風邪をひいてしまった際、症状が軽いようならば市販薬を利用して自宅療養ですませようと考える人も多いでしょう。そんなとき、家の近くにあるコンビニエンスストアで風邪薬が買えると便利ですよね。実際にコンビニで風邪薬は手に入るのでしょうか。
この記事ではコンビニで風邪薬を購入できるのか、市販薬にはどのような種類があるのなどを解説していきます。
コンビニで風邪薬は買えるのか
風邪をひいたとき、24時間営業しているコンビニで風邪薬を買えたら便利ですよね。病院やドラッグストアでは、夜中や休日だと開いていない可能性があります。
コンビニは24時間営業しているため、ここで薬を購入できれば急な風邪や症状の悪化に対応しやすくなります。まずはコンビニで風邪薬を買えるのか解説します。
規定を満たしたコンビニでは購入可能
風邪薬や市販薬はコンビニで買うことはできます。ただし、風邪薬を含めた市販薬の販売に関しては規定が決められており、規定を満たしていないコンビニは市販薬の販売ができません。
風邪薬を購入できるコンビニの店舗数は、まだまだ少ないのが現状です。最寄りのコンビニで必ず風邪薬が手に入るわけではありません。いざというときのために、近場で風邪薬を購入できるコンビニを調べておくとよいでしょう。
ドラッグストア併設の店舗も買いやすい
コンビニによっては、ドラッグストアや調剤カウンターが併設されている店舗もあります。ドラッグストアが併設されているコンビニであれば、風邪薬を購入しやすくなります。
たとえば、大手コンビニのローソンでは、「マチの健康ステーション」として薬品の販売を強化した「ヘルスケアローソン」「ファーマシーローソン」などのモデルの店舗を増やしています。これらの店舗は、調剤薬局で薬を調剤してもらったり、一般医薬品を選んで購入したりと、身近なかかりつけ薬局のように利用できます。
大手コンビニ各社の販売状況
それではセブン-イレブン、ファミリーマート、ローソンの各社では風邪薬が購入できるのかみてみましょう。
風邪薬はローソンにある?
ローソンでは風邪薬が購入でき、薬を取り扱っている店舗は2022年5月末時点で252店舗です。ローソン公式サイトの「出店事例・物件紹介」ページでは、医薬品を取り扱っている店舗の検索が可能です。
また、Uber Eatsによる医薬品の配達にも対応しています。取り扱う医薬品の一例として「風邪薬」「目薬」「胃腸薬」「皮膚用薬」「湿布薬」などの第2類医薬品・第3類医薬品があげられています。
風邪薬はファミリーマートにある?
ファミリーマートは公式サイトの店舗検索画面から、医薬品が購入できる店舗を都道府県ごとに調べることが可能です。
例えば、2022年6月時点において、医薬品を取り扱っている都内のファミリーマートは21店舗あります。店舗によって商品ラインナップは変わるでしょうが、千代田区のパレスサイドビル店のように風邪薬が置いてある店舗もあります。
風邪薬はセブン-イレブンにある?
セブン-イレブンの場合、公式サイトからは医薬品を取り扱っている店舗検索が難しいため、風邪薬を置いているかどうかは、店舗に直接問い合わせるのがいいでしょう。
薬の種類
薬には「医療用医薬品」と「要指導医薬品」、そして「一般医薬品」いう種類があります。それぞれを詳しくみていきましょう。
医療用医薬品
医療用医薬品は、医師の診断にもとづき発行された処方箋によって、薬剤師が調剤する医薬品です。「処方薬」とも呼ばれます。
要指導医薬品
要指導医薬品とは医療用医薬品から一般用として販売されて間もない薬のことです。副作用のリスクが不確定なため、薬剤師により対面で指導を受けて服薬します。インターネットや薬剤師の説明なしでは購入できません。
原則として、要指導医薬品として市販が開始され、3年間安全性に問題がなかった場合、その医薬品は一般医薬品に移行されます。
一般医薬品
一般医薬品は、医療用医薬品や要指導医薬品に比べて、効き目は控えめとなっています。そして、副作用や他の薬との組み合わせによって、「第1類医薬品」「第2類医薬品」「第3類医薬品」の3つに分けられます。
■第1類医薬品
第1類医薬品は一般医薬品の中で最も取り扱いに注意が必要な種類です。購入の際は登録販売者ではなく、薬剤師による情報提供が義務付けられています。
■第2類医薬品
第2類医薬品は薬剤師または登録販売者から購入できます。有資格者からの説明や情報提供は努力義務とされており、必須ではありません。しかし、第1類医薬品と同じく副作用や薬の組み合わせには注意が必要です。
■第3類医薬品
第3類医薬品は最もリスクが低く、購入者の希望がない限りは説明や情報提供はされません。薬剤師または登録販売者から購入することができます。
コンビニでの医薬品購入に関する規制の流れ
2009年に施行された改正薬事法 (現薬機法) により、第2類・第3類にあたる一般医薬品は、「登録販売者」という資格を持っていれば販売が可能になりました。ただし、営業時間の半分以上の時間は薬剤師や登録販売者を店舗に配置しなければならないという通称「2分の1」ルールがあったため、24時間営業のコンビニが医薬品を販売するには、有資格者を12時間配置する必要がありました。そのため、医薬品を24時間販売しているコンビニはあまり存在しなかったのです。
しかし、2021年8月より、2分の1ルールが撤廃されました。この規制緩和により、適切なタイミングで有資格者を配置しておくことにより、コンビニでの一般医薬品の販売が可能になりました。
コンビニでの医薬品販売の現状
規制緩和により、今後はコンビニで市販薬を取り扱うケースが増えていくことが予想されます。コンビニ側も長時間にわたり有資格者を配置する必要がなくなったため、ニーズに合わせた市販薬の販売ができるようになります。
たとえば、ドラッグストアが閉まっている深夜帯の時間に、第2類・第3類の一般医薬品を販売することで、地域住民の急な体調不良に対応できるのです。
コンビニで風邪薬が買うメリット
現代生活を支えるインフラとも言えるコンビニ。このコンビニで風邪薬が買えることのメリットとデメリットについて解説します。
【メリット】欲しいときにすぐ買える
コンビニで風邪薬を買えると、緊急で必要になった際に便利です。コンビニはいろいろな場所にあるため、多くの人が医薬品を簡単に入手できるようになります。
たとえば、身近な場所に病院やドラッグストアがない人、一人暮らしで自ら風邪薬を買いに行かなくてはならない人などには、とても便利になるでしょう。
【メリット】使いきれるサイズのコンビニ用薬品がある
コンビニで販売されている一般医薬品にはコンビニ販売専用の商品が存在しています。ドラッグストアなどで販売されている通常の一般医薬品は個数や容量が多く入っています。しかし、コンビニ販売用の市販薬は個数や容量が少ないので、比較的安価で、使いきりできるというメリットがあります。
セルフメディケーションの考え方
規制緩和により、今後はコンビニで手軽に市販薬が手に入るようになると予想できます。正しく医薬品を使用するために、一人ひとりが薬の副作用について理解を深め、自身で健康管理することが大切になります。
健康管理について、セルフメディケーションと呼ばれる取り組み方が注目されています。セルフメディケーションについて解説します。
自身で健康管理を行う
セルフメディケーションとは、医薬品などを活用して、自分自身で健康管理を行うという考え方です。世界保健機関(WHO)は「自分自身の健康に責任を持ち、軽度な身体の不調は自分で手当てすること」と定義しています。
セルフメディケーションを行うためにも、風邪薬のような市販薬がコンビニに置いてあると自身で対処しやすくなります。
医療費の増加を防ぐ
健康管理の習慣が身に付くと、軽度の症状での通院が減り、医療費の増加を防げます。病気を未然に防ぐ意識を持つことで、本当に必要な治療に医療費を使うことができます。
セルフメディケーション税制
セルフメディケーション税制とは、一艇の条件を満たしていれば、対象の市販薬を年に一定の金額以上購入した際に所得控除が受けられる制度です。
ただし、以下のような健康管理を1つ以上行っている人のみが対象です。
- 特定健康診査
- 予防接種
- 定期健康診断
- 健康診査
- がん検診
2017年から2021年までの期間のみの制度でしたが、制度の見直しにより、5年間の延長が決まりました。2026年まで続くため、セルフメディケーションを行うためにも制度を活用していきましょう。
風邪薬を置いているコンビニは少ないのが現状
コンビニでは風邪薬を購入できる場合もありますが、まだまだ対応している店舗は少ない状況です。以前までは一般医薬品は規定でコンビニでの取り扱いが難しい状況にありました。しかし、規制緩和により、今後は取り扱う店舗も増えてくることが予想されます。
風邪薬を含む一般医薬品がコンビニで手軽に手に入れられるのは便利なことです。であるからこそ、不適切な使用をしないように、副作用などに関しても理解を深め、個人が注意しなければなりません。セルフメディケーションの取り組みをよく理解して、健康管理を行っていきましょう。