作ってることが多いので、この先も一緒かなと思います。次に見つかるべき人に焦点を当てるというのは、一般の人でもいいし、タレントさんでもいいんです。それと、興味のあることがいろいろあるから、そこで気になったトピックを出していくという感じで、うまく特番とかもやっていきたいなと思います。『ナレーションガチャ』みたいな企画主導の番組もやっていきたいですね。
木月:自分の企画演出で、ゴールデンはやってみたいですか?
小山:やりたいですね。自分の演出でできるんだったら、時間関係なく、どこでもやらせてもらいたいってすごく思ってます。ただそれをやるための十分な知恵がまだないというか、その筋肉を鍛えられていないので、どうすればいいのかというのも思います。
木月:ゴールデンをやっていくのに必要な筋肉ってのは確かにあるんですが、その筋肉だけが最重要な時代がずっと続くのかどうかは、ちょっと分からなくなってきましたね。
小山:たしかに、入社してから数年ですごい変わりましたからね。世帯視聴率だと言われたのが、急にF(ファミリー)コアと言われて、次は再生回数となって。
木月:だから分からないですよね。ゴールデンをやる人が会社にとって一番大事みたいな感じも変わるかもしれないし。このおふたりもどうなっていくのか楽しみですね。
●小山テリハ
2016年にテレビ朝日入社。『アメトーーク!』のADを務めながら『妄萌がーる。』『出川とWHYガール』などを企画。現在は『ホリケンのみんなともだち』『イワクラと吉住の番組』『ロンドンハーツ』『霜降りバラエティX』、『にゅーあのちゃんねる』(CS・テレ朝チャンネル1)などを担当する。
●大森時生
1995年生まれ、東京都出身。一橋大学卒業後、19年にテレビ東京入社。『所さんの学校では教えてくれないそこんトコロ!』を経て『ありえへん∞世界』でディレクターに。『RaikenNipponHair』で「テレ東若手映像グランプリ2022」優勝、その記念特番『島崎和歌子の悩みにカンパイ』のほか、『Aマッソのがんばれ奥様ッソ!』(BSテレ東)も手がける。
●木月洋介
1979年生まれ、神奈川県出身。東京大学卒業後、04年にフジテレビジョン入社。『笑っていいとも!』『ピカルの定理』『ヨルタモリ』『AKB48選抜総選挙』などを経て、現在は『新しいカギ』『痛快TV スカッとジャパン』『あしたの内村!!』『今夜はナゾトレ』『キスマイ超BUSAIKU!?』『ネタパレ』『久保みねヒャダこじらせナイト』『バチくるオードリー』などを担当する。