体調を崩してしまった人に対してよくかける言葉である「お大事に」ですが、正しい意味や、目上の人に使ってもいいのかなどについて、自信が無いという人も多いでしょう。

本記事では、「お大事に」という言葉について、使い方や意味、言い換え表現を、豊富な例文とともに紹介します。注意点や「お大事に」に対する返事の仕方、英語表現もまとめました。

  • 「お大事に」の意味や使い方を解説します

    「お大事に」の意味や使い方を解説します

「お大事に」の意味とは

早速、「お大事に」の意味を見ていきましょう。

「お大事に」とは、「お大事になさってください」「お大事にしてください」の略語

「お大事に」はそれだけでも使用できますが、もともとは「お大事になさってください」や「お大事にしてください」の略語であるといわれています。

「お大事に」の基本的な意味として、相手の身に起こってしまっている体調不良やけがに対して、気遣いの意味を示す言葉であると理解しておきましょう。

上記の意味を考えればわかる通り、相手を気遣う気持ちを示したい状況なら、いつでも使用できます。

相手に対して病気やけがを気遣って、早く治るように祈っていますという意思表示ができる便利な言葉です。

友人や家族に対してなど、「お大事に」の一般的な使い方

「お大事に」という言葉は、家族といった身内や、友達など親しい相手に使うことが多い言葉です。

例えば以下の例文のように、友人や身内・同僚といった近い関係の人に対して、入院したときのお見舞いの言葉、あるいはけがをした姿を見たときに相手の回復を願う気持ちを表す言葉として使われることが多くあります。

例文1

  • 入院したときの「お大事に」の例文

    入院したときの「お大事に」の例文

A:おととい骨折して、入院が決まったんだよね。
B:そうだったんだね。お大事にね。

例文2

  • けがをしたときの「お大事に」の例文

    けがをしたときの「お大事に」の例文

A:Bさん、その指、どうしたんですか?
B:包丁で指を切っちゃって。
A:今すぐ手当てしましょう。お大事に。

知っておきたい「お大事に」の注意点

「お大事に」を使うときに気を付けるべきことについて見ていきましょう。

「お大事に」は目上の人に対しても使える言葉?

「お大事に」は敬語のため、目上の人に使用することもできます。しかし先ほど述べたように「お大事になさってください」の省略表現であることを念頭に置いておきましょう。相手や場合によっては、後述するより丁寧な表現を使用しましょう。

「お大事に」だけだとそっけない印象も?

「お大事に」は語尾が省略されているため、言葉を受け取る側の解釈次第で意味やニュアンスが変わります。場合によって意図していなかった意味や印象でとらえられてしまう可能性もあることを覚えておきましょう。

また、定型文的な印象もあるため、「お大事に」だけだと「そっけない」「よそよそしい」と思う人もいるかもしれません。

上司など目上の人への「お大事に」の正しい使い方とは?

  • 目上の人に「お大事に」を使う場合は注意が必要です

    目上の人に「お大事に」を使う場合は注意が必要です

前述の通り「お大事に」という言葉は基本的に敬語として使用できますが、省略された言葉のため、その点を気にかけてしまう神経質な方も一定数、いるでしょう。その場合はどうすればいいのでしょうか。

目上の人には丁寧に「お大事になさってください」が無難

目上の人に対しては、「お大事に」と略さずに、「お大事になさってください」と言うと間違いないでしょう。 また、「くれぐれも」「どうぞ」などを前につけると、より丁寧な印象になります。

例文

  • 「お風邪をひかれたのですね。お大事になさってください」
  • 「病院に行かれるのですか? くれぐれもお大事になさってくださいね」

「お大事になさってください」をビジネスメールで伝える場合の表現

メールなど文面で伝える際には、もう少し工夫をすると意思が伝わりやすくなります。

例えば「お大事に至りませんようお祈り申し上げます」と表現すると、「病気やけがが大事に至らずにすみやかに回復してほしい」と願っている気持ちが伝わりやすくなるでしょう。

このような形で敬語表現を使い分けると、目上の人からも評価を得られるかもしれません。

例文

「〇〇様がご病気のため、来週の打ち合わせ延期を希望されるとお伺いいたしました。
日程についてはまた後日、ご相談させていただけますと幸いです。
お大事に至りませんよう、お祈り申し上げます。」

「お大事に」の敬語での言い換え表現・類語

  • 「お大事に」の類似表現を覚えておくと便利です

    「お大事に」の類似表現を覚えておくと便利です

病気やけがの際に相手を気遣う表現には、「お大事に」以外にもさまざまあります。

定型句として多くの人に理解されているのが「お大事に」であり、誰もが幅広い場面で利用できるのがメリットです。

しかし、他の敬語表現についても知っておくとバリエーションができて、相手からの印象も良くなるでしょう。

具合を気遣う敬語表現1.「回復をお祈りしております」

率直な表現として有用なのが「一日も早い回復をお祈りしております」という表現です。

「お大事に」よりも単刀直入に早く治ってほしい意思を伝えつつ、基本的な敬語のマナーを守っている表現ですので、この機会に覚えてしまいましょう。

「お大事に」と併用しても過剰になることもなく、一緒に添える言葉としても使用可能です。

具合を気遣う敬語表現2.「ご自愛ください」

「ご自愛ください」という敬語表現もビジネスシーンやフォーマルな場面で重宝します。

「ご自愛ください」という言葉がすぐに出てくるようになると、敬語がよく理解できている社会人としての評価を受けられるでしょう。

具合を気遣う敬語表現3.「養生なさってください」

ゆっくりと休むことをうながす表現として「養生なさってください」という表現もよく使われます。「養生」は「病気の回復に努めること、生活に留意して健康を心がけること」という意味です。

「回復のために、心身をゆったり休めること」という意味の「静養」を使って「静養なさってください」とすることもできます。

敬う気持ちと回復を祈る気持ちが同時に伝えられるでしょう。

【例文つき】いくつかパターンを定型化しておくと便利

先ほど紹介した「回復をお祈りしております」や「ご自愛ください」などを活用し、定型句として以下のようなものを準備しておくと、いざというときに安心です。

特にメールや手紙を書く際の定型句としてあらかじめ準備しておくことで、すぐに差し障りのない敬語の文章を書けるでしょう。

  • 「一日も早い回復をお祈りしております。どうぞお大事になさってください」
  • 「くれぐれもご無理はなさいませんようご自愛ください」
  • 「十分に養生なさってください。一日も早く職場にお戻りになることをお祈り申し上げます」
  • 「どうぞ、ゆっくりと静養なさいますようお願い申し上げます」

「お大事に」と言われた場合の返事

自分が「お大事に」と言われた場合の返事では、気遣いに対する感謝の気持ちを伝えましょう。

「お心遣いいただきありがとうございます」「お気遣いくださり感謝申し上げます」などの言葉で、相手が心配してくれたことに対してお礼を述べます。

ビジネスの関係者など、自分が休むことで負担をかけてしまう可能性がある人に対しては「ご迷惑をおかけいたします」など、お礼とともにお詫びの言葉を伝えるといいでしょう。

「お大事に」の英語表現

「お大事に」を英語で表現したいときは、「Please take care of yourself.」などが使われます。「take care of~」は、「~の面倒を見る」と言う意味です。

親しい間柄であれば、「Take care.」のみで使うこともあります。

「お大事に」を正しく使いこなそう

「お大事に」や「お大事になさってください」について、意味と使い方、使い分けの方法などをお伝えしました。

敬語表現をとっさの場面でさりげなく使えるのは、社会人としての基本です。表現を間違えたり、たどたどしい感じで伝えてしまったりしないように、事前に知識を蓄えておくことをおすすめします。

また、ただ「お大事に」「お大事になさってください」と言うところから一歩踏み出して、目上の人から好印象を持たれる社会人を目指してみましょう。