恋に本気になれない6人の群像ラブストーリーを描くカンテレ・フジテレビ系ドラマ“恋マジ”こと『恋なんて、本気でやってどうするの?』(毎週月曜22:00~)。放送を重ねるたびに「応援したくなる」「かわいい」「癒される」とファンを増やし続けているのが、俳優の岡山天音演じる内村克巳だ。人間関係が原因で大手保険会社を退職し、コンビニでバイトをしている克巳は、飯豊まりえ演じるパパ活女子・真山アリサの“レンタル彼氏”に。克巳はコミュニケーションにクセがあるどこか不思議なキャラクターでありながら、手品で喜ばせたり、おんぶして山を登ったり、記念日を祝ったりと、ピュアな愛情表現でアリサの心を解いていく――。

そんな克巳に「強烈にあこがれを抱いた」と話す岡山。克巳の役作りや演じていて楽しかった点、再びの共演となった飯豊の印象、松村北斗に「SixTONESで誰推しなの?」と聞かれたエピソードを語った。

  • 俳優の岡山天音 撮影:宮田浩史

■克巳は「数センチ地上から浮いているようなキャラクター」

――今作のオファーを受けたときの感想を教えてください。

台本よりも先に企画書を読ませていただいたのですが、3組のカップリングの説明で、それぞれの名前の間に書かれていたのが「VS」だったんです。新鮮で面白いなと印象に残りました。

――「&」や「×」ではなく「VS」。恋愛関係に使われるのは珍しいですね。

カップルごとの細かい設定を読み進めていくと、それぞれの理由で恋愛に背を向けている人たちが、相手と出会うことで牙城が崩れていく、それが「VS」の意味なのかなと解釈しました。

――今回岡山さんが演じるのは“不思議な空気を醸し出す陰キャ男子”の内村克巳ですが、克巳を演じていて楽しいところは。

周りの人たちから見ると、克巳の発言は文脈が読み取れなくて、急に話が飛躍していると感じるかもしれないのですが、本人の中ではちゃんと思考が繋がっている。浮世離れとまではいかないのですが、普通に生きている人間よりも数センチ地上から浮いているようなキャラクターに息を吹き込むのは楽しかったですね。

――逆に難しかったところは。

周りから見ると突発的に見える行動や発言に、克巳の中でどんなルートを経てたどりついたのかを整理するのは少し手間取りました。そのルートが個性的すぎて。でもやっぱり、演じていて楽しいほうが多かったです。

■“自分の世界”を構築している克巳は幸せ

――克巳らしい行動をどんなふうに表現しましたか。

皆と集まっているシーンでは、そのとき注目が集まっている人ではなく、1人だけ別のところを見ているという視線の違いをちょこちょこ挟みました。視聴者の方にはそこまで伝わらないと思うんですけど。克巳は極端に視野が狭い部分と、解像度高く物事を観察できる部分を持つ二面性のあるキャラクターなので、皆が1つのことに気を取られているときでも「今どこを、誰を見れば、この出来事の全ぼうをつかめるのか」と冷静にジャッジできる人間なのかな、と。

――そういったものの見方は、自分と似ていると感じますか。

あまり感じないかもしれません。むしろ、憧れの対象です。克巳は自分の欠落した部分は自分でちゃんと埋めて、自分の形を整えて、揺るぎない“自分の世界”を構築している。もともとは大手保険会社で働いていたけど今はコンビニ店員だから、見方によっては低迷しているように映るかもしれない。でも、恋愛が苦手なこともですが、こういう人だったらランクが高いとか、こういう生き方だったら負け組じゃないとか、そんな意識が全然ないんです。自分の中に確固たる価値基準を持っているから、ひょうひょうと幸せそうに、楽しくそれなりに暮らしていて……そういうところには強烈に憧れを抱きましたね。