コロナ禍により地域経済の疲弊が続き、県内特産品を取り扱う事業者が深刻な状況となっている。消費者の巣籠り・非接触ニーズに対応した販売手法、新規顧客を取り込む販路開拓が求められるなか、NTT東日本グループはECサイト「テルウェルeすと」によって地方と全国を繋げようとしている。
「おいらせ黒にんにく」が人気の柏崎青果
青森県産の長芋・にんにく・ごぼう・大根などを年間を通じて販売している柏崎青果。近年は「おいらせ黒にんにく」が、黒にんにくとして初めて"機能性表示食品"として受理され、高血圧に悩む人たちを中心に人気を集めている。
従前、同社商品は柏崎青果のWebページでのみ販売されていた。以前からさまざまなメディアから販売の誘いを受けてはいたものの、管理の煩雑さを初めとした諸事情から断り続けていたという。そんな中、2020年冬に青森県庁から新たな要請が来る。それがテルウェル東日本への紹介だった。
「新型コロナウイルス感染症により、経済的にさまざまな影響が出ています。販売店さまは早急な売り上げの向上、そして今後を見据えた販路の拡大が求められている状況にあります。この課題に対し当社は、リモートの力を活用した販路拡大が効果的と考えました。そこで『テルウェルeすと』のご提案をさせていただきました」(NTT東日本 青森支店 ビジネスイノベーション部 バリュークリエイト担当 齊藤拓斗氏)
この話を受け、柏崎青果は「テルウェルeすと」を検討。そして登録を決めたおよそ一カ月後の2021年初め、「テルウェルeすと」に柏崎青果の商品が並ぶこととなった。
「独自媒体だけですと、やはり客層が限られてしまいます。当社も人手不足でしたので最初は不安がありましたが、お話を聞くと『テルウェルeすと』は登録も簡単そうですし、視点を変えてみようと思い、登録を決めました」(柏崎青果 営業担当 沼澤昌志氏)
NTTグループが運営する「テルウェルeすと」の魅力とは?
「テルウェルeすと」は、東日本各地の名産品を取りそろえたオンラインショップだ。運営元のテルウェル東日本は、お客様からも地域社会からも頼られるNTT東日本グループにおける「総合商社」を目指しており、地域密着で営業できるように東日本全県に支店を持っている。ゆえに、地域に根ざした商品や古くからの名産品に関する情報が入りやすい。このノウハウを活かすべく、2014年にEC事業をスタートさせた。
「当社のオンラインショップのひとつが『テルウェルeすと』です。オンラインではなかなか手に入らなかった"いいもの" を全国に届けることで、地域の活性化に取り組んでいきたいと思っています。生産者・販売店さまには、地域の特色のある商品をご登録いただくようお願いしております」(テルウェル東日本 営業企画部 総合営業推進室 ビジネスイノベーションセンター 宮内こずえ氏)
生産者・販売店側から見た「テルウェルeすと」のメリットは大きく4つある。
ひとつ目は、掲載料0円でスタートできること。多くのECサイトでは、初回の登録料や月間の掲載料などが必要だが、そういった費用が不要。これは取引の形態が、商品を「テルウェルeすと」に卸すという契約になっているためだ。
ふたつ目は、「テルウェルeすと」のみならず、NTTグループ内のさまざまなサイトで広く商品をアピールできること。例えば、フレッツ光メンバーズクラブのポイント交換プログラムも掲載先のひとつだ。
3つ目は、契約した商品の管理はテルウェル東日本が一元管理すること。展開するWebサイトの数が増えるとそれだけ管理が煩雑になりがちだが、負担を増やすことなく商品を展開可能だ。
4つ目は、宅配伝票作成をテルウェル東日本が行ってくれること。これは、ユーザーから注文が入ると、宅配伝票の印字を行い、出荷元まで届けてくれるという仕組みだ。出荷作業の発生に伴う稼働増加に不安を抱える生産者・販売店でも、安心して登録できるだろう。
「『テルウェルeすと』では専門の商品登録用システムをご用意しています。こちらに店舗情報や出荷場所、商品写真と商品情報などを登録いただきます。その情報を元にして、当社で掲載用のWebページを起こしていきます」(テルウェル東日本 宮内氏)
