米労働省が2022年6月3日に発表した5月雇用統計の主な結果は、(1)非農業部門雇用者数39.0万人増、(2)失業率3.6%、(3)平均時給31.95ドル(前月比+0.3%、前年比+5.2%)という内容であった。

  • 5月雇用統計まとめ

(1)5月の非農業部門雇用者数は前月比39.0万人増と市場予想の31.8万人増を上回ったが、4月の43.6万人増(修正値)から増加幅が縮小した。業種別ではレジャー・接客のほか、運輸・倉庫、建設などが引き続き伸びた一方、小売は減少に転じた。非農業部門雇用者数の3カ月平均の増加幅は4月の51.6万人から40.8万人へと減速した。

  • 米非農業部門雇用者数の推移

(2)5月の失業率は4月に続いて3.6%となり、市場予想の3.5%を上回った。フルタイムの職を希望しながらパート就業しかできない人なども含めた広義の失業率である不完全雇用率(U-6失業率)は、7.1%と4月から0.1ポイント上昇した。労働力人口に占める働く意欲を持つ人の割合である労働参加率は市場予想通りに62.3%へと0.1ポイント上昇した。

  • 米失業率と労働参加率の推移

(3)5月の平均時給は31.95ドルとなり過去最高を更新。伸び率は前月比+0.3%、前年比+5.2%と、おおむね予想(+0.4%、+5.2%)通りであった。前年比の伸び率は4月の+5.5%からやや鈍化したが、高水準での推移が続いた。

  • 米平均時給の推移

今回の米5月雇用統計では、非農業部門雇用者数の伸びが鈍ったが、これは「伸びしろ」が小さくなったためと見られる。非農業部門雇用者の延べ人数は新型コロナによるパンデミック前(2020年2月)の水準を回復するまであと80万人強に迫った。失業率についても、2020年2月に記録した1969年以来の3.5%にこそ並べなかったが3カ月連続の3.6%となり、低水準を維持した。早期リタイアの増加などで労働参加率が伸び悩む中、米労働市場の逼迫が続いていると考えられる。

そうした中、平均時給は前年比+5.2%と4月の+5.5%から伸びが鈍ったものの、5カ月連続で5%台の伸び率を維持した。労働市場の過熱を防ぎ、インフレを抑えるために米連邦準備制度理事会(FRB)は6月も50bp(0.50%ポイント)の利上げを継続する公算が大きい。市場もそうした見方に沿った反応を見せており、3日のNY市場では米長期金利が上昇し、ドルが強含んだ一方、米国株は下落した。なお、ドル/円相場は131円台目前まで上昇して5月に付けた2002年4月以来の高値である131.35円に迫った。