ヤマハ発動機と一般社団法人日本自動車連盟(JAF)は6月8日、低速モビリティに関して協業契約を締結したことを発表した。
電動カー「GSM」で社会課題を解決
この協業は、時速20km以下で走行するヤマハ発動機の電動カー「Green Slow Mobility(GSM)」を使った地域振興事業の一環。ヤマハ発動機によるモビリティサービスの提供と、JAFによる全国で高品質なメンテナンスやドライバー講習、安全運行へのサポートにより、交通網の行き届かないエリアなどの社会課題解決を目指していく。
JAFは、1963年に自動車ユーザーをサポートする団体としてスタート。昨年には会員2,000万名を超え、ロードサービスだけではなく会員優待やモータースポーツ振興など、さまざまな取り組みを行っている。JAFでは、全自治体のおおよそ1/3にあたる646の自治体と観光協定なども結んでおり、これまでドライブコースの紹介や各種キャンペーンなども展開してきた。
このような観光支援の取り組みのみならず、今回の協業によって、モビリティの移動サービスによって地域振興をマッチさせ、高齢化や交通網の衰退などさまざまな地域課題の解決へとつなげていきたいという。
一方、ヤマハ発動機は、中期経営計画においてサステナビリティに対する取り組みを積極的に行っている。
コア事業の稼ぐ力を強めつつ、新規事業や成長事業への投資を加速。デジタル技術の活用や共創パートナーを増やし、成長性を高めることで企業価値を向上させていきたいとしている。新規事業においては、インドに新会社を設立しアセットマネジメント事業を導入したモビリティサービスをはじめ、医療・健康分野や農業自動化分野の社会課題の解決に取り組む。
協業に関わる低速自動走行分野においては今後、モノ輸送、ヒト輸送に関する事業性の検証を進めていく。モノ輸送に関しては、特定条件下においての自動運転技術の確立により物流の省人化を目指し、ヒト輸送については、公共交通機関にアクセスできない地域における移動課題の解決を目指す。
今回の協業により、低価格な電動カートを用いて移動課題解決を目指し、安全運転、アフターサービスなどMaaS時代における持続可能なモビリティサービスの提供をしていくことができるようになる。
JAFは全国に広がるサービス網と協定自治体との連携によってモビリティサービスを、ヤマハ発動機は電動カートの開発や販売における実績を生かして車両を提供する。
これまでヤマハ発動機が独自でGSM購入の際の導入フォロー、アフターサービス、ドライバー講習を行っていたが、JAFとの協業によってより多くの人へ細やかな対応を提供できるようになる。「地域社会にマッチした移動を実現し、人々の豊かな生活への貢献を目指す」と両社。