「テルウェルeすと」に商品を登録した柏崎青果は、その感想を次のように語る。
「実際にやってみると、初めからフォーマットが用意されてあって打ち込みだけという気軽さ、そして初期費用や掲載料もかからないという手軽さがありました。ECサイトの販売には『PCに張り付いていなければならない』というイメージがあったのですが、『テルウェルeすと』の場合は注文が来たら、翌日に出荷準備をするだけで事足ります。手間がかからないことが一番のメリットでした」(柏崎青果 沼澤氏)
柏崎青果は当初、商品を3品登録していたが、徐々に追加し、現在では10品ほどを登録し運用しているという。写真も自分たちで撮影したもので問題ないそうで、その気軽さを沼澤氏は高く評価する。
新規販路の開拓に繋がった「青森物産展」
こういった地方の特産品のより効果的な販売、そして新しい販路の開拓を目指して「テルウェルeすと」内で開催されたのが、青森県の特産品を集めた「青森物産展」だ。
「通販ですので、いかにお客さまの目に触れるかがポイントとなります。今回の青森物産展では、テルウェルeすとだけでなく、フレッツ光メンバーズクラブのWebサイトでも紹介いただきまして、通常の数倍の効果がありました」(テルウェル東日本 宮内氏)
「NTT東日本社内でも青森物産展の周知をさせていただきました。他県の社員からも『こんな特産品があるんだね』と好評で、購入した方もたくさんいらっしゃったようです」(NTT東日本 齊藤氏)
今回の取り組みでは、Facebookでの告知や、NTTグループ社員向けのキャンペーン限定・購入強化期間を設定することで、対前年同期比250%を超える販売実績を達成したという。実際に出店し、商品を販売した柏崎青果は、その効果について次のように話す。
「青森物産展では、これまでとは違うお客さまの利用がありました。当社のお客さまは年齢層が高めですが、今回は若い方からも注文をいただくことができました。人気の商品は『おいらせ黒にんにく機能性表示食品760g』で、新規の方からリピーターまで広くご注文いただいております。ごぼうの香り、旨味、粘りをそのまま練り込んだ『牛蒡うどん(乾麺)180g』も好評です」(柏崎青果 沼澤氏)
地域とともに歩むNTT東日本グループ
地域電気通信事業を核とし、日本各地に支社を構えるNTTグループ。地域社会とともに成長を続けてきた同社は、その特長を活かし、いま地域社会を支える総合サービス企業グループへと変貌を遂げようとしている。テルウェル東日本の「テルウェルeすと」も、同社が掲げる「地域の発展に直結する"現実的な地方創生"」の一環と言えるかもしれない。
「今回の取り組みは、従来は対面販売が中心であった事業者さまをEC化に導いた点、青森の魅力ある物産品を全国にPRできた点において、大きな意味があったと考えています。私たちNTT東日本グループは地域への貢献に注力しており、地域のみなさまとともに成長していく活動を行っております。今後もICTの力を活用した地域の産業振興に尽力していきたいと思います」(NTT東日本 齊藤氏)
「事業者さまのリスクなくECを始められるのが『テルウェルeすと』の特徴です。みなさまの良い商品を、ぜひ当社にお寄せいただいて、その魅力を全国に発信していただきたいと思っています。消費者のみなさまには、『テルウェルeすと』でしか購入できない商品もたくさんありますので、お宝を発掘するような気持ちで楽しんでいただければ幸いです」(テルウェル東日本 宮内氏)
最後に、柏崎青果 代表取締役の柏崎進一氏は、消費者に向けて次のようにメッセージを残した。
「柏崎青果は、健康に役立つおいしい商品を心を込めて作っています。『テルウェルeすと』を活用して、こういった商品をこれからさらに全国に発信していきたいと思っています。ぜひ一度、当社の製品をご覧になってください」(柏崎青果 代表取締役 柏崎進一氏